飛騨は雪 てのひらで覆う口 吉田三千子
ハイハイと手だけは早く上げる人 西川ほしみ
ふかふかの芋を蒸かした寒い朝 児玉 浪枝
家を出るときは青空見えていた 春日井五月
病院のバス停前で友に遇う 堀 恭子
雪景色 友の住む町を思い出す 水野亜希子
二代目の桐が育っていく 空へ 内田 順子
柔らかな二月の光橋の下 尾崎志津子
三人の靴を揃える節分会 高田 初江
豆撒きの気配もなくて両隣り 恒川和左子
雪掻きの姿も見えぬ古い街 石川 照子
誕生日 病室からは雪落花 石田 穗實
確定申告するほど医者の領収書 園部志津代
手術した日も記念日の中に入れ 渡辺 妙子
湯豆腐の大きく揺れて揃う顔 堤 亜美子
なんぼんも鉛筆削り それからよ 川嶋 翡翠
台本にないがよく出る咳ばらい いまいまい
七十の友もヘルパー続けている 柳田みずき
あと少しでミモザの花が開きそう 深谷 歩
私には私の夢がある スイセン咲く 林 昌子
雪の中を笑顔ばかり寄ってくる 後藤 峯子
みかん積み上げる冬はまだ長い 社本 蛙子
省エネでゴロゴロ厚着のおばあちゃん 高橋 典子
温もりのある手袋を繕う 阿部 信子
オッハーと呼ばれ オッハー恥ずかしい 小林 朋恵
雪が降るポストまでなら傘さして 東川 和子
久しぶり息子二人と寿司屋へと 森 風子
迷うとき私らしさを見失う 関本 満美
雪が降る ずんずんずんずん雪が降る 上地 弘子
カタログに折り目をつけてみたけれど 鈴木 栄子
ぼたん雪に戸惑いながらバスが来る 長田さやか
新雪を踏んで私は傘の中 奈尾はるか
亡き友と映画を見てる夢を見た 山本 数子
久しぶり移動入浴車が来たり 本田 博子
節分に豆と巻き鮨 福よ来い 木野すみゑ
ただ生きてるそれだけで凄いこと 竹内 英子
暮らし向きほどほどで今冬寒いこと 渡辺 和尾