昴 綿毛の会 二〇〇一年八月 一句抄  選・渡辺 和尾

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口内炎の特効薬はないらしい        水野亜希子
悪魔でも女神でもないこのわたし      石田 穗實
視力出て右目は遊び癖抜けず        恒川和左子
失くした帽子と同じ帽子を買ってくる    堀  恭子
唐突に訪れそして遠ざかる         尾崎志津子
土用丑じゃないけど鰻食べている      児玉 浪枝
このカレー半分ほどは嘘の味        春日井五月
ふるさとの魅力カツオが焼けている     内田 順子
お金の話歯医者さんでも聞いてくる     吉田三千子
休みたいけれどフライパン焼けている    深谷  歩
父の日を淋しがってる父がいる       いまいまい
熱帯雨林となる梅雨どきの我が家      林  昌子
遠くから見ればよかった菖蒲園       川嶋 翡翠
潮騒か微かに響く耳の奥          園部志津代
子を連れたママも真剣パチンコ屋      堤 亜美子
今月中の割引券があったはず        後藤 峯子
山梔子が日照りはいやよと雨誘う      阿部 信子
楽しみと不安交互に薬飲む        長谷部じゅん
目や鼻は誰に似てると新生児        石川 照子
ヤマモモがたわわに実る新世紀       小林 朋恵
梅の実の香りを纏う夜の雨         社本 蛙子
紫陽花の色変わるころ梅漬ける       柳田みずき
どうってことない店なのに列作る      関本 満美
君がいて心に満ちてくる紫陽花       本田 博子
ボタン押し涼しげに待つ洗濯日和      長田さやか
母さんの言葉はいつもオキシフル      上地 弘子
雨の日は誰もいない花の園         森  風子
直立の菖蒲の花とあの人と         山本 数子
水着など買わなくなってもう十年      鈴木 栄子
雨あがる 緑ますます神楽殿        東川 和子
二人して泳いだ海も見るだけに       渡辺 妙子
あじさいの前で友と待ち合わせ       奈尾はるか
人が去り家が壊れて駐車場         竹内 英子
孫とだけ指切りしてるお婆さん       木野すみゑ
担当は経理で言葉は尖がりで        西川ほしみ

雨が上がる ぼくは静かに欠伸する     渡辺 和尾