昴  綿毛の会11月一句抄   選・渡辺 和尾

縦
愛し子の墓地一面に団栗が恒川和左子
友だちが立っているのも秋の中水野亜希子
かたわらで居眠る人の羨まし堀  恭子
マシュマロのような手 意外に手強いぞ柳田みずき
好きなことたっぷりやって水になる尾崎志津子
百年というサイクルでこの桜内田 順子
肝心な話の途中で電池切れ関本 満美
お米屋さんの前の日溜まりあたたかい児玉 浪枝
息吹きかける大切な指十指ほど吉田三千子
花火より臨場感のある雷雨深谷  歩
蝙蝠が月を横切り旋回す堤 亜美子
難しい言葉の額を見て暮らす春日井五月
ビル街で山車の人形化けて見せ渡辺 妙子
赤チンをつけられ膝が丸くなる石田 穗實
愚痴を聞く自分の悩み秘めたまま石川 照子
縦にして横にして読む注意書き園部志津代
模範解答よりスマートなあなた川嶋 翡翠
朝ご飯食べたかふっと考える後藤 峯子
連休が続くと本を読みたくなり長谷部じゅん
ああ秋だ保湿クリーム大胆にいまいまい
七輪で秋をいただく祖母の味奈尾はるか
自転車は色づく町をゆっくりと東川 和子
来客があるからあちこちお掃除本田 博子
ロングブーツに断られたふくらはぎ鈴木 栄子
十九年ぶりこの駅や街 私の原点上地 弘子
てめえと言う女子高生にのけぞりぬ山本 数子
風が吹き犬もまあるくなる夕べ林  昌子
孫がきて体重測る日課かな木野すみゑ
そうでしょうと言っている空の下高田 初江
熱燗は孤独な大人を好みます竹内 英子
お見舞いの帰りは晩秋 黄昏に西川ほしみ
蝋燭もケーキも省く誕生日香田 裕子
  
もう一度月を見上げて帰るなり渡辺 和尾