昴  綿毛の会4月一句抄   選・渡辺 和尾

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桜吹雪の真下に行けばわかること吉田三千子
わたしより鏡のほうがよく喋るいまいまい
高架バス 花のほうへと走りだす恒川和左子
青いレモンの甘酸っぱさに負けるまい児玉 浪枝
週刊誌見出しと中がまた違う春日井五月
満月の道案内でお花見に堤 亜美子
行く手には空ばかりあり豆の蔓堀  恭子
油揚げはちきれそうに春の寿司内田 順子
ゆで卵二つ多めに茹でておく水野亜希子
満月に満開になるつもりだな尾崎志津子
冷蔵庫に待ち草臥れた野菜たち川嶋 翡翠
春霞知らない町に来てしまう園部志津代
春の昼鰆を焼いて漬物切って石田 穗實
バンダナを首に巻いたら春の風深谷  歩
傷だらけのプライド掲げ振り向かず小林 朋恵
告知から桜の花を待ち続け石川 照子
病人が眠る私もうとうとと後藤 峯子
老人が見上げている梅の花社本 蛙子
心準えるような歌が流れ長谷部じゅん
球根の芽生えに旅は引き継がれ阿部 信子
父さんが畳んだ服のきっちりと柳田みずき
留守番の夫が部屋中散らかして渡辺 妙子
つまづいて新品の靴 擦り傷が関本 満美
こんど建つ家もやっぱりお医者さん奈尾はるか
老猫はきょうも見回りごくろうさん鈴木 栄子
母逝って淋しさだけの菜の花に本田 博子
百万で利息百円 預けない山本 数子
もう遠い遠いできごとのような写真上地 弘子
顔文字の挨拶 春が来たんだね東川 和子
いいも悪いも着地する四月の私高田 初江
鯉のぼり少子化知らす貴重品竹内 英子
三枚も持った改正新ダイヤ西川ほしみ
冷蔵庫が不平不満をこぼす夜林  昌子
リズムのように鳥の囀り朝の声木野すみゑ
再利用しようとゴミを貯える香田 裕子
   
風吹いていよいよ初夏の匂いする渡辺 和尾