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投句のページ 優秀作紹介

       

2007年5月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【前書き】

2007年5月下旬は、各地で気候気温が急変しました。梅雨に入る前に、もう雷も耳にしました。風邪を引かれた方も多いと聞いていますが、お大切に。
このピッポ DEセンリュウ5月の締切時期には、ぼくは、旅に出ていましてご迷惑をおかけしました。昨晩無事帰着いたしました。お土産はなにも持ち帰りませんでしたが、旅先の浜辺での小石を同行の方から分けていただきました。よろしかったら限定二個限りで、サインの上差しあげたいと思います。送りするまでもないような物ですので、次回作品稿の名前の後ろに○を付された方を希望者とさせていただき、6月・文章を学ぶ鳥影の集い例会席上にて【公開あみだくじ大会】を催させていただきたく存じます。お持ち帰りいただく都合がありますので、集い当日ご参加の方に限らせていただきます(^o^)。

旅先で、テレビや新聞で、いくつもの奇異な政界などのニュースを知りました。四国の地にまで、常滑の遊具事故も報じられておりました。
そして、また日常に戻り、この原稿に取りかかっているただいまです。

それでは、入選作品の発表にまいりましょう。次月分も、なるべくお早めにご提出ください。締切は厳守です。内容の充実のために、お互いに努力してまいりましょうね。

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【入選】順序は概ね先着順です。
私が鏡の中にいない朝
試着室 鏡の意見尊重し
今井 妙子
 【作者】 明るい朝は、鏡の中の朧な私を探すのがやっとのことなのです。店員さんに、とてもお似合いですと言われて試着室に入って見ましたが、鏡が本当のことを言ってくれたので止めました。
 【選者】 いえ、心が鏡に映らなくても、あなたは存在するのです。間違いなく今朝の顔をして。そのいまの顔に真向かうことが大切なのでしょう。
 
もう要らぬと思いながらも待つ夕刊
隣家へも電話で済ますお付き合い
樋爪 良紀
 【作者】 誘われるようにして投稿してみました。〈感じたことを率直に〉という、どなたかの言葉に励まされたとはいえ、我ながらの稚拙さに躊躇いつつという心境です。
 【選者】 稚拙かどうかは作者が決めることではありませんので、弁解がましいことは、もう必要ありません。夕刊を購読する家庭が激減しているそうです。金銭の問題より活字離れのようなのです。つまり夕刊の問題は、書籍全般にも言えるのでしょう。ぼくは〈返礼もメールで済ますお付き合い〉ですが、いまはこれすらしない人も多いのですよ。
 
雨の日は雨の話の長電話
笑ったり泣いたり夏はもうそこに
児玉 浪枝
 【作者】 この夏は、猛暑とかの予報が出ています。雨も少なく、水不足の恐れもあるらしいです。年と共に気温が上がり、暮らしにくくなるばかり。そう思うと雨は恵み、雨の日も楽しや、です。
 【選者】 内容も表現もいささかの軽さがあります。よくいう動く可能性があるのです。作者の姿の見えないのも、やや気がかりです。
 
おばあさんは行方知れずになったまま
お隣のおじさん座る石がある
水野亜希子
 【作者】 東隣のおばあさんは、ここ二年くらいお顔を見ていません。どこかの施設で元気にしておいでとかの噂。西隣のおじさんは、ことしに入って、おばさんを亡くされ、表の石に腰掛けて終日過ごされています。できるだけ話しかけるようにしていますが、私にできることは他に見つかりません。
 【選者】 おばあさんとおじさんの対比を、表現の愉しさで描いています。内容は深刻なのですが、軽いタッチで描かれているので救われます。
 
雨傘の中も黄緑深緑
息吸って吐いて薔薇色薔薇の花
堀  恭子
 【作者】 一日中雨の日でした。木の葉や草が輝いていました。あすは晴れて、薔薇は、いっそう薔薇色になることでしょう。
 【選者】 薔薇色とあっても、本当の色は分からないのです。しかし、黄緑深緑とか、薔薇色薔薇の花とか、表現が妙ですので、分かったかのような錯覚に陥らせてくれるのです。
 
手作りの餌 涎が催促し
雨上がり新緑の中 同化する
柳田みずき
 【作者】 雨上がりの新緑がことのほか綺麗でした。高速道路の事故で、28歳の息子さんのお母さまと涙を流しあったのは、きのうのことのよう。雨に涙を忘れそうになり、ハッとしました。
 【選者】 新緑に同化していくような作者の心、きょうの美しい緑を見ていたひとときが窺われるようです。
 
既往症 はしかと書いて句会へと
水無月という名の菓子に母思う
園部志津代
 【作者】 熱があり、赤いボロボロの顔で、姉妹並んで寝ていたときのことを思い出しました。いつの季節だったのでしょうか。まだ入学前だったと思うのですが、父も母も麻疹だからと、大して心配もしていなかったようでした。
 【選者】 たくさんの伝染性の病があります。よく効く薬や治療法により、発症の実例が少なくなってきました。気を抜いていると、突然のように大流行が起こるようですね。身構えて予防に努めなければ。
 
改装の借金済むころまた改装
スーパーより安い銘酒の直販店
恒川和左子
 【作者】 自営の酒屋さんは、店の改装費に追われているようです。改装すると、お客の入りが良いとのことです。直販店では、銘酒がスーパーより安価です。対面販売でむかしからの人情があり、四十余のお付き合いの店です。
 【選者】 サービスとはなんだろう、かと思っています。改装して商品の回転をよくするのは結構ですが、商品の卸しや小売価格などの利益率のことを思ってしまいます。客は、なんにでも値引き交渉をすべし、だと感じた次第です。
 
番号で呼ばれて入る診察室
銀行で待ってる手には番号札
渡辺 妙子
 【作者】 久しぶりに、近くの県立病院に行きましたら、患者を名前ではなくて、番号で呼んでいたのにはびっくり。プライバシー保護のようです。他の病院では様付けで呼ばれたこともあります。
 【選者】 病院はまだしも、銀行の番号札は、お客無視の感じがします。銀行側の窓口担当を増やし、プライバシー保護と、サービスをスピードアップすれば、お客を待たせずに対応できると思うのですが。
 
顔中が口に見えます燕の子
ふゆのゆふ
 【作者】 ]燕の子は餌をもらうために口が目立たねばなりません。
 【選者】 作者はどこから、燕を見ているのだろうかしら、と。
 
初夏の風邪五臓六腑に吹き渡る
この晴れに本二冊分の微熱
尾崎志津子
 【作者】 気紛れな気温のせいか、風邪を引いてしまいました。頭がぼんやりすると思っていますと、喉が痛み、鼻づまりに。鬱蒼としてきた庭には、もうホタルブクロが咲き、ドクダミの白さが目を引くように。
 【選者】 風邪と風をかけて、愉快に仕上げています。でも、あまりにお遊びが強いとオーバーな表現にも。二句目は、本二冊分の微熱程度で幸いでしたね。
 
北向きのテラス 小さな薔薇が咲き
ふゆのゆふ
 【作者】 梅雨前に薔薇の季節が。あまり花のない中で、咲き誇っているかのようです。
 【選者】 北向きテラスって、なにかなあと、かつての建築屋は首を傾げました。時代の流れを思うばかりです。
 
事故のニュース事件のニュース繰り返し
有名になった地名よ万博後
春日井五月
 【作者】 これでもかと嫌な事件を報道するマスコミ。地図や名前が頭の中に定着してしまいます。
 【選者】 二句とも、ただいまは理解できるのですが、数か月を経ると、意味不明になってしまうでしょう。特に二句目は、長久手発砲殺傷事件を言っているのですが、愛知以外の方には、すでに万博はむかし話です。ぼくなどのように、万博に足を運んでもいない愛知県民もいるのですから。
 
いいもんだ季節の変わる匂いだな
香田 裕子
 【作者】 よい天気が続いています。我が町も田植えの季節です。傍らでは麦が実っています。気のせいか、麦の丈が長いような気がします。暖冬で伸びすぎたのでしょうか。麦畑の真ん中辺りでは、麦が倒れています。楕円形で宇宙船の着陸した跡みたいでした。
 【選者】 季節の変わる匂いは素晴らしいと言う作者。そのとおりだと思います。しかし、ぼくにとって、この変わり目は、苦しい時季でもあるのです。良し悪しは人それぞれなのでしょうね。
 
子も親もたまにはボケて忘れたい
団塊世代 年を取っても議論好き
ぽ ん た
 【作者】 中年世代は、親と子からの双方のストレスを抱え生活しています。たまには、すべてを忘れてリフレッシュしたいものです。新緑の町に出ましょう。
 【選者】 中年も団塊世代も、耳障りな言葉だと思います。一括りにされない、されたくない人は多いことでしょうね。
 
遅咲きの桜のみどり確かめる
一望す 牡丹ばかりの島にいて
竹内すみこ
 【作者】 花も葉も忘れたころに、ひょっこりと立つ山桜。このごろ気にかけています。なん十年も忘れていたのですが、とても愛しい気がします。小さな島で、牡丹のころになると句会があります。百人以上も集まります。人間は我が侭なもので、花の咲くときだけ大切にするみたいですね。
 【選者】 一島が牡丹で埋まるとは素敵でしょうね。牡丹の花のない季節はどういう情況なのでしょうね。
 
草を食べ草と語れば縄文人
道端にしゃがめばそこも大宇宙
泉  繭子
 【作者】 人間の都合で、野草・薬草・山菜・雑草などと呼ばれている草。人間に邪魔にされている雑草も、よく見れば〈なんて可愛いのでしょう〉という発見も。自然に任せて力強く生きている雑草を見ていると、〈人間はちっぽけだなあ、どうしてこんなにどろどろしているの〉などと考えてしまいます。そんな私をも、雑草たちは笑って見ているでしょうね。
 【選者】 草を食べ、と言ってしまうと牛などと誤解されそうですが、たしかに我らの祖先の暮らしはそうだったのかも。二句目は、〈立ち止まれば宇宙〉と、ぼくは山頭火ふうに書いてみました。作者の瞳を思い遣っています。
 
わたしの句 一人でいいの理解して
ニコニコの笑顔の裏にある悩み
Y・G・美保
 【作者】 ラジオの人生相談で、お偉い人が〈悩みのない人はこの世にいません。全部吐き出して、すっきりしてください〉なんて言われているのを聞きました。人に打ち明けると、たちまち解決するなんて信じられません。最後は自分の決断あるのみでしょうから。私は、生きているから悩みもあるし、喜びもあるんだと思っています。
 【選者】 人の痛みや悩みが解らないのも、やむを得ないのかもしれませんよ。また、笑顔の人には、悩みがないなどとは、きっと多くの人も思ってはいないと思いますよ。
 
よりかかるカートで人を押しのけて
柿の花探す ことしは外れ年
内田 順子
 【作者】 スーパーのカートは真っ直ぐ進みたがるので、混んでいるときは、用心しなければ、ぶつかってしまいます。特売のチラシが人を呼び、そんな活気に身を置く高揚感もあり、つい衝動買いをしてしまいそう。我が家は二人しかいないのに、ね。
 【選者】 カートは、たしかに凶器にもなりそうです。便利そうなものでも、安全策は幾重にもしてほしいもの。柿に限らず、果物の花には郷愁もありますよね。
 
雨になる葉桜以後の暗がりへ
叱られて遠い日暮れを思い出し
吉田三千子
 【作者】 子どものころは、納屋とか納戸とかに入って、古い道具や箪笥や着物を見ているのが好きでした。いま思えば、ひにゃりと湿ったような空気が、なんとなく心地よかったのでしょう。そうした心の自由を見つめる、ほの暗い場所が少なくなりました。
 【選者】 5月から6月の鬱蒼とした森に入ると、納戸や小引き出しの暗さを感じます。叱られた日暮れの雰囲気もよく似た思いですね。
 
風薫り 大名庭園 鯉幟
大楠よ懐かしいこと祖母のこと
園部志津代
 【作者】 近くにある徳川園を、このごろ森林浴場として利用しています。明治の時代からも子どもたちの遊び場になっていたそうです。大樹の下を歩くとき、木登りをするガキ大将の姿が見えるような気がします。
 【選者】 名古屋市東区にある徳川園に出かけてみて、従前の落ち着いた雰囲気が消えていて驚きました。大名の髷も黄色に染まっているように感じられました。大楠から祖母を思い浮かべたのは、作者の家系を感じました。
 
雑誌にも余裕ができてファーストレディ
お財布も連休明けには軽くなり
ち び 丸
 【作者】 いろいろとご活躍の総理婦人、最近はファッション雑誌にも頑張っておられます。私は、連休についついお金を使ってしまい、後で困っています。
 【選者】 連休の前にも、すでに、ずうっと財布は軽い選者です。川柳には、軽みも大切、いえこれは、意味が違っていましたね(*^_^*) 。
 
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□怪気DE賞 〔こんげつの粗賞〓和尾直筆カードつき〕

■番号で呼ばれて入る診察室     渡辺 妙子
□怪気DE賞へメッセージ。
個人のプライバシーを護っていただけるのはまこと結構かと思います。いっそ、戸籍も住民票もなくしてしまえば、すっきりするのかも。しかし、それでは、郵便や宅配も成り立たなくなりますよね。水道ガスなどの検針票などでも混乱することに。もちろん、病院でも、カルテの間違いなどで、花粉症の人が心臓手術に回されたり、と。
 そんなこと、ないよね。

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※今後とも、佳品をどんどんお寄せくださいね。
………… 【渡辺 和尾】──2007-05-31 18-00



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