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2004年12月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【はじめに】
 あけましておめでとうございます。
 2005年が始まりました。ことしもまた、この《ピッポ DE センリュウ》の広場に集まって、川柳を通して語り合いを深めましょうね!
 さくねんは、天災・事故・事件のとても多い年でした。年末には、世界規模で襲った《スマトラ沖地震》があり、この原稿を書いている12月30日の報道によりますと、10万人を越すかもしれない死者とも。恐ろしいほどの数字ですね。改めて、身の回りの備えはどうかと、寒空を見上げ、汚れた世相を思います。
 さあ、ぼくらは、それらを乗り越えて、新しい年を拓いていかなければならないでしょう。心を、力を、知恵を出し合っていかなければいけないのでしょうね。
せめて、《ピッポ DE センリュウ》を中心にして、和気藹藹と、ぼくたちはまいりたいと思います。
読者のあなたが、作品や語らい参加にも加わってくだされば、このコーナーも、さらに楽しくなるに違いないと確信しています。
 《こんかいから、数字は、原則として算用数字表記にしてあります。熟語はこの限りではありません。ご了解くださいね》

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《特選》 【呈賞】
特選 鳥になる一緒に夢を見たいから
カフェオーレにしましょ今夜も1人分
松田 悦子
  【作者】  
  【選者】 寂しいから夢を見たい、静かだからカフェオーレを。ただポツンといるよりも思考力を高め、そう、川柳書くなんて最高じゃないのかな。ぜひコメントをお願いね。
 
《秀逸》 【呈賞】〈順不同〉
呈賞 表札を綺麗に磨きお正月
さあさあと急かされている年の暮れ
新しい春を待たずに逝った人
小さめの注連縄飾る寒い朝
児玉 浪枝
  【作者】 普段も年末も年始も、とくになにも変わることはないのに、なぜか師走は気が急かされました。〈さあさあ〉と、急かすのは私の職場。クリスマス・年末年始は稼ぎどき。パートは振り回されるだけ。なんのかんのと年は暮れ、明けました。せめて、我が家の玄関だけでも、お正月気分にしなくっちゃ。
 時間だけは無情に流れ2004年は暮れました。心新たにと、小さな小さな注連縄を玄関に飾りました。
  【選者】 暦の上では、なにも変わらないことはわかっていても、どこかで節目をつけないと前に進めないようです。注連縄を飾るのもその1例でしょう。その注連縄の類も少なくなってしまいました。
 
呈賞 嬉しそうに近寄ってくる真冬なり
太陽のあとを追いかけ岡本太郎
泉  繭子
  【作者】 冬のいちにち。太陽を追って花、洗濯物、そして私も移動。日溜まりの中で画集を開きます。
  【選者】 日溜まりで心和むような絵を見ている作者が見えます。〈真冬が嬉しそうに近寄ってくる〉とは、新鮮な表現でしたね。
 
呈賞 この年の祈りの中へ朝日来る
おおTUNAMI! 水の惑星揺れている
吉田三千子
  【作者】 地球規模での災害をしっかり教えてくれる、このところ世界地図をいつも広げるほどの世界的な災害。イラク戦争も含めて、人間の起こす戦争に吠えている大国のトップを滑稽にも思えます。自然の驚異に、静かに頭を垂れ、祈るばかりです。あすは我が身と、謙虚に受け止めて、新しい年の1歩を。
  【選者】 〈TUNAMI〉と〈津波〉の、視覚から伝わる微妙な相違。やはり言葉を駆使し、新鮮な表現は、いつも心がけているとよいですね。ただ単に奇を衒うだけではいけませんが。
 
《入選》 【順不同】
佳作 レトルトでかたずけたいなお正月
誕生日歳は戻したいきょうこのごろ
田島 沙和
  【作者】 お正月はいつも忙しいので、なにもしたくないという気持ちの現れ。12月は誕生月で、いつもこの時期が来ると、作品に書いたようなことを思います。
  【選者】 誕生日は楽しくも哀しいもの。健康でいられることが最大の幸せなんでしょうね。お節料理こそ、あなたの仰るような〈手抜き? 料理〉なのかもしれませんね。
 
佳作 夫いて我いる暮らし黄金比
2人という単位 小春の温かさ
笹 さやか
  【作者】 暖かな師走でした。天地の神のご立腹かと思われるような天災に震災、そして簡単に人を殺めてしまうという危うさに戦いた一年でしたね。平凡な毎日が、なんとありがたいことかと思うことしきりです。
  【選者】 夫婦2人も幸せ哉。ぼくの団地もこのような感じ。いや、もっと進んで老人の独り住まいが目立つようになりました。老齢化問題は一大事ですね。
 
佳作 正月は故郷へ行くのかと聞かれ
ふるさとへホテルを予約して帰る
内田 順子
  【作者】 ふるさとへ帰るのか、行くのか、言葉に迷います。正月は絶対帰って来るべしと言っていた義母も、脳梗塞で倒れ言葉を失って、ベッドに横たわったままです。でも会いに行かねば。
  【選者】 時の流れの重苦しさを感じます。ふるさとは心にだけ残るものでしょうか。空や山や森やなどを見ていると、思い出が鮮明になりませんか。
 
佳作 高速道くるみ割りするカラス2羽
12月街は漁り火人が群れ
赤い実に雪ふかふかと降り積もる
好物を子らに送って満ち足りる
沼沢ひろし
  【作者】 小春日和の1日。ウオーキングの途中でカラスが2羽、くるみをくわえてアスファルト道路に落としているのを見かけました。夏に走った、あのあまり車の通っていなかった高速道路でも、そんな光景が繰り広げられているのでは……と思った次第です。
 息子も、専業主婦の嫁をもらい、もうなんの心配をすることもありません。しかし妻は、まだやっぱり子どもたちのことが気にかかるようです。そんなときには、子どもたちの好物を送って〈届いたよ〉と言う電話をもらうのが一番。ちなみに、息子は、名古屋市内の会社に勤務しています。
  【選者】 遠くにお住まいの息子さんのご家族を思う親心。名古屋は大いなる田舎とも言われますが、人の数は多いですよ。前を向いてしっかり歩いていないと、すぐ人にぶつかってしまいます。
 
佳作 鍋囲みみんな本音で語り合い
冬薔薇のほっと溜息聞こえそう
香田 裕子
  【作者】 財布の中で、新札と古札が混ざっています。買い物をして、どっちのお札がくるか、面白がってみています。田舎だから、どっちも出てきます。使うとき、どっちを使おうか迷ったりします。私だけのことかしら?
  【選者】 ぼくは、出始めのころのピン札は、1枚だけ保存しておく習慣があります。記念にすぎません。いつまで使わずに済むかという切ない思いもあるのです。冬薔薇の溜息をぼくも聞いてみたいですね。
 
佳作 防犯灯私をライトアップする
突然に照らされたけどすぐ消えた
春日井五月
  【作者】 最近防犯灯が増えましたね。その都度、反応してくれる灯りに感謝をいたしましょう。
  【選者】 近づくと点る防犯灯の欠点は、通行人を小馬鹿にするようなところです。ずっと周囲の明るさを保っていてくれればよいのですが。
 
佳作 遠いと懐かし近いと喧嘩がち
喧嘩を議論に昇華すれば楽し
田村 敏江
  【作者】 《綿毛の会》のみなさまや、《文章を学ぶ鳥影の集い》のみなさまにお会いでき、ことしは最高の年でした。こんな素敵な活動の場があったことに、いままで気がつかなかったのが不思議です。最近、《お喋りコーナー》に参加させていただいております。文章を書く練習だと思うと、参加する回数が増えました。そのうち、自分の気持ちを正確に、上手く伝えられるようになりたいものです。みなさまの新年が、より良いものとなりますようにお祈り申しあげます。
  【選者】 思うことを、5・7・5に凝縮することは、たしかに勉強になります。どうか、これからもこういう場を大切に、育てていただきたいと思います。主役は、あなたです。
 
佳作 年の瀬が暖かすぎて締まらない
西部劇マニアの夫の三が日
松本 玲奈
  【作者】 こんなに暖かいと、新年という実感が湧いてきません。年中無休のコンビニもありますし、我が家は、テレビはビデオを見るか衛星放送の洋画邦画を録画するためにあるようなもので、季節感がいま一つわからないのです。
  【選者】 世の中は他人のために回っているようには見えますが、視点を変えれば、みんな自分が中心に回っていることにも気づきます。要は自覚だけなんでしょうね。寒くない冬は、ぼくにはありがたいのです。家に篭もりっきりにならずに、街へ出かけられるからです。
 
佳作 空っ風 商店街の旗が揺れ
師走の町をせかせか歩く犬がいる
水野亜希子
  【作者】 きょねんは、私にとって大台に乗った節目の年でした。いろいろなことがありました。ことしも元気で、ひとつずつクリアできたらと思っています。
  【選者】 商店の旗が靡いているのはよしとしましょうよ。元気のない商店街が多い近ごろ、新春の店に賑やかそうに揺れる旗を見たいものです。
 
佳作 南瓜 柚子風呂 大好き家の高校生
冬至きて星座ますます迫りくる
上地 弘子
  【作者】 家族の誰よりも、我が家の次女は日本の行事が好き。端午の節句には菖蒲湯、七夕には笹に短冊……。友だちも、ばあちゃんちの柚子湯を楽しみにしていると言っていたそう。類は友を呼ぶんだね。
  【選者】 〈ばあちゃんちの柚子湯〉とは、その背景までわかるような言葉。ふゆの夜空を眺めなくなったのは、生来の怠け癖が高じたのと視力の衰えのせい。もちろん、ぼくの話。
 
佳作 血圧は嬉しいときも上がってる
いましかない70歳を越えたって
Y・G・美保
  【作者】 年齢の割りに元気だった私が、最近元気さを補填しないと怠け癖がつきました。自分で自分に号令をかけています。やることはきちんとしよう、と思うのですが。
  【選者】 精神の高揚する人は、貴重ですね。喜怒哀楽を素直に表現し、発散していたら、きっと健やかに長生きをすることでしょうね。
 
佳作 鮮やかな色を留めて散る公孫樹
日溜りを求めてわたくしと猫は
柳田みずき
  【作者】 色鮮やかなまま散っていく紅葉に公孫樹。まだそこかしこに公孫樹の鮮やかな黄色の絨毯が残っています。落ち葉は厄介ものに。散り際は綺麗にはいかないのでしょうか。
  【選者】 紅葉・黄葉の見事さは晩秋のぼくらの心を豊かにしてくれます。わたしと猫は、それを眺めて満足しています。
 
佳作 望むのはあくまで静かな春の海
頬を打つ風に聞くのはあすのこと
ぽ ん た
  【作者】 波高し。人生の荒波に翻弄された1年でした。でも振り返れば、忘れられない1年になるかもしれません。ピンチはチャンスだと言える自分になりたいです。
  【選者】 ピンチはチャンスは、そのとおりなのでしょうね。さあ、あなたのことしの目標は、頬に寄る風は、どんなことを囁いていましたか。
 
佳作 父の切株祖父の切株冬の山
警察官自転車磨く12月
杉本 金男
  【作者】 1日1日は結構長いのに、過ぎてしまえば、あっという間に1年は過ぎます。家族揃って健康に暮らせたのが、なによりでした。ことしも、句作と釣りに励みたいと思います。先生、みなさま、よいお年をお迎えですか。
  【選者】 〈自転車磨く〉警察官はお暇そう。でも、ニュースは一瞬即発の様相なんですけれどねえ。
 
佳作 大掃除いちど捨てては拾い込む
大掃除またこの部屋をやり残す
堀  恭子
  【作者】 年末の大掃除は苦手ですが、やらなければ、どこかすっきりしないのもイヤで、結局やってしまう。それでもなかなか思うように捗りません。まあ、どこかで帳尻を合わせるという、そんな日常の繰り返し。2005年、どんな年になるのでしょうね。
  【選者】 大掃除は、〈物や事〉を消し去ってしまいがちです。ぼくは、掃除は整理だと思い続けて、家庭の支配人にはいつも叱られてばかりいます。
 
佳作 年の暮れ机の上は余白なし
新年の淡雪なれば希望あり
尾崎志津子
  【作者】 インドネシア・スマトラ沖地震の被害の大きさは、新聞が配達されるたびに拡大されていきましたね。2029年には300分の1の確率で、小惑星が地球に衝突する可能性があると、ニュースで報じられました。それはそれとして、明るいものを宿しながら年を越しました。ピッポの管理人さま、渡辺和尾先生、ご参加のみなさま、酉年も、みなさまにとって、とりわけ良い年になりますように願っています。
  【選者】 きょねんは、余白なしですか。ことしは、いかがかなあ。2029年まで、ぼくは生きていられるのかなあ(*^_^*)
 

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【終わりに】
  新年の淡雪なれば希望あり [志津子]
 さあ、淡雪舞うのかなあ、と賀状の籤番号を眺めています。そう言えば、新札で高値がつきそうな番号のものをすり替えた低次元な事件もありましたね。《お喋りコーナー》のアクセス数・キリ番に呈賞します、と書き込んでも該当者は現われませんでした。他人に迷惑などかけない遊び心に、これからも心がけましょう。さて、そこで――。

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 《ピッポ DE センリュウ》ご愛読のみなさんに、『緑』誌500号を記念する行事の第1弾を以下のようにお知らせします。
 みなさんのお出でをお待ちしています。
 ご来場くださった方の中から抽選の結果、ラッキーな方には、大野裕氏からの年賀状〔版画絵〕を呈上する予定です。後日郵送などでお送りいたします。

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 川柳誌『緑』〔渡辺和尾主宰〕は、新年号で《500号》を迎えました。記念のイベントの1環として、1月12日〜16日まで【大野 裕『緑』表紙絵原画展】を開催いたしします。

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◆こんげつの呈賞は、ご参加のすべての方に、ぼくの拙いペン書きのカードを参加記念に進呈いたします。数名の方には、粗賞ですが、お送り申します。お年玉にもなりませんが、お待ちくださいね。

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■毎月の《ピッポ de センリュウ》へのご出稿をお待ちしています。
 応募規定〈住所・本名・コメントなどの記載〉は、正確に、なるべく詳細にお書きください。
□発表は、お書きいただいた【雅号のみ】でいたしますが、記録のために、また参加賞などの送付のために必要な事項ですので、よろしくご協力をお願いします。
□発表は、選者選考し、1部に加筆・修正・削除をする場合があります。ご諒解ください
■締め切りの日時には、余裕を持ってお願いします。締め切り後に到着した分は、次月扱いとなってしまいます。
□選句発表は、締め切り日の数日後に、速やかにできるよう努力いたします。つまり、月末の所定締め切り分の発表は、月初め〔1日〕にできるように努めます。

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◆別ページの《楽しくセンリュウ〜ネットで語ろう〜》の【お喋りコーナー】に書き込みをしましょう。話題を広め、親交を深めましょう。

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………… 【渡辺 和尾】──2004-12-30 13:00

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2004年11月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【はじめに】
 2004年もフィナーレですね。
 災害や事件の多いことが、とても印象的な一年でした。晩秋に入っての台風の襲来、11月も末の北海道での地震にも吃驚しました。異常気象が日常的になってしまい、地殻変動も全国各地で起こっていて、身辺さえも狙っているような不気味さを感じます。被災された方たちには、心からお見舞い申しあげます。
 街のデコレーションは賑やかになってきましたが、いま一つ静かな感じもします。景気も上向いているとか言われていますが、庶民の財布の紐は緩んできた様子はありません。シャッター通りは、年末にかけて、いよいよ目立ってきました。
 2004年の締め括りに、景気の上向くことを願わずにはいられません。
《ピッポ DE センリュウ》のことし最後の飾り付けです。社会や人間をうたう川柳だけは、収穫があったのかもしれませんね。らいねんは、きっと良い年にしたいものですね。

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《特選》 【呈賞】
特選 冬来たる一番風呂は夫のもの
受話器より労られいて冬ここに
笹 さやか
  【作者】 紅葉はもう終わり、冬がまいりました。震災の新潟などのみなさんに、一日も早く笑顔が戻ることを願っています。
  【選者】 夫婦互いを労り合い、また隣人・友人をもまた同じですね。お風呂で疲れを癒し、心身共に暖まりましょう。
 
《秀逸》 【ポストカード】〈順不同〉
呈賞 乾燥機がんばっている日曜日
新米の季節どんどん早くなる
松本 玲奈
  【作者】 ことし2月に全自動洗濯機〔兼乾燥機〕を買いました。冬にかけても〈洗濯物が乾かない〉と言って困ることはなくなりそうです。土・日に纏めて洗濯することが多い私です。以前は、2日かけて日光に乾かしてもらっていたのです。お米は極早稲など、どんどんスピードが速くなってきて、むかし習ったり見たりした光景とずれつつあって、ちょっと当惑しています。
  【選者】 洗濯機も乾燥機も忙しいことです。盥で洗濯をしていたころのことを知っていますか。お伽噺では、おばあさんは川に洗濯に行っていたのですね。
 
呈賞 三十歳 いまだ巣立ちをさせぬ親
小言聞く息子は無言で渋い顔
野沢  司
  【作者】 息子は社会人で三十歳。急に語学留学したい、人生は一回しかないから、と。それを聞いて、反対するのを止めました。
  【選者】 社会は、人生は、親子は、などと、ぼくも来し方を振り返って見ています。小言いうほうも辛いとは思いますけれどねえ。
 
呈賞 冬の木に咲く花がいま準備中
球根を植えて待つのは巡る春
内田 順子
  【作者】 冬に咲く木の花は健気でひっそりしている。目立つ山茶花は例外で、桜にしても冬桜は小さいし淡い色の花だ。枇杷や柊も小花で、微かに匂う。冬の木と書いてヒイラギというのも愛しい。
  【選者】 生物は季節をよく知っています。謳歌する時節をちゃんと感じるのでしょうね。鈍感なのは、いつも〈ぼく〉です。そのぼくも〈おやじぼく〉ですから、お恥ずかしいことです。
 
《入選》 【順不同】
佳作 被災地の地獄のような秋景色
新札に樋口一葉顔を出す
田島 沙和
  【作者】 台風の次は大地震襲来と。秋の気持ちにはなれませんでした。心からお見舞い申しあげます。女性初の登場となる新札ですが、偉大な方だったのかと改めてテレビを見て思いました。
  【選者】 早い復興を願わずにはいられませんね。新札を探しましたが、我が家にいまだ一葉さんの訪問はありません。英世さんは、たまに。新・諭吉さんは、素通りもしてくれません。古川柳にそんな句がありましたよね。
 
佳作 秋を走る 光る列車で海に行く
歌声はあおなみ線まで届くかなぁ
園部  薫
  【作者】 私の勤めている中学校からはあおなみ線が人家の屋根の上を走っているように見えます。天気の良い日は太陽が反射して光が走っているようです。もうすぐ合唱祭!
  【選者】 あおなみ線は名古屋駅と名古屋港を結ぶ新線。まだ乗る機会には恵まれません。
 
佳作 絵を描くようにパンジー植えました
歳をとるなんの不思議もないけれど
Y・G・美保
  【作者】 天災・事故は枚挙に暇がない世の中です。今迄よく生延びて来れたと見えない神さまに感謝しています。義捐金を少し送るくらいのことしか出来ない私です。中越地方の方たちに一日も早く幸せがくることを祈っています。
  【選者】 花を植えることは楽しいこと。心を豊かにしてくれます。歳をとる、は下句のフレーズが見たような気もしてやや気になります。軽さは川柳の妙味でもありますが。
 
佳作 店員に防災グッズ勧められ
震災のニュース見ていて日が暮れて
ほっぺたが垂れた鏡を拭いている
赤白黄の小菊が咲いてこんな年
児玉 浪枝
  【作者】 越地震の本震から3週間以上も経っても、また、震度5強の余震とか。季節は秋から冬へ、容赦なく時間ばかりが流れていきます。なにごともなく過ごせる一日一日が、とても貴重に思えるようになりました。震災地の人たち、がんばってね。女性ばかり多い職場にいるのですが、お互いにあまり年齢は聞かないようにしています。昼休み、年金の話が出て、〈そろそろ貰える〉とか〈もう受けてる〉とかガヤガヤ。みんなそういう年齢かなあ?と、顔を見合わせながら、納得……。
  【選者】 災害のニュース・不安から一転、年金の話題に、鏡の中の我が顔に。もう12月になるんですねえ。
 
佳作 木についたままで枯葉になる暖秋
買い忘れコンビニになく街へ走り
田村 敏江
  【作者】 なんど街に行っても、プリンターのインクを買い忘れ、とうとうプリントできなくなり、慌ててコンビニへ……。しかし、そこにはなかったため、仕方なく自転車を蹴って街まで。この日は、紺碧の空で気持が良かったのですが、楽しみにしていた紅葉が、一部枯葉になっていて、びっくりしました。
  【選者】 季節の不順さについて行けない木の葉たち、いやいや人とて同じような感じです。体に不調のある方など、十分お気をつけくださいね。
 
佳作 失敗をしてからわかることばかり
空腹に耐えきれなくて摘み食い
香田 裕子
  【作者】 ことしは、地震対策も考えて、石油ストーブをいままでのように使用することに戸惑いを感じている。大きな地震が来れば、消えるようになっているとはいうものの、やっぱり心配です。
  【選者】 災害に怖いのは火事でしょう。火を出してしまうと大事になりますものね、地震雷火事噴火……、怖いことばかりです。
 
佳作 紅葉の中です あなたに合わせます
ひらひらと舞ったのだろうこの紅葉
春日井五月
  【作者】 色とりどりの落ち葉たちを避けるように歩きながら、この落ちる瞬間を思い浮かべるなんて私も……らしい。
  【選者】 えっ、〈……〉て、どんな言葉が入るんでしょうね。虫食い川柳ですね。
 
佳作 年金で真っ赤なポインセチア買う
水を買うなんて文化はオレにゃない
沼沢ひろし
  【作者】 時事川柳ばかり書いていましたが、ある川柳誌でたまたま見かけた《ピッポ DE センリュウ》を検索。新鮮な感覚に感動、自分も仲間に加えてもらえるかな……と。
  【選者】 むろん、もうお仲間です。〈年金で花の一鉢買って豊かに〉〈水道水だってお金がかかります〉と、気安く川柳、気安く一句。それでいて考えさせられる……。
 
佳作 蜜柑山 触れば触れる蜜柑と空
木曽川も揖斐川も平和に流れ
柳田みずき
  【作者】 小さな山に登りました。道の両側に溢れる蜜柑と青い空。三つの川は平和に緩やかに流れ、災害のことを忘れた一日でした。リュックの中に銀杏を詰めて匂いを気にしながら、電車で帰りました。
  【選者】 爽やかだった一日が作品から伝わります。秋を満喫、よかったですね。
 
佳作 欲のある自分が作る苦しさよ
雨ばかり 気持ちの黴を振り払う
ぽ ん た
  【作者】 苦しい山登りの最中です。登りながら心の迷いやざわめきが納まらず、更に苦しいのでしょう。あまりに直情的な川柳と思いながらいっぱいいっぱいです。
  【選者】 いっぱいいっぱいは真剣な心の表現。気持ちの黴を陽に曝して、あすからをまた力強くまいりましょうよ。
 
佳作 この子らの担う七五三の行事
永らえて十一月の空の青
杉本 金男
  【作者】 連休で久しぶりに田舎へ行き、地域の人たちの林道修理に参加しました。幼なじみも、みな年取っていましたが、懐かしく、秋晴れの爽やかな楽しい一日でした。
  【選者】 気分転換は必要ですね。それがふるさとの地でなら感慨深かったでしょうね。永らえて、はちょっとオーバーな表現かな。
 
佳作 カイズカの香り残して庭師去ぬ
剪定後の庭に夕陽の二つ分
恒川和左子
  【作者】 毎年11月に庭師さんが入ると、ことしも余すところ一か月半と少しになります。センチにもなります。でも、明るく視界が広くなった分、元気が出ます。
  【選者】 夕陽の二つ分、が作者の心の現れでしょう。我が家の庭は、誰も手入れしませんので、いつも夕暮れ状態です。
 
佳作 羊雲 きょうの私の心にも
心まで秋で冷たく凛と燃え
上地 弘子
  【作者】 やっとやっとパソコン購入いたしました。初メールです。よろしくお願いいたします。
  【選者】 祝・パソコンご購入。これからは視界もさらに広がることでしょう。らいげつもお忘れなくね。
 
佳作 ハリハリ鍋海に鯨がいるかぎり
カレー鍋マグマ大使よ食べにこい
尾崎志津子
  【作者】 ほんの子どものころ、ハリハリ鍋は鯨と水菜やった。いまは鯨の替わりにあげさんとか薄切りの牛肉を使うけど、これやと鍋やなくて、水菜のたいたんという感じ。このカレーは、じゃが芋が溶けて、グツグツとマグマみたいになってしまったんやね。《マグマ大使》好きやったなあ……。いまはむかしの物語。
  【選者】 カタカナがお好きな年代やねえ。関西地方の発音は、聞いても書いても柔らかいですねえ。
 
佳作 落葉以後向かいの家がよく見える
落葉掃き葉っぱも人もカラコロと
泉  繭子
  【作者】 巷では冬がなかなか来ないようですが、こちらはとっくに紅葉も終わり、葉っぱもみんな落ちてしまいました。冬は月や星がきれいです。
  【選者】 1句目の落葉の平凡さに比して、2句目の〈葉っぱも人もカラコロと〉に僅かな哀愁を感じました。〈ああ、これ、ぼくのことやねん〉と関西鍋。
 
佳作 鼠も蛇も住んでいるから面白い
揺さぶって見れば分かるさ本心か
吉田三千子
  【作者】 晩秋のいちにち。近いところの紅葉も捨てたもんじゃないなと思います。自転車で走る10分ほどの距離のイチョウやドウダンツツジやサクラがとても美しい晩秋でした。山茶花も雪を配したように白い花を満開にしていました。落ち葉対策だなんて、いち早く裸木にしてしまう行政のあり方には、心が痛みます。ことしの秋はこれで終わりに。
  【選者】 作品はトントン尖っていますが、いいところを突いています。揺さぶれば相手の心が見えてくるは、その通りなのでしょう。お付き合いは、格好だけでは疲れてしまいますね。
 
佳作 自由席ののぞみに乗って着いた駅
約束をするのは冬の駅前で
西川ほしみ
  【作者】 《のぞみ》に自由席があるのを最近知りました。名古屋から京都まで立ちました。いろいろなことに目を向けないといけませんね。
  【選者】 〈京都行こう〉のキャッチフレーズができてから、一度も京都に出かけていない不束なぼくです。むろん、〈東京行こう〉も、果たしていません。
 
佳作 膝小僧おまえも苦労してるのね
トーストがこんがり焼ける まだ眠い
堀  恭子
  【作者】 夜は時間がたっぷりあって、つい夜更かしをしてしまう。まだ五時間もあると思うその瞬間に、幸せを感じている。でも、過ぎてしまう時間の儚さには、いつも裏切られているけれど……。
  【選者】 早寝早起きのぼくでしたが、近ごろは、早寝遅起きの大人になりました。このまま、あすは起きないんじゃないかという不安も、ときになきにしもあらずです。早朝フォン、お願いね。
 

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【終わりに】
 このようなわけで、ことし最後の発表を終わります。一年間のご贔屓をありがとうございました。ご出稿の方、お読みの方、少しは肩が楽になりましたでしょうか。
 ぼくのほうは、作品稿が到着してから、24時間程度での出稿となります。なんにんもの手を経て、12月分も無事発表の段取りとなるのです。表方と裏方と参加者・読者が一体となっていなければいけないのです。
 新春・2005年1月発表を順当にするために、年末は少し早めに作品をご提出くださいね。コメントには、いつものように作品の背景の他、新春への期待・決意・抱負……などをお添えください。
 それでは、少し早いですが、よいお年をお迎えくださいね。

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 ※雪の報 古い手紙を読み返す     渡辺 和尾

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 こんげつの呈賞は、作品に関係なく、作品を早くお寄せいただいた方に、《がんばったで賞》として差しあげます。粗賞ですが、お待ちくださいね。

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2004年10月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【はじめに】
 行楽の季節真っ盛りです。紅葉・黄葉と森や山は夢を与えてくれるようです。季節の移ろいの中で交流を深め、その成果を、その深まりを、たくさん作品化しておきましょうよ。
 この原稿は、十月も末の夜から書き始めています。気候も秋の深まりへと進んでいるようで、暖房のない部屋では、背中がゾクッとすることがあります。いよいよ、風の、風邪のシーズンに入るのですね。この気候の変化に留意されて、秋の小旅行にでも出かけませんか。
 《ピッポ DE センリュウ》は、あなたが主役の広場です。こんげつも、さあレッツゴーです。

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《特選》 【呈賞】
特選 靴下の穴から風が吹いてくる
落葉に水の温さを感じつつ
香田 裕子
  【作者】 季節の変化を楽しむというより、ことしはなんだか地球の異変を感じます。台風は、たくさん襲来しましたね。
  【選者】 極地の氷が解け始めていると言われるようにあらも、いっこうにエネルギー消費は減っていないようです。行き着く先も、もう見えているようです。ああ、怖い。
 
《秀逸》 【ポストカード】〈順不同〉
呈賞 季節変わりの笑顔に会えて感謝する
お互いに大人になった街角で
吉田三千子
  【作者】 旧聞ですが、第13回センリュウ トークも終わりました。終了の夜、なんとなく頭の隅が冴えてしまい眠れませんでした。忘れていた投句を深夜にしています。
川柳という型式を借りて自由に書くことの魅力。秋の深まりと共に先達の川柳作品を読みたいと思っています。
  【選者】 先月行方不明にしてしまった作品です。コメントもピント外れになってしまい済みませんでした。お詫びします。
 
呈賞 あの山も北風小僧の襲来だ
山紅葉あの日返してくださいな
吉田三千子
  【作者】 久しぶりに健康診断に行ってきました。身長・体重・血圧・採血・採尿・心電図など、一通り済ませました。問診票に書き込んだ内容をドクターは確認。いま悪いところはありません、と言って、次の診察室へ。言えば、きりのない検査になることでしょう。結果は数日後になります。帰りは、もう氷雨のような町に。
  【選者】 こちらは当月分です。コメントに作品がマッチしませんが、〈あの山〉と客観視せずに、〈この山〉と読み替えれば、現実に繋がるのかも知れませんよ。
 
呈賞 追悼は報告だけで あと宴
剽軽もの剽軽なまま老いている
恒川和左子
  【作者】 小学校の恩師の追悼の会を同窓で行った。恩師の思い出話をするでもなく、一片の報告に終わった。宴は花盛り。ほんとうに亡くなったらお仕舞いですね。
  【選者】 同窓会は、なんのために開くのでしょう。開くたびに空しくなるという人も多いようです。無事を確かめ合うのも、ある期間ということなのかも。老いというものを直視しなければならないのは、感無量ですね。
 
《入選》 【順不同】
佳作 いつまでも静かに見たい十三夜
我が犬も人間並みに一戸建て
ち び 丸
  【作者】 お月見……とにかくテレビやラジオを消して、ゆっくり静かに優雅に見たいですね。犬は、ほとんどが一戸建てですよね。しかも庭付きのところもあり、幸せです。
  【選者】 あ、そうだ、お月さまをしばらく見ていないと気がつきました。今晩は、運悪く秋の雨ですし。
 
佳作 嫌みだね 幾つに見えると訊きたがり
名を忘れ相手に訊けず悶悶と
野沢  司
  【作者】 馬齢を重ねて半世紀余、意地を張らず、若人に従えばいいのに、生来の頑固さが頭をもたげてしまい反省しきり。しかし直らない。
  【選者】 年齢は容貌でも、仕種でも、話しぶりでも、それとなく伝わります。相手の名前が出ないことなど、へいっちゃらの〈ぼく〉ですよ。
 
佳作 ギンナンを煎る音 秋を告げる音
いまはまだ現役 柿の実が甘い
児玉 浪枝
  【作者】 この秋穫れたてのギンナンをカラカラと煎ります。茹だるような暑さから解放されたキッチンは、秋に入り息を吹き返しました。散歩道の栗の実も、柿の実もたわわです。
  【選者】 一句目のギンナンを煎る軽やかな音、ことしは拾わなかったなあ。季節の行事を忘れていたりすると、寂しさや哀しさが込み上げてきますね。〈柿の実の甘さ〉と〈現役〉というイメージがもっとしっくりと馴染むといいね。
 
佳作 上空を行く爆音に見る夕陽
飛行機でよく駆けつけた空の路
内田 順子
  【作者】 中部国際空港が開かれる、いま上空を音高く飛ぶ飛行機も、航路を変えるだろうと思って、ベランダに出ました。すると、真っ赤な夕陽が沈みかけていた。繰り返されるが同じではない大自然の営み。
  【選者】 新空港になると、いまより、ぼくの家に近くなります。アクセスの便利さと騒音との板挟みになるのではないかと思っています。
 
佳作 見物の輪の中にいてただ孤独
ひたひたと潮満ちてくる胸のうち
園部志津代
  【作者】 名古屋祭りが始まりました。花電車が好きでした。このごろは花バスになりました。時間どうりに現れないのが良いところです。
  【選者】 なにを見ているのでしょうか。また、潮満ちる感動とは、なんなのでしょうか。コメントがあって初めて伝わります。名古屋まつりは、なにがあるのでしょうか。近くにいてもとんと知らないのですよ。
 
佳作 祭とは参加すること歩くこと
休日は雨降り友と語る日に
西川ほしみ
  【作者】 秋晴れに誘われ、大須のお祭りに行きました。大道芸人たちの芸の素晴らしさに感動し、〈この道に入ったきっかけとは〉と興味を持ちました。私も少しは体を動かさなくてはいけないなとも反省しました。
  【選者】 感動があったら、事実の報告はもちろんですが、感動を言葉に置き換える手法を覚えると、読者にも感動を伝えられるようになることでしょう。
 
佳作 蔦絡むお前なんの木 着物着て
雲の様移り行くのに心奪われ
田村 敏江
  【作者】 早朝散歩中、全体が蔦に絡まれている木があり、〈蔦絡むお前なんの木お化けの木〉に見えた。〈お化け〉か〈着物〉、どちらが良いか迷いました。23号台風が去った日の早朝に、急速に動く雲の形を見ながら、自分の心の中を映されているように感じられて作りました。
  【選者】 言いたいことがあって、それをいっぱい一句に納めようとするとしんどいですよ。作品は、ほんの些細なことを纏めてもいいのです。
 
佳作 婆が来る 子どもの次は介護かな
子の脱皮 ときと痛みに親も耐え
ぽ ん た
  【作者】 久しぶりに投句しています。さまざまなことが降りかかってきますが、犬の散歩のときに空を見上げると、忘れていた秋がそこにありました。しばし悩みが消えていくようでした。どこかへ秋を探しに行きたいと思っています。
  【選者】 生活、とくに家族の成長・老齢化など、社会全体の問題ですね。〈あすは我が身〉ならず、ぼくなど〈いまの我が身〉なんです。ぼく自身を持て余していますよ。
 
佳作 膝抱え順番待つ子運動会
嵐去り配備解かれて飲むコーヒー
杉本 金男
  【作者】 なんとも台風の多い年でした。非常配備で、7回も職場に泊まりました。 幸いにも、当地域には大きな被害もなく、ほっとしています。いつの間にか、秋。静かな秋になるとよいのですが。風邪も流行っているようです。みなさま、ご自愛のほどを。
  【選者】 社会性の地域性の強いお仕事のようで、ご苦労さま。たしかに、ことしは災害の多かった年で、多忙だったことでしょうね。
 
佳作 余震続く冬に向かう季節の中で
避難所お年寄りから先に死ぬ
柳田みずき
  【作者】 ことしは異常気象が続きました。日本列島を縦断した大型台風、震度6という地震。酷暑の夏も。名古屋港に来る予定だった海王丸の雄姿も、しばらく見ることはできません。過疎の村のお年寄りに寒さは堪えましょう。早い復旧を願うのみです。
  【選者】 避難所の作品は、本当なんでしょうが、なんとも悲しことですね。いつ、どんな災害や災難が降りかかるのか、心して一日を過ごしたいものですね。
 
佳作 異常事態 赤いセーター畳むなり
颱風も地震も乗せて星の運行
尾崎志津子
  【作者】 連日のように災害のニュースが流れ、自分にできる備えはしておかなければと危機感が高まる。繋がるかどうかは分からなくても〈ケータイ〉も携帯していないと意味ないな……。
  【選者】 そうですね。台風が襲おうと、地震があろうと、地球は回っています。大きな力に、ぼくたちは左右されて生きています。
 
佳作 ジャンボとは こんな大きな牡蠣フライ
あちこちにエレベーターが急に増え
春日井五月
  【作者】 教室帰りの昼食の牡蠣フライはお品書き通りのジャンボ。そして久しぶりの駅には、エレベーターが増えてました。
  【選者】 牡蠣フライは美味しかったようですね。大きいこともよいことがあるのですね。エレベーターは急に増えたように見えるだけですよ。まだまだ公共の施設は満足ではありません。いくぶん身体の不自由なぼくから見れば、ですがね。
 
佳作 火曜日に買う生協のカレーパン
削り直してやると鉛筆よく喋る
佐々木ええ一
  【作者】 台風に地震と、ことしは日本列島は大変な年でした。秋を通り越して 一気に冬へ。それでも句会は目白押しです。
  【選者】 そうですか、火曜日ですか。こういう限定は真実味を増しますよ。鉛筆が喋るのは、どうかなあ。〈よく書ける〉のように素直な表現のほうが、ぼくは好きですが。
 
佳作 青空がキンコンカンと冷えてゆく
あまりにも惨いでないか鯰さま
松本 玲奈
  【作者】 初めて投句します。川柳ってなにか手探り中です。
  【選者】 キンコンカンは、面白いようで、実はたいして意味を感じなくしています。擬音は有効に使いましょうね。〈鯰〉は、中越地方の地震を表現したのですが、いまとしては笑いが残酷過ぎるようにも感じます。
 
佳作 確実に冬に向かってゆく気配
山積みの防災適応商品です
水野亜希子
  【作者】 今回の新潟県中越地震は、本当に酷く、被災地の方たちのご苦労を思うと胸が塞がります。せめて雪の降るのが遅いようにと祈っています。
  【選者】 〈確実〉は、作品以前でしたね。地震以後、〈防災適応商品〉が、売れ筋とか。さあ、役に立っても、立たなくなっても困りますね。そして、いつから防災意識が薄らいでいくのでしょうか。
 
佳作 被災地を思う毛布にくるまって
この月を見ているこころさまざまに
堀  恭子
  【作者】 2004年10月27日、名古屋市覚王山の揚輝莊のお庭でお月見の会がありました。チェロの演奏、『山月記』の朗読など、木の間から射す月の光に照らされて、車の騒音さえなければ、もっと情緒的だったのですが……。冷え込みの厳しい夜でした。地震の被災地のことをずっと思っていました。
  【選者】 台風も噴火も地震も、なんでも災害ありの2004年でした。観月の集いは寒かったようで。きっと厳しい冬が来るのでしょうね。
 

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【終わりに】
 まず、《出句規定、とくに出句者のメールアドレスは間違いなく記載してください。出句前のアドレス再点検をお願いします。管理者からの投句受領メールが届かない方は、特にご注意願います。なお、メールアドレスは、各自に適宜の単語登録をしておかれると、打ち込みミスは減ると思います》……管理人から周知を願う依頼がありましたので、出句の際には、よろしくお願いいたします。

 秋雨の音が、次第に本格的になってきた夜半です。いよいよ冷えを感じるようになってきました。
 さあ、十一月・十二月締め切り分は、心持ち少し早めにお出しくださいね。短い選評ですが、数時間で書き上げてしまわないと、ネット上に予定どおり流せなくなりますので、どうかご協力くださいね。
 では、また次月にこの場でお会いしましょうね。

 ※秋の雨 愉快なことも少なすぎ 渡辺 和尾

………… 【渡辺 和尾】──2004-10-30 21:00

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2004年9月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【はじめに】
 九月二十五日に開催の「第13回センリュウ トーク」は、無事終了いたしました。ご支援いただいた方には深く感謝いたします。作品などの成果は、『緑』十月号に発表いたします。しばらくお待ちくださいね。続きまして、来年三月二十六日には「第14回朝日中部川柳大会」をいつもの朝日ホールで開催いたします。内容などの詳細は、近日発表するよう計画を練っています。ご期待ください。
 さあ、爽秋一番の《ピッポ DE センリュウ・9月出稿分》の発表です。コメントにもありますが、十月初旬でも、なお息苦しい暑さが残るという過ごしにくさです。地震・雷・火事・津波……と、自然災害になんども襲われている年です。心して過ごしていきましょうね。そんな《いま》という時代を川柳で書き残しておきましょう。後年になるにつれて、きっと、この時代がはっきりと見えてくることでしょうね。

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《特選》 【呈賞】
特選 聞くだけはうんざり 川柳考える
ぼくの句が一番いいと思いたい
野沢  司
  【作者】 見様見真似で川柳始めて五年。最近面白くなり出しました。やっと日本語は味があること発見。これからも駄作ですが作り続けたいと思います。
  【選者】 川柳なんて、という時代に僕は川柳を始めました。虐げられた文芸を身をもって感じてきました。どうしたらいいかを考えてきた四十年でした。まず、川柳の良さを自分自身が感じることが大切なのだと思うようになりました。
 
《秀逸》 【ポストカード】〈順不同〉
呈賞 パトカーの前でススキを採っている
萩 芒 自給自足をすることに
恒川和左子
  【作者】 根刮ぎ刈られた堤には、芒も萩も見られず、がっかりです。やっと見つけた芒は、鉄条網の向こう。どうやら手に入りましたが、ふと見ると、パトカーが止まっていました。来年はススキやハギの鉢を探して地植えし、自給自足しよう話し合い、友だちと別れました。
  【選者】 ススキの前でパトカー休憩の図、と僕は読みました。自給自足とは、庭の植木鉢に植えておくこと、とか。はたして思ったように、らいねん間に合えばよいのだけれどね。
 
呈賞 イベントが終わり次へという →
→ の方向にある光る海
堀  恭子
  【作者】 一つのことが終わっても、休みなく《時》は流れて、次へという矢印〔→〕を、また追っていくのですね。
  【選者】 川柳で、ときには少しくらいの破れかぶれも愉快です。記号や絵文字も近ごろ作品には使われることもありますが、作品の中でうまく一体化するかどうかは、これからのもんだいでしょうね。
 
《入選》 【順不同】
佳作 デパートで買い物をして風邪をひく
金で感激 原発でしょげ 残暑お見舞い
どうけきよし
  【作者】 ご無沙汰の段、お詫び申しあげます。まだ生きております。どうぞよろしく。
  【選者】 夏のデパートは、とっても冷ややかでした。老人の域に入った僕も冷血動物の部に入ったのでしょう。背広を常用していても寒くって長居はできませんでした。原発は問題点がだんだん明らかになってきましたね。
 
佳作 雷と花火 一緒に光る夜
傘を差し合羽を着込み見る花火
関本 満美
  【作者】 近所の花火大会がなくなったのは寂しいことでした。雷雨の中で実行された花火大会もあったとか。ビルの上に揚がる花火のクライマックスを、我が家の二階から釘付けになって見てしまいました。
  【選者】 ことしの名古屋の夏の夜の思い出です。《雷と花火》は、冗談でしょう……という事態でしたね。
 
佳作 気合だあ 親子で取った銅メダル
オリンピックに感動 涙の閉幕式
ち び 丸
  【作者】 ことしの夏は、アテネでの親子が印象深いかった。厳しい父だが、優しさもある父。羨ましい親子だった。閉幕式で、いろんなことを思い起こしながら、いい雰囲気で見終わりました。
  【選者】 時事川柳の多くは、すぐ消えていく運命にありますよね。オリンピックもあっという間に過去になってしまいました。長く生き続ける作品とは、ということも、真剣に考えなくてはいけないでしょうね。
 
佳作 長雨にめげることなく秋ロマン
伸び止まる蔓に夕日のご苦労さん
内田 順子
  【作者】 秋には秋の年中行事のような私事があるものですが、その計画は、暑さに疲れたころに立てなければなりません。そうしなければ、錦秋に身を置く幸せは遠くなります。
  【選者】 思いと表現の絡みが適切なとき、作品は快く心に入ってくるようです。心を直接掴み取るように、もう少し具体的な事や物を書いたらいかがでしょうか。
 
佳作 手紙書く 秋は静かに更けてゆく
友だちに会える コスモス揺れている
児玉 浪枝
  【作者】 台風や地震に見舞われながらも、季節は確実に動いています。ひんやりした夕暮れの風を受けると、姉妹や友だちに手紙を書きたくなります。便利なメールもよいけど、やっぱり手紙も好きです。
  【選者】 軽い作品です。それから、どうした、などと言われないためにも、事物をさらにじっくりと見つめてから書くとよいかもしれませんよ。
 
佳作 心ない人が犬猫捨てていく
若い気でいても献血できぬ歳
Y・G・美保
  【作者】 心の持ち方で気持ちは若くなりますが、悲しいことに献血はできないという現実が突き刺さります。優しい心を心に貯えて、少しでも世の中を明るくしたいのです。
  【選者】 ペットは飼わないと、ぼくは四十年も前に決めました。文鳥や金魚は、それ以後もしばらく飼っていましたが、子どもらが成長してからは、それも止めました。
 
佳作 地震来てじっと天井睨むだけ
津波とか 秋刀魚はどこへ避難した
香田 裕子
  【作者】 秋刀魚がいない、鰯がいない、鯊もいない……とか。きっと地震が恐くて避難しているのでしょう。海中で地震に遭ったらどこへ逃げようかしら?
  【選者】 この前の地震には、なすすべなく、僕も天井を見つめていました。長い長い時間に思えました。もっと大きな地震が来たら〈さあ、お覚悟を!〉と、相成ります。
 
佳作 妻も子も団地の小さな踊りの輪
岩魚釣る一人のキャンプ星の夜
杉本 金男
  【作者】 仕事柄、台風と地震で三回ほど非常警戒の徹夜をしました。交代で仮眠はしたものの、疲れる二週間でした。この地方には大きな被害もなく幸いでした。私の田舎の松阪では地震の揺れが酷く、実家の土蔵〔築百年〕の漆喰の壁が一部剥がれ落ちてしまいました。現代では完全な修復は難しいらしく、困っています。ともあれ、誰も怪我はなかったのが幸いでした。こうした状況を川柳に詠もうとしたのですが、生生しすぎて、どうもうまくいきませんでした。
  【選者】 コメントのような危機意識に満ちた作品を拝見したかったですね。提出された作品は生活の報告で、作者の真意が伝わりにくいのですよ。どうか、コメントから十句は書けそうですから、頑張ってくださいね。
 
佳作 お疲れの様子 クーラー 蚊遣り豚
まだ暑い暑いときょうはお中日
春日井五月
  【作者】 お中日のきょう、おはぎを作ったのですが砂糖が足りないと言われ全く同感。それにしても暑いお彼岸です。
  【選者】 暑い夏を書いていますが、インパクトが弱いように思われます。さあ、自分を芯に置いて書いてはみませんか。きっと展開がみられるはずですよ。
 
佳作 ばあちゃんの笑顔は無形文化財
蠅取りリボン捻れて第二反抗期
佐々木ええ一
  【作者】 台風一過 やっと秋らしい風が吹くようになりました。少し気を入れて 作句しなければと自分に言い聞かせています。
  【選者】 リボンが捻れて〈第二反抗期〉とは、うまく書き上げましたね。川柳は比喩がとても大切な要素です。古くて新しい要素です。ばあちゃんの笑顔は平板でした。
 
佳作 蝉十匹網戸に這わせたぼくの夏
茸にょきにょき不思議の森にいる
柳田みずき
  【作者】 雨後の森は不思議な茸に溢れていました。腐った倒木には、白い小さな茸が、その周りには、あんパンそっくりの茸が、黒いのもあって、アリスの国を思わせるような森の変化が楽しい。森を抜けると、広場の青い毬栗が叩き落とされていて、現実に戻りました。
  【選者】 お孫さんとの時間が多かった夏なのでしょうか。茸にょきにょきは、コメントにより納得しました。現実と非現実の世界なのでしょうか。
 
佳作 見つめればむかしを語る女郎花
揺れて返事を待っている女郎花
いとうていこ
  【作者】 誰かに伝えておきたいことが一つや二つあります。花にでもいいし、風にでもいいし……。
  【選者】 伝えることを、伝えたいことを、作品に書いておけるのが、僕たちなのでしょうね。書き残せば、いつかは理解を得られることでしょう。女郎花が一年中使えればよいのですが。
 
佳作 お団子を供えているが曇り空
優勝セール乗り遅れてはいけません
水野亜希子
  【作者】 せっかくのお月見も、曇り空に。また台風も来ているし、ドラゴンズの優勝も近いし……。なかなか落ち着かない秋ですね。
  【選者】 いま、十月一日の夜の九時です。セリーグの優勝はいまの段階では決まっていません。イチローの大記録達成も、しばしのお預けの気配。思うに任せないのが世の中というものですね。ことしのぼくのお月見は夢の中でした。
 
佳作 お揃いのセーター着よう西と東で
分かちあう海の青さと傷の深さと
尾崎志津子
  【作者】 店先には秋物が並び、街は秋の装いになろうとしています。久し振りに会う友人にお揃いのセーターを買ってしまいました。でも、お揃いというのは、黙っていようかな。
  【選者】 悪戯心に買ったお揃いのセーター。作者は心の安らぎを得られましたか。思い出は海の青さに同化していくのでしょうか。
 
佳作 竹串がスーと通り名月や
あの日から百年ですねお爺さま
園部志津代
  【作者】 暑かった夏もようやく終わるかと思っていますが、中秋の名月の今宵、涼風の中に虫の声が聞こえます。
  【選者】 あの日、とは歴史書でも紐解いてみましょうか。思い出はなんなのでしょうね。竹串に通ったのは名月なのですね。通ったように思ったのでしょうね。その名月が団子のイメージに重なったのかも知れませんね。
 
佳作 愛用の帽子柩に虫しぐれ
喪の人となるや羅〔うすもの〕の帯しかと
笹 さやか
  【作者】 暑さ寒さも彼岸までと言いますが、肌寒さを覚えるころとなりました。訃報を受け、秋の深まりをいっそう感じました。
  【選者】 亡くなった人を思う二句。秋は虫鳴いて淋しくなるときがあるものですね。虫鳴いたあとの静けさ、儚さを、なんとしよう……か。
 

∞∞∞∞∞ ∞∞∞∞∞ ∞∞∞∞∞
【終わりに】
 こんげつは、発表が遅れました。僕の体調不良ということにして、お許し願いたいと思います。
 秋は行事のプランは多いと思いますが、十分満喫していただきたいと思います。
 繰り言を並べるより提出するほうが先だと思いますので、こんげつはここまでに。

………… 【渡辺 和尾】──2004-10-01 21:00

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2004年8月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【はじめに】
 九月からを、よく爽秋に入る、とか言って、夏の暑さからの訣別を伝えようとします。心構えの言葉なのでしょう。実際は、台風が襲ったり、とんでもない暑さが居座ったりと、不安定な時節ですね。それでも、街の風景や、空の青さや、街路樹の緑など、微妙に色の変化が感じられて、いわゆる秋を感じるようになりますね。運動会の音楽や掛け声が聞こえるようになったり、遠足の話題が流れるようになると、もう秋真っ盛りに……。
 あなたの秋のスケジュールは、いかがでしょうか。どうか、存分に爽秋を謳歌していただきたいものです。

 そして、この【ピッポ DE センリュウ】九月分締め切りにも乗り遅れないように、早めに送信しておいていただきたいと思います。【第13回センリュウ トーク】の事前投句・当日分の投句もお忘れなく。いずれも、別項をご参照くださいね。

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《特選》 【呈賞】
特選 夏が逝く燃焼したのは余所の人
かの友と危うき小径彷徨いぬ
尾崎支朱子
  【作者】 ほんま暑い、熱い、夏でした。個人的には、篤い夏でした。学生時代の友人と時間と空間を越えて再び出会えたことが、訳もなく嬉しいことでした。さてさて、《第十三回センリュウ トーク》の熱い九月へと時間は進みます。
  【選者】 他所の人が燃焼したとは、愉快な表現。実は、本当に作者は、そう思っているのでしょうし、そこの読者との理解のズレが楽しいのです。
 
《秀逸》 【ポストカード】
呈賞 一の虹二の虹 胸に三の虹
情報を半分聞いて生きている
園部志津代
  【作者】 名古屋の夏の最高気温にはまいりましたね。
  【選者】 まだまだ暑さは残りますね。でも、そんなときに、作者は虹を見つけたと、その感動を書き残されたのです。情報は操作されることもあります。その情報の出所の信憑性や確認は大切なことなのでしょうね。
 
呈賞 町の灯の一つは僕のため点る
さくら貝 透かすと見える夢未来
柴田 忠司
  【作者】 旅が生き甲斐の私 孫を連れて3泊4日で沖縄へあすです。出発の予定なのに、台風が二つも接近しており心配しています。沖縄を反れて行ってくれるのを祈るばかりです。八月二十二日午前現在のことです。
  【選者】 《町の灯》には、作者の光る瞳が見えます。すべてのことを明るく変化させるエネルギーを作者は持っているのです。台風十六号も、当地・名古屋には大きな被害もなく過ぎ去りました。被害に遭われた地域のかたがたにはお見舞い申しあげます。
 
《入選》 【順不同】
佳作 雑用でも順番決めて手際よく
忙しく家族バラバラ盆休み
ち び 丸
  【作者】 雑用は適当にしてしまいますが、やはり優先順位を決めてから、みんな休みがバラバラで勝手にしていることが多いですね。
  【選者】 忙しい夏の休暇のようでしたね。多忙なときが懐かしくなることがあるともよく聞きます。自分でこなせる程度の多忙は、よしとしましょうよ。
 
佳作 蝉の声だけが耳から離れない
ベランダに秋が行ったり来たりする
児玉 浪枝
  【作者】 ベランダに上がると、風はすこうし秋の匂い。夏の猛暑を堪能しているのか名残惜しいのか、蝉だけが、やたらに大きく鳴いている。夏は夏らしく秋は秋らしく生きていきたいけれど……。
  【選者】 作品とは不思議なもので、作句した当時の感動が、発表のころには消えてしまっていることがあります。季節が入っていようといまいと、あまり関係なく、作品内容を、どう作者の心が普遍化しているか、と言うことが大切なのでしょうね。さらなるジャンプを期待しています。
 
佳作 午後三時 誰も通らぬ家の前
勝者は自慢話をやたらする
Y・G・美保
  【作者】 なにごとにも勝者は喋りまくり、敗者を下に見ることが多いのです。もう少し謙虚になれば尊敬します。なんて、いつも負け犬の私の負け惜しみでしょうか。
  【選者】 この世は生者・勝者の歴史だと思います。まさに《勝者は自慢話をやたらする》の作品の通りですね。夏の暑さも終わって、これからは作者の家の前も、賑やかな通りになることでしょうね。
 
佳作 長いのか 夏期の休暇はあっと過ぎ
渋滞に巻き込まれない 家にいて
香田 裕子
  【作者】 オリンピックは、勝っても負けても、感動しながらテレビ観戦をしていました。同じ人間だとはどうしても思えない技を見て、絶句してしまいました。もちろん、金メダルには思わず貰い泣きしそうになっていました。
  【選者】 盆・暮れ・正月などの忙しいときは遠出などしないで、家にいるに限ります。人が動かないときに、自分の行動をすれば、車もスイスイというわけですよねえ。オリンピックは、僕の中では、関心のウエイトを占めていませんでした。すみません。
 
佳作 横文字をやたら使うな ここ日本
横文字を使いハイカラ装うバカ
野沢  司
  【作者】 昨今、やたらカタカナ語多くて、食傷気味です。意味が判って言っているのかなあ。外人さんも判らないカタカナ語をです。外国人には通じなくて困っている由。へんな国です。
  【選者】 《美しい日本語を大切にする運動》をしないといけませんねえ。和製英語とかいうものが氾濫しているようですね。マカロニウエスタンってのも言われましたね。カタカナが悪いわけじゃなくて、使い方の問題なのでしょうけれど……。
 
佳作 山女釣る夜明けの川の水匂う
夏の日の二人のジェットコースター
杉本 金男
  【作者】 ようやく涼しくなってきました。娘たちが大きくなり、学校で古典を習うようになったので、ときどき『徒然草』や『伊勢物語』を一緒に読むのが楽しみです。
  【選者】 魚釣りが好きな作者だと、すぐわかる作品です。《水匂う》に、釣れそうな予感が漂っています。《ジェットコースター》は、若若しい方が周辺におられる雰囲気で、未来が窺われます。
 
佳作 兄弟で意見の合わぬ親の脛
記念日の多い八月沁みる汗
大旱の嘆きを襲う泥の雨
三 千 代
  【作者】 みなさまの秀吟を拝見するたびに、いつも気後れがしておりました。思い切って愚作をお届けして、ご縁をいただきたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。
  【選者】 愚作と謙ることはありません。書くということは、本当は誰もが恥ずかしい思いがするものなのかも知れませんよ。それをあえて書いて、自分の可能性を試しているのでしょうね。どんどん、これからも参加していただきたいと、心から思っています。
 
佳作 天窓の空も曇って夏疲れ
秋になる ブルーベリーのジャムを買う
児玉 浪枝
  【作者】 台風台風と攻め立てられながら、八月も終わりに。蝉の声も小さくなり、鎮まった町は淋しささえ感じます。身体は少し夏バテ気味。この夏、なにをして過ごしただろうかと、空を眺めて振り返っています。
  【選者】 目の質が悪い僕も、ブルーベリーはよく買います。効き目のほどは分かりませんが、気休めにしても、少しずつ摂っています。ジャムは高価ですが、美味しいよねえ。
 
佳作 全線開通 とてもよいクスリです
曲線のここらあたりにある浄土
佐々木ええ一
  【作者】 猛暑の後遺症で、ぼんやりしています。朝晩少し涼しくなったので 気を取り直して作句に励みたいと思います。
  【選者】 作品は、まず解りやすく書くことでしょうね。〈クスリ〉〈浄土〉という言葉が、いまひとつ理解を留めてしまうのが残念でした。
 
佳作 子守唄 息を吸うこと吐くことと
赤蜻蛉 我木香慕い羽をおく
いとうていこ
  【作者】 ことしは幾つも台風が来ています。少し不吉な思いが拭えません。そして急速に秋が近づいてきたようです。八月の末に鈴虫も鳴いています。
  【選者】 幼子の仕種は、見ていて飽きることがありませんね。時間の過ぎることも忘れてしまうようです。しかし、母親の苦労は、気の遠くなるほど大変なのでしょうね。
 
佳作 台風の余波を受けてる海岸線
夕月が昇って秋の虫の声
吉田三千子
  【作者】 猛暑の夏を生き延びて、虫の鳴く夜を迎えています。自然に生かされていることを思う秋の始まりです。猛烈な台風十六号が本土を襲いました。伊勢湾台風の当時をを思い出します。どのコースを辿っても、被害は拡がっていきます。秋のトークの作品締め切りの九月三日も迫っていますね。
  【選者】 二句目に作者の小声が挿入されるとよかったですね。つまり、〈秋の虫の声〉を、《作者の声》とだぶらせるような構成にしていただけたらよかたと思っています。
 
佳作 検索をするからちょっと待っていて
少しだがアテネの街も知りました
春日井五月
  【作者】 アテネの街は見せたくないビルなどをすっぽりと美しく覆い、住人さえ見違えたとのこと、発想がお見事。お祭りは終わりました。
  【選者】 探すこと・隠すこと……。隠したら、もう一生出てこない我が家です。オリンピックも終わりましたが、ドーピング疑惑は、闇の中に隠されたまま終わりそうです。繰り上がって金を貰っても、きっと不愉快でしょうねえ。
 
佳作 地下鉄が敷けて近辺建築ラッシュ
解体の直後 聳える掘削機
恒川和左子
  【作者】 地下鉄が敷けた途端に、〈売る土地はないか〉と、電話の問い合わせがしきりに。これが静かになったと思ったら、近辺のあちこちで解体・建築工事が始まりました。秋は騒がしくなりそうです。景気は、少しは上向きなのでしょうかねえ。
  【選者】 近ごろの建築工事には、大型の機械がなくてはならないようです。工事のスピードアップなどには、必要なのでしょう。我が団地でも、街でも、工事ラッシュです。
 
佳作 あの日から微かに秋の匂いして
パソコンを修理に出すから一大事
水野亜希子
  【作者】 秋の気配を楽しんでいたら、いろいろなことが起きてきて、のんびりしてはいられない様子です。いつまでたっても落ち着かないでいる私です。
  【選者】 あの日、とは狡い書き方ですね。パソコンの修理は、画一的に三週間かかるんだとか。スピードアップする修理専門業者が現れれば、この業界にも、行革の波が押し寄せることでしょうにねえ。
 
佳作 うなぎ屋の前で別れてから雨に
肘痛にアルミホイルのシップする
堀  恭子
  【作者】 日照りと大雨の夏も終わりに近づいたころ、オリンピックも閉会式に。またまた台風の行方が気にかかるこのごろです。テニスをしないテニス肘に、むかしやったように、アルミホイルや枇杷の葉の治療をしている酷暑の終わりの日です。
  【選者】 思いがけずに入ったうなぎ屋の味の良さ、その美味しさに浸って店を出ると、雨粒にお見舞いされたのです。アルミホイルの湿布とは、荒療治みたいですが、なぜだか効果がありそうな気にもなり、読者を誘い込んでくれる作品なのです。
 
佳作 台風に揉まれるつもり芽を宿し
新鮮なうちにすべての茄子を煮る
内田 順子
  【作者】 度重なる台風の影響で、農作物の被害もたいへんなものらしい。しかし、まったく野菜が供給されないということもなく過ごせています。災害に遭えば、手だてもなく、あえなくダウンしそうな私……。
  【選者】 台風にも負けない生命の営みの色が見えるようです。茄子の紺は、夢の色にも思えませんか。台風が過ぎても、まだ暑さはいくぶん残るのでしょうが、秋は確実に近づいているようですね。
 

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【終わりに】
 こんかいも多数の佳品を得て、発表の運びとなりました。ご支援・ご協力を感謝いたします。

………… 【渡辺 和尾】──2004-08-31 12:00

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2004年7月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【はじめに】
 二千四年の七月はことのほか暑さが厳しかったですが、お変わりなくご活躍と思います。このピッポ発信地である名古屋でも、暑さの記録を更新したようです。いまからが、いよいよ夏本番です。怖ろしい記録更新は、もうご免ですよね。
 さあ、僕たちはこんな暑さなどに負けないで、着実に川柳を書いていきましょうよ。書いて書いて書き抜いてみませんか。
 そんな作句の過程から零れ出た一句か二句を、このコーナーにもご応募くださいね。

 さあ、こんげつのピッポ DE センリュウの始まりです。

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《特選》 【呈賞】
特選 朝顔は薄紫で褒められて
物干しのシャツもパンツも暑そうだ
春日井五月
  【作者】 我が家の朝顔は七月二十二日に開きました。その日も暑い暑いと言いながら一日を過ごしました。
  【選者】 朝顔の花が少なくなったと、よく耳にします。季節が少し早かったのかもしれませんが、ガーデニング流行の昨今にしては、身近な花の存在がないがしろにされてしまっている寂しさを思います。
 
《秀逸》 【ポストカード】
呈賞 陽炎に足を踏み入れ蹌踉めくも
炎帝の怒り及ばぬ氷室まで
尾崎支朱子
  【作者】 アスファルトの道は陽炎が立ち、眩暈や幻覚がしてきます。【塩舐めて極暑どうにかこうにかよ/道ゆけばそこいら中に天日干し/美味そうな天日干しになれるかな/気がつけば天日干しのできあがり/炎暑殿出口はあちらにござ候】以上、暑中お見舞い申しあげました。
  【選者】 〈陽炎〉という情況に身を置くと〈蹌踉めく=よろめく〉のだと作者は言っています。と言うことは、この暑さにも外出、ご苦労さんの作者なのですね。意志の現われとも思われるような〈炎帝〉と〈氷室〉には、は対比のおもしろさも感じました。
 
呈賞 子には子の言い分があるメロンパン
こんにゃくを結ぶと姑の味になり
佐々木ええ一
  【作者】 なんねんか前に、川柳みどり会の《川柳倶楽部》や《センリュウ トーク》などでお世話になったことがあります。偶然、このHPを見つけて、懐かしく投句してみました。
  【選者】 偶然ページを見つけてくださってありがとう。メロンパンもこんにゃくも、作品にうまく入り込んでいます。変哲もないこんにゃくが姑の味を思い出させてくれました。懐かしい思い出。
 
《入選》
佳作 西風が入る四角い台所 児玉 浪枝
  【作者】 久しぶりに息子が寮から帰ってきました。夕食のメニューは〈ぼく、カツ丼〉と。夫と私は、さっぱり系で冷や奴。二対一で今夜は豆腐料理に決まり。息子よ、ゴメンネ! 次回は肉料理するからね。ちなみに、犬は年中ドッグフードのみの我が家です。
  【選者】 四角いと書いて、平凡な部屋・家庭だと暗に語っています。だからどうしたと言われる前に、作者の精神を言い表すような方法や言葉を見つけるようにすると前進のペースは速まるでしょう。
 
佳作 植え直し植え直しした夏の蔓
台風がああ吹いてった抜けてった
内田 順子
  【作者】 場当たり的な対応では傷を深くするばかりの事態にも、英断ということはむずかしい。事に当たる人の、身を捨てての対処しないからね。
  【選者】 夏の蔓と台風は、一句の垣根を越えながらも、どこかで繋がっているようにも感じます。暮らし・人生も、またこんな繰り返しのような感じもしないでもないですよね。
 
佳作 病人を見舞いに行かない思い遣り
拉致家族そっとしておく思い遣り
野沢  司
  【作者】 病気見舞いは考えものといつも思っています。病人としては、やつれた顔を見せたくないし、気を遣うものです。行かないのも親切かな。拉致家族をマスコミが蝿のように追っかけて、報道してくれるが、そっとしておいてあげたい気も。なんとお節介なとも思います。
  【選者】 思いもかけなかった病に臥されたという作者ですが、作句意欲はその病を蹴散らしているようでもあります。思い遣りが、どういうものであるべきかも考えさせてくれます。
 
佳作 あれこれと宿題多い夏休み ち び 丸
  【作者】 のんびりするはずだったのに、なんだかすべてが終わらずに、この夏は宿題になりそうです。
  【選者】 〈あれこれ〉と、曖昧に処理しないで、スパッと切り込むのも愉快かもしれまあせんよ。そのほうが、その子どもさんを取り巻く環境も見えてくるでしょうしね。
 
佳作 立ち止まり相手のことも考える
若い娘の化粧同じで個性ない
Y・G美保
  【作者】 長い介護の日に、私の心の苦渋に耳を傾けてくださった人はごく僅かでした。ですから、いまの私は、できる範囲で人の悩みに耳も心も傾けるように努力しています。娘さん、自分を大事にしてくださいね。
  【選者】 介護の問題は簡単に言い切れないことばかりですね。多くの問題を乗り越えていかなければいけないのでしょう。お化粧は、個性だと思いますし、むしろお化粧をしない方向こそが個性の強調かもしれないぞ、と思ったりもします。〈人前で顔を嬲っているの図〉は、侘びしいのひと言です。
 
佳作 気の合わぬ人と旅することとなり
くたくたに疲れた体 持ち歩き
香田 裕子
  【作者】 台風のように次から次へとニュースが吹き荒れてきます。年金問題・北朝鮮から家族が帰り、選挙もあり、曾我さんは家族と再会。〈わ〜わ〜!〉と言う感じになってしまいます。当事者ではないので申し訳ないのですが、もう少し私なりに考える時間もほしいこのごろのできごとです。
  【選者】 作品とコメントの間に隔たりがあるようですね。つまり、〈気の合った人と旅するプラン練る/草臥れた身体休めるこのソファ〉などのように、ほんの少し視点を近くに持ってきてはいかがですか。
 
佳作 蝉殻を声弾ませて見せにくる
城へ行く坂は青葉の石畳
杉本 金男
  【作者】 猛暑の毎日、みなさまお元気でしょうか。職場は空調が利いておりますが、かえってほとんど出歩かなくなり、運動不足です。夕方から夜にかけての涼しい風がありがたい毎日です。
  【選者】 運動不足と仰るにしては、家の外に広がっている作品です。あるいは願望なのでしょうか、懐かしさなのでしょうか。いまここにいる私に焦点を当てるのも一法なのかもしれませんよ。
 
佳作 オリンピック国威高揚また暑く
アマチュアの精神を問うアテネオリンピック
水野亜希子
  【作者】 ことしの猛暑は特別ですね。その上、もうじきオリンピックが始まります。否応なく国中が、いえ世界中が盛り上がることでしょう。メダルの数を競い、国旗・国歌が飛び交うでしょう。アマチュアの精神はどこへ行ったのでしょう。
  【選者】 なにごとにも勝敗は纏います。野球もサッカーも、もちろんオリンピックの競技も然りだと思います。勝敗が問われれば、団体や国家や権力の影も見え隠れするようになるのでしょうね。リズムもご一考を。
 
佳作 人生や七つ道具の使い道
桔梗の青に一息入れる積乱雲
吉田三千子
  【作者】 雷雲の去ったある夜の三日月。なんとなくひんやりとした町の灯りを見ています。暑い暑いと言っていますが、少女時代に感じた炎天は、もっと暑かったような気もします。五感が鈍ってきているのかもしれません。大きな西瓜を一つ買い、八月を迎える儀式に……。
  【選者】 〈街の灯を振り返り見るもう一度=和尾〉思いを情況に重ね、時間に重ね、交流に重ね、人生に辿り着こうとします。ぼくの作品は即興です。若い精神を取り戻したいと、いつも思っています。
 
佳作 鰻丼 元気が出れば儲けもの
森林の古き石 新しき土の匂い
いとうていこ
  【作者】 今夏は、もう二度も鰻をいただきました。でもこの酷暑は、鰻だけでは乗り切れそうにありません。みなさまもご用心を!
  【選者】 スーパーの鰻からは、スタミナは貰えないようですね。人は、心理的な影響も大きく受けるようですから、捕獲したり、開いたり、焼いたり、タレをつけたりすることなどを経て、〈鰻は夏のスタミナ源〉とやっと身体も理解するのでしょうね。
 
佳作 自転車で出かけプールの熱きこと
テレビと鍋 同時に壊れ買いに出る
西川ほしみ
  【作者】 ことしの夏はとてもバテ気味です。クーラー病でしょうか。花火大会・盆踊りにも出かけずに、じっと我慢の狸です。
  【選者】 〈テレビと鍋〉の無関係な愉快さが目を引きます。ただし、なんど読んでも、〈テレビと鍋〉が、ぼくに向かって高笑いをするのです。プールは利用したことがありませんので感覚的なものが理解できずに申し訳ありません。
 
佳作 電話する 義母は独りの夜半の月
生ゴミに消された命混じるとか
柳田みずき
  【作者】 大分の義母は九十歳。近所の噂もあり、引き取る覚悟で夫は帰省しました。義母は手を合わせて〈ここで死にたい。ここで生きていきたい〉と言う。噂とはあてにならないもの。日記をきちんとつけて《名古屋場所朝青龍優勝。四場所連続とか、秀喜から写真届く》とか……。いまの生活を大事にしよう。大分に行く日が増えても。
  【選者】 〈電話機の向こうの義母も見てる月〉……少し整理してみました。言葉を削いで言いたいことだけを書くようにするとよいのかもね。リズムもオーバーしがちで、気になります。
 
佳作 日本海 二人の夕陽コピーする
無人駅風だけ乗せて発車する
柴田 忠司
  【作者】 旅が生き甲斐の人生です、四〜五年前に佐渡へ行く予定だったのですが、前日になり家内が腰痛になりキャンセル、それ以後、佐渡への旅は実現できていません。実現したいものです。
  【選者】 情況がカッコイイね、そんなことを率直に思いました。人生がこんな素晴らしいものだったなら、ほんとうにいいですね。たった一瞬の夕陽なのかもしれませんが……ね。
 
佳作 夕張メロン届く 大地のしずくとも
独りの昼を夕張メロン香り出す
笹 さやか
  【作者】 たとえようのない暑さですが、みなさま、お元気でいらっしゃいますか。先ほど届いたばかりのメロンの香りにまみれて、暑気払いのお昼寝もいいかなって思っています。
  【選者】 夕張メロンなんて、いいこと! 作品に残して、こういうふうに楽しむ方法もあるのですよね。ぼくもきのう、高い値段のメロンをスーパーで眺めてきましたよ。
 
佳作 影までも焼き尽くしては炎天下
人影も騒音も消え炎天下
堀  恭子
  【作者】 暑い暑いと言いたくないけれど、やはり暑い毎日です。五台目のエアコンを付けて、ますます外気を暑くしている確信犯です。
  【選者】 ことしの夏の暑さは、これほどの厳しさ……〈人影も騒音も消え炎天下〉です。帽子を被って、日傘をさして……。木陰も少ない町並みを抜けるころには、衣服は汗でぐっしょり。もういい加減に、環境問題の現状認識をして、積極的な改善策を図らなければいけないのではないと思います。間もなく環境博。会場へ会場は車の渋滞、排気ガスの蔓延、などということにならなければいいのですが……。
 

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【終わりに】
 いつものお願いです――。
 応募規定〈住所・本名・コメントなどの記載〉は、正確にお願いします。発表はお書きいただいた【雅号】でいたしますが、記録のために、参加賞の送付のために必要な事項ですので、よろしくご協力をお願いします。
 発表は、選者選考し、一部加筆・修正・削除する場合がありますので、ご了承ください。
 ご出句は、締め切りの日時に余裕を持ってご提出をお願いします。締め切り後に到着した分は、次月扱いとなります。締め切りの次月初頭に発表できるよう努力します。つまり、八月末締め切り分は、九月一日発表を目標にいたしております。

 別ページの【お喋りコーナー】にも積極的にご参加ください。愉快に語り合い、友情を深めましょうね。不明な点は担当者までお問い合わせください。

………… 【渡辺 和尾】──2004-08-01 09:00


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