綿毛の会一人一句抄:十二月『昴』    選・渡辺 和尾

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泡立草 駄駄をこねても聞かないよ     石田 穗實
秋の風洗濯ばさみを二つ付け        春日井五月
疎らになったポプラ三本 秋憂う      吉田三千子
淋しさをじゃぼじゃぼ濯ぐ 歓喜かな    尾崎志津子
コスモスを好きにならずにいられない    深谷  歩
雑巾にしたTシャツのこと言われ      内田 順子
秋茄子をたくさん食べてさあ元気      児玉 浪枝
おとぎ話のことは忘れてください      柳田みずき
こぢんまり暮らす盆地の街に住む      渡辺 妙子
顔半分ほどのマスクと笑われる       堀  恭子
プーさんの毛布がないと眠れない      水野亜希子
いただきます 魚も肉も危ないが      川嶋 翡翠
くつろげば晩のおかずのことに触れ     香田 裕子
誘われて野点の席に紛れ込む        園部志津代
夕日へとサンダル片方蹴り上げる      林  昌子
知らぬまに草の種配達され         鈴木 栄子
大雨で八前二丁目水浸し          いまいまい
訃報聞く飲み差しのコーヒーの味      阿部 信子
携帯に浮かんだ一句入れておく       関本 満美
二人降り三人乗ってバス発車        堤 亜美子
二時間の旅に駅弁買ってくる        奈尾はるか
立ち話を金木犀が聞いている        石川 照子
母に似た洋梨食べる幸せよ        長谷部じゅん
テロにより時計すべてに誤差生まれ     小林 朋恵
東京まで続く線路に雨が降る        後藤 峯子
歌のように知らない街を歩きたい      上地 弘子
にぎやかなロビー 紛れ込むコオロギ    社本 蛙子
コスモスの咲く公園で一休み        森  風子
無知なるは罪だと言われ罪だらけ      山本 数子
黄葉の便り待つのも二人なら        東川 和子
退院を急ぎ過ぎたか体温計         本田 博子
呟くとまた濁り出す私の川         高田 初江
いいことが少しあって柿を剥く       西川ほしみ
談笑が聞こえる わたし手術台       恒川和左子
幸せを教えてくれる孫の笑み        竹内 英子
紅葉を見にいきましょう森の中       木野すみゑ

やがて街は霞の中に消えていく       渡辺 和尾