pippo

投句のページ 優秀作紹介

       

2007年8月の優秀作:渡辺和尾 選評

** ** ** ** ** ** ** **

【前書き】

言葉を越えるほど暑かった夏暦が捲られようとしています。暑さ負けでしょうか、思いに任せなかった人も多いと聞いていますが、早く体調を戻してくださいね。
2007年8月29日〔水〕は、綿毛の会の葵教室が担当して、恒例の【巨峰狩り】が東浦・森岡の石田葡萄園で催されました。その様子は、追って当サイトでも詳報されることと思います。お待ちくださいね。
お約束していた、ご出句の際に、お名前の末尾に○をおつけいただく企画は終了いたしました。該当の方には順次お約束の粗品をお贈りいたします。お待ちくださいね。また新しい企画も発表いたしますので、《ピッポ DE センリュウ》《ピッポ DE 50字》《ネット50字》の募集要項や発表稿を注意してご覧ください。ときおり、全員プレゼントも予定していますのでお楽しみに。

それでは、入選作品の発表にまいりましょう。次月分も、なるべくお早めにご提出ください。締切日と締切時間は厳守です。内容の充実へと、お互いに努力してまいりましょうね。

渡辺和尾からのお願いです。名前・雅号・住所は、二度目からは省略しても構わないというルールですが、なるべくお書きくださるようお願いします。発表の際や、粗品をお送りする際、書庫からの閲覧に手間取りますので。外部に配信されるものではありませんので、煩わしくてもお願いしておきます。

** ** ** ** ** ** ** **

【入選】↓順序は、下部から概ね先着順です↓
電柱の天辺から秋やってくる
猛暑の向こう 秋の気配見え隠れ
水野亜希子
 【作者】 少し涼しくなった途端に、夏バテなのか、ダウンしてしまいました。楽しみにしていた予定もキャンセルに。幸い、丸一日休んでいたら回復しました。ご心配をおかけした方、ゴメンナサイ。一日で治ったのですから、まあ良いかとも思いますが、やはり加齢現象でしょうかしらねえ。
 【選者】 暦の上での初秋のころは、心や体のネジが緩みがちになる時期ですね。そうですか、電柱の天辺から秋が来るのですか。電柱を見上げながら、ことしの暑さを思っています。
 
ピリプリの葡萄頬ばる水曜日
通販の愚痴聞いているうちの犬
柳田みずき
 【作者】 通販を利用してみて、その不味さにガックリ。相手は機械のようなもの。不満を言っても、始まらないことを痛感しました。ついには犬に愚痴を言うことに。犬は丸い目で黙って聞いてくれました。取れたての果物は、美味いとつくづく思いました。
 【選者】 完熟葡萄を枝から取り、冷やして、ほしいだけ頬ばりました。至福という言葉もありましたね。通販は、そのすべてが悪いのではないと思いますけれども、残念。
 
無花果を買って帰れば夫もまた
早寝早起き 夫は優等生
深谷  歩
 【作者】 初めまして。そうなんです。私、ピッポに初めてのお目もじです。どうぞよろしくお願いいたします。葡萄狩りに行ってきましたが、ことしも甘くて美味い葡萄でした。大粒の黒真珠のような巨峰が、まだ目の中にチラチラしております。らいねんの葡萄狩りには、みなさまぜひご一緒に。
 【選者】 無花果は意外に美味しいものですね。甘く柔らかい果肉は、季節からの素敵な贈り物ですね。吟行会で出かける葡萄もまた。早寝早起き・無事故無違反・欠食しない、これぞ優等生夫君。
 
かき氷宇治金時の雪景色
墓穴堀り崩れ落ちたかき氷
渡辺 妙子
 【作者】 猛暑のこの夏、久しぶりにかき氷屋へ。最初から山を崩して食べる人、そっと壊さないように横から食べる人、それぞれでしたが、結局最後は雪解け状態でした。
 【選者】 かき氷は雪景色ですか。崩れたかき氷は、墓穴を掘った結果ですか。ぼくは、もう数年かき氷とは縁のない暮らし。氷屋さんの暖簾が懐かしいですね。
 
噴火する 私の休火山ついに
夢の中 片っ端から殴り倒す
ふゆのゆふ
 【作者】 虫の居所が悪いんです。そういう日だってあるんですよ。
 【選者】 怒りの根源を探れば、自分自身の撒いた種の場合が多いものです。虫の居所が悪くて殴っていては、そのスジは忙しくなるばかりですよ。
 
猛暑にも狂うことなき虫時計
男の嗜好についていけぬ夏
恒川和左子
 【作者】 盆が過ぎても猛暑が続いていたころに、少ないけれど虫の声を聞ききました。驚きでもあり、あなたも〈ちゃんと生きなさいよ〉と励ましてくれているようにもとれました。
 【選者】 腹時計と読んでいたぼくがおかしくなり、自分を笑ってしまいました。男の嗜好とは、なんなのでしょうねえ。男も知らぬ男の嗜好って。
 
ぐっすりと寝た夫さえ寝坊した
お尻にも耳の穴にも蕁麻疹
ふゆのゆふ
 【作者】 出物や腫れ物とは少し違うのでしょうか、出てもらっては困るところ、辛いところにも蕁麻疹は出るのです。かゆ、かゆっ。
 【選者】 蕁麻疹とはお可愛そうに。いっそうの健康管理をお願いするのみです。寝坊は、成長期にもみられますし、怠惰な時期にもみられる現象です。あとは、平穏な暮らしの中での習慣かなあ。
 
あんパン一つキヨスクで買い葡萄狩り
あんパンと葡萄があればそれでよい
堀  恭子
 【作者】 ことしもまた、日本一の葡萄を食べて、この夏を越そうとしています。
 【選者】 葡萄狩りのお弁当は,あんパンに限ります。熱気にも意外にもちがよく、半日ほどは味も変わりません。しっかりと巨峰を頬ばって、しっかりと汗をかいて、8月の終わりの日を過ごしましたね。
 
鳥どこを目指してそんな急ぐのか
虫けらや 鼻水微熱鼻づまり
吉田三千子
 【作者】 早朝のセミも鳴かなくなりました。いまごろになって西瓜を買って、暑さ疲れの体を潤しています。果物の糖度のことをとやかく言いますが、美味しいものは美味しく食べれば良いのでは。恒例の葡萄狩りも終わり、その農園の葡萄を送ったのですが、届いたよと、お礼の電話が入ってきます。おうい、秋が始まるんだよっ。
 【選者】 葡萄園走る熱風と涼風、まさに季節が入り混じっていました。葡萄が着くころ、そちらの地方にも秋の扉が開くのでしょうか。
 
予定オーバー 君のペースに巻き込まれ
三倍ほど疲れて気分まで滅入る
堀  恭子
 【作者】 夫は早め早めに、ものごとを処理します。しかし私ときたら、なんでも泥縄式。ちぐはぐが面白く咬み合っているときは良いのですが、とことん外れ出すと、さあ、たいへん。お互い疲れてイライラして始末に負えなくなるのです。
 【選者】 みんなが自分のペースで物事を進行させることができたら爽やかなのでしょうね。でも、社会は共同生活の場、三倍も五倍も疲れることも多いのでしょうね。
 
百年前百年後の滝の音
虚ろなる心に響く水の音
尾崎志津子
 【作者】 216年前のモーツアルトのオペラ『魔笛』が映画化されました。馴染みの音楽に、舞台は第一次大戦の塹壕戦という設定で始まりました。すべての人間は平和を求めるとザラストロは最後高らかに謳っていました。2007年の夏が終わろうとしています。
 【選者】 百年前百年後も、また二百年後も、同じようなことが繰り返されるのかもしれませんね。魔笛というと怖いイメージですが、素敵な曲ですよね。
 
地震より余震恐ろし相次いで
気のせいと痩せ我慢して熱射病
ぽ ん た
 【作者】 テレビで大文字の送り火を見ました。京都に住んでいても、実際に見たことはありませんでした。解説の山折先生が、亡くなった河合隼雄さんのことを話されていました。送り火を見ると、亡くなったたくさんの顔が浮かんできます。
 【選者】 夏が終わりました。熱射病気味になった方も多かったと聞きます。地震が近いとの噂もあり,備えだけは十分に。
 
Tシャツが乾く速さに追いつけず
落とし穴一つ二つと曇り空
泉  繭子
 【作者】 空が翳ると、ほっとするこのごろです。でもご用心を。曇の日こそ、紫外線が危ないのです。人もそうかもしれません。甘い話はないのです。ゆっくり生きましょうね。まだまだ暑いのですから。
 【選者】 甘い話、うまい話が多い日本列島です。電話で教えてくれる儲かる話、それほどうまい話なら、あなたやりなさいよ。おかしな投資の勧めの電話。
 
本当のわたしの姿誰も知らず
天を突く遣る気あっても成果なし
Y・G・美保
 【作者】 神仏も他人も、私をどう見ていていようと、自分の信じる道をひたすら歩く私。そんな私を女学校時代の友人は呆気にとられているようです。ただ遣る気がいくらあっても体が追いつかないのが、じれったいのですが。
 【選者】 遣る気が行動に繋がると良いですね。軽くスキップでもしてみたらどうでしょうか。また成果は、目に見えるようなものはではなく、むしろ、後ろからゆっくりついてくるのではないでしょうか。
 
私たち否が応でもクールビズ
正装の紳士たちには頭が下がり
春日井五月
 【作者】 この暑さの中、スーツ姿で歩く人たちを見るたび感心します。炎天下で作業する人たちには、もちろん頭が下がります。地球温暖なんて絶対ストップさせなければ、小さなことでも実行したいと思います。
 【選者】 紳士には紳士の事情が、淑女には淑女の事情があるのでしょう。ぼくとて同様で、カバンなどが持てない体なので、どうしてもポケットの多い背広が離せないのです。重いし、夏は暑いし、困っていますけれど。
 
蝉が鳴く窓を大きく開け放つ
暦では立秋だけど暑すぎる
児玉 浪枝
 【作者】 開け放った窓からは、きょうも朝から蝉の大合唱が。人口も住宅も増えていくこの町ですが、自然はどんどん壊されていきます。そんな中で、ことしの夏は蝉の声が特に大きく聞こえてきました。世の中の先行きを案じて、蝉たちが泣き叫んでいるのでしょうか。
 【選者】 大合唱のはずの季節にも案外静かな地方もありました。暑い夏は小さい生き物の暮らしも変えてしまっているようですね。
 
六十代以上はみんなカスミソウ
カスミソウ 乾燥しても飾られる
東川 和子
 【作者】 若いネットフレンドに、面白いから遊び感覚でやってみてと、紹介された占いですが、最初の設問で蹴躓いてしまいました。該当年齢が1950年生れから始まっているので、できないんです。ここのピッポの年齢層も、60代以上は、もうそれで束ねられていますよねえ。微妙なお年ごろになってきたということかしら。
 【選者】 ぼくらの年齢層は、みな番外地の戸籍や住民票を移されてしまったのかもしれません。公租公課や寄付金集めなどの連絡はキチンと届けられるのですが。このピッポの年齢書き込みは,ご希望なら自由に、正確に記載していただいて一向にかまわないのですよ。
 
神集う町 災害も避けていく
胸張って歩けば風もついてくる
竹内すみこ
 【作者】 2007年の一回目も二回目の台風も逸れて、松江は平穏でした。暑さの中での水郷祭だとかで、五日ほど花火で空が割れるような音、犬も竦んでいました。暑くても、背を伸ばして歩くと、すっきりします。私は汗が出ない性分で、汗かきの人にすまないみたいです。屋形舟も風鈴を吊り、松江は風雅な町ですよ。
 【選者】 夕陽の美しい町には神も住まわれるのでしょう。台風も避けるように去っていく山陰地方の町だそうです。過ごしよい地方なのですねえ。
 
敗軍の将はファシストとなる
一票が風向き変えることもある
樋爪 良紀
 【作者】 普段なら、さほど気にかからない参議院のことですが、こんかいは違います。いかに民意が大切なことかと感じました。
 【選者】 2007年初夏の参議院議員選挙の結果は、戦後の大きなできごとの一つでした。今後、政局がどう動いていくか、秋以降に関心がありますね。
 
日常に生き従容と死を迎え
殺すなと反戦作家癌に死す
内田 順子
 【作者】 参院選の結果の出た日、小田実という作家が逝きました。『なんでも見てやろう』という精神に刺激を受け、《ベ平連》の活動にスジを通す生き方を見ました。直接真ん前で講演を聴いたこともありました。ことしも8月15日が過ぎました。
 【選者】 平凡に一生を送ることがぼくの願いです。地球上の平凡人の独りとして消えていけば良いと思っています。相撲が国技でなくなったときから、朝青龍事件は予測できたのかも。平凡に参院選も終わったと言えましょう。暑かった夏は幻。
 
返り咲きできずに続投 赤いバラ
犬小屋は大抵庭付き一戸建て
ち び 丸
 【作者】 こんかいの選挙は、気になるところが思ったとおりでした。犬は大抵が人間より贅沢化していると思います。近ごろはクーラーつきだったりで、羨ましい限りです。
 【選者】 参議院選挙は意見が沢山出ました。いづれ近近、総選挙になるのでしょうね。犬小屋のハイグレード化は、おバカ現象の一つですね。
 
■□■□■■□■□■  ■□■□■■□■□■

□落とし穴 DE 賞 〔こんげつの粗賞〓和尾直筆カードつき〕

■落とし穴一つ二つと曇り空    泉  繭子
□落とし穴DE 賞 へのメッセージ。
言葉の上で、つきあいの上で、また仕事の上などで、存在するさまざまな落とし穴。身構えたり、注意して進まないと、危険に遭遇するのかもしれない時代ですよね。

■□■□■■□■□■  ■□■□■■□■□■

※来月も《ピッポ DE センリュウ》《ピッポ DE 50字》などへのご投稿をよろしくね。

** ** ** ** ** ** ** ** ** ** ** **

□今月の粗賞は、上の作品に決定しました。今後とも、たくさんの方のご参加をお待ちいたしております。締切まで待たずに、いますぐ、どうぞ。お誘い合ってのご参加をお願いいたします。〔和尾〕

■□■□■■□■□■  ■□■□■■□■□■

※来月も《ピッポ DE センリュウ》《ピッポ DE 50字》などへのご投稿をよろしくね。
………… 【渡辺 和尾】──2007-08-31 20-00



この頁の先頭へ