昴  綿毛の会10月一句抄   選・渡辺 和尾

縦
シャッター通りここは本屋と呉服店園部志津代
震度四でお位牌が倒れてくる柳田みずき
星型に割れた無花果かぶりつく石田 穗實
曇天の本屋の前で待ち合わせ児玉 浪枝
台風が逸れて河豚など売れ初め内田 順子
手始めの身辺整理 墓地移転石川 照子
シャツとシャツ 洗濯機では抱き合う尾崎志津子
午後二時の集合場所はホテルです西川ほしみ
九月テロ わたしにとても小さな火吉田三千子
コマーシャルまで真剣に見てしまい春日井五月
留守番のお好み焼きのデラックス恒川和左子
団栗の数 競い合う石畳いまいまい
裏からも表からもビル解体堀  恭子
用水に沿って乱れる秋の花堤 亜美子
温室蜜柑と青切り蜜柑並んでる水野亜希子
冷凍の鯛焼きレンジで生き返る渡辺 妙子
墓参り ご無沙汰ばかりですみません川嶋 翡翠
棺桶に似た空間で検査中関本 満美
ゆっくりと空を見ている待ち時間深谷  歩
十年も二十年も平凡に生きた長谷部じゅん
松茸を誰が買うのか見ていたい香田 裕子
ノート開けると旅が始まる秋が来た奈尾はるか
ケータイに虹取り込んでいる青年上地 弘子
少しだけ破れているがいい椅子だ後藤 峯子
波のてっぺんも秋になってるだろう東川 和子
祭りあとの静けさを月覗く木野すみゑ
生きている戸を開けて吸う朝の息竹内 英子
火星観測に出発します家族連れ林  昌子
  
果物を口に含んで豊かなり渡辺 和尾