昴  綿毛の会2月一句抄   選・渡辺 和尾

縦
美術館出れば小さな自分だけ恒川和左子
学校もわたしも週休二日制児玉 浪枝
風向きが変わらぬうちに退散し柳田みずき
百合の香が古い畳を這ってくる春日井五月
蟹缶を食べていただく風邪のとき内田 順子
萎びた蜜柑 二ん月は水の音吉田三千子
起きるのも寝るのも私 一番に水野亜希子
後ろ向き前向き この世のおさらいを堀  恭子
売約済の札をぐるりと見て回る園部志津代
もう春の日差しが髪を濡らすなり尾崎志津子
眼鏡まず磨いて朝の身嗜み渡辺 妙子
お雛さまより先に飾る雛アラレ川嶋 翡翠
大根の出番が多い二月の夕餉深谷  歩
洗髪もモデルのようにいきません関本 満美
雪よ雪 積もらないよう願います後藤 峯子
真新しい菓子折りの蓋取る春長谷部じゅん
ブティックで扇風機出す冬バーゲン石川 照子
ポットにはお湯が満タン寝るとするいまいまい
春なんて寒い寒いのすぐ隣東川 和子
雪のない町の冬です我が暮らし上地 弘子
麗しの乙女の祈りで夢が覚め奈尾はるか
冬ごもり動かなくてもよく食べる堤 亜美子
おはようさんとお仏壇にもご挨拶林  昌子
雪道を通り出かける温泉地西川ほしみ
夕方まで朝の運勢そのままに木野すみゑ
爽やかな人相の裏の甘えん坊竹内 英子
  
まだ少し疑い深い雪が降り渡辺 和尾