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投句のページ 優秀作紹介

       

2007年4月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【前書き】

日本はゴールデンウイークに入ったそうです。GWっていったいなんだろうかしらと、ぼくはずうっと思っています。財布はいつも空だし、年から年中雑務があります。むしろ、いわゆる土日や祭日のほうが雑務は多くなるようです。
そして休日明けには、どんと郵便物が纏めて配達されます。その整理に終日かかってしまう始末です。
そして一週間が、一月が、一年が過ぎ去って行きます。年を重ねるにしたがい、時間のスピードが速く感じられるのは、我が反応のスピードが、若い日のそれとは鈍化しているせいなのでしょうと思うことにしています。
お休みにお出かけの人も、家に閉じ籠もる人も、近場で心を和ませる人も、相応の充実をしてお過ごしくださいね。そのお零れを《ピッポ DE センリュウ》に投稿してください。
締切を待たずに、なるべくお早めにどうぞ。詳しくは、別項をご覧の上よろしく。

それでは、入選作品の発表にまいりましょう。

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【入 選】↓順序は概ね先着順です↓
入学式までに使う無駄使い
昭和のスターまた一人逝く クレージキャッツ
ち び 丸
 【作者】 入学にいろいろ使い、つい要らぬものまで買ってしまう気持ち、嫌ですね。
植木さん、若いのに惜しいです。これからの活躍見たかったですが。
 【選者】 入学に気を遣うのは小学校でしょうか。ぼくなど、風呂敷に教科書を包んで学校へ行ったもの。近ごろは、持ち帰らない学校もあるそうです。二句目は長すぎましたね。どうリズムよく纏めるかが腕のふるいどころですよ。
 
右左それから上下捜し物
肩書きが一つ上がって固くなり
内田 順子
 【作者】 こんなに捜し物をした、いや、しています。未開封の郵便物もあります。後でと思いますと、どこに置いたかも分からないものもあります。対応速度が遅くなって、脅迫感やストレスだけがかかったり、溜まったりします。花は見ないうちにチリヌルヲです。ことしも見ることのできた花を心に止めて、次の花を探すことにしましょう。
 【選者】 忘れ物や探しものは、あまり気にしないようにしています。つまり、いまの作業を中断しないでやりきっておくことを心がけています。特にメールの送受信で済ませることの多い最近では、中断や後で、は失敗の要因になっています。肩書きには縁のなかった我が人生、この固さは、どういうものか、とんと理解できないでいます。
 
桜ばかり気にして西の空を見た
私もはしゃいで初夏の街に出る
園部志津代
 【作者】 黄砂が飛んできて、磨いたばかりのガラス窓が気になったものです。
 【選者】 黄砂に気づくほど外出しないのですが、空中を移動する砂が、年月を経て地球の姿を変えていくのでしょうね。
 
どんなときも桜のことを考えた
次は藤 待ち伏せしてる花便り
香田 裕子
 【作者】 花粉が舞って黄砂が舞って、空さえも安心してはいられません。地下も産廃で汚れているし、その間に生息している人間にも、やがて異変が起きそうです。
 【選者】 季節に応じて花は咲いてくれますが、そのとき、作者はなにを思い、行動したのか、作者の言葉を駆使してお書きなさいよ。
 
雨が降るどこかで蛙が死んだから
蛹のまま死んでいいとは思わない
ふゆのゆふ
 【作者】 桜が散ると、雨に生臭さを感じます。田舎で育ったので、蛙の死骸をよく見ました。交通事故も多かったようです。蛙には気の毒な話です。平穏に人間が大人になるのが難しい時代になりました。技術が進歩すると共に覚えねばならないことが多くなりました。一人前になるのが遅くなっていることも一因だろうと思います。
 【選者】 不快感を全面に出してしまうと読者もまた不快になりがちです。痛快に書くことも試していただきたいと願います。
 
毎日が修行と思えば苦も楽し
誠実にただ誠実を心がけ
しのはらじゅんこ
 【作者】 実現できるか、できないかは別として、取り敢えず思うことを心がけて毎日を暮らしています。解決できないことは、まず棚に上げて、ミニチュアを眺めながら、心を弾ませています。
 【選者】 作品に書かれていることから、その奥の心が見えないのです。コメントを拝見して、そうだよなあ、とは思いますけれど、なおもやもや感が残ります。
 
友だちはシニアハウスを自慢する
お化粧は楽しいわよと前向きな
春日井五月
 【作者】 シニアハウスに入った同年の友だちに招待されました。化粧品関係の仕事に従事していたからか、私たちにもっとお化粧したらと笑って言います。趣味もいろいろで、いつも一歩早く自分の生活を見つけているようです。友だち夫婦のような、羨ましいご夫婦です。
 【選者】 シニアハウスなるものを、ぼくは不勉強で知りません。化粧はするから云云ではなく、化粧したように精神が溌剌としているほうが良いようにも思いますが。つまり、川柳で自己を見直し、作品を書き続けることでも、化粧するような効果はあると思うのです。
 
日本って本当に平和なのかしら
本当のことを言っては暮らせない
ヤング・グランマー・美保
 【作者】 対岸の火を見ているようにイラクのテロ。またかというように流している若い人を傍から眺めていると寒気がしてくる昭和一ケタ世代です。人の命は、たった一つしかないのにね。アメリカの学生の無差別の銃の乱射、恐いですね。
 【選者】 二句とも。なるほどその通りだと思います。一応作品の形式にはなっているのですが、呟きからもう少し抜け出しませんか。
 
森みどり快気祝いを選んだ日
注意せよ熊の出没落とし穴
泉  繭子
 【作者】 〈熊はいません〉と言っていた我が村にも、ついに熊が現れたと。早朝の散歩は要注意です。冬から春にかけて体調を崩していた私ですが、いまはすっかり元気になりました。さあ、鈴を付けて山菜採りに出かけましょうか。
 【選者】 健康に注意と熊に注意、の重ね合わせで、ユーモアが窺えます。ユーモアは。ときに哀しみの裏返しからも出てきます。いっそうの健康管理を。
 
唇にラメがついては気恥ずかしい
百円のリップグロスはラメだらけ
ふゆのゆふ
 【作者】 百円と言うだけあって、若い子向けなのでしょうか、きらきらラメが光る唇と言うのは、なんだか変な気がします。
 【選者】 ぼくには聞いたことのない横文字が並びます。ですから、ぼくの前では、ラメが付こうと、リップグロスがいくらだろうと、どうでも良いことなのです。
 
ダイエット胸に効果が出始める
鼻風邪で喜ぶコンビニエンスストア
ふゆのゆふ
 【作者】 減量中ですが、一番痩せてほしくない胸にきて、胴回りはズドーンとしたままです。鼻風邪でボックスティッシュ使い切りました、一日にして。
 【選者】 ダイエットは健康管理の結果だと思うのです。健康管理をしないダイエットは、かえって健康を損ねることでしょう。コンビニで饂飩粉買うように風邪薬を買う時代、恐いことだと思います。世に風邪という病気はないらしいですから、素人判断はなるべく止めたほうがよいのでしょう。
 
明るめば動き始めた江戸の人
十八冊本を借りて読みきれず
ふゆのゆふ
 【作者】 むかしは日の出に暮らしの時計を合わせていたようで、夏はすごく早起きだったのかも。図書館で借りられるだけ本を借りて、読みきれないので延長しています。
 【選者】 一句目は表現に無理がありそう。あなた、十八冊も図書館で借りて、持ち運びだけでも大変でしょう。
 
医者に行くことも日課に入れておく
新しい簾を掛けて夏始まる
児玉 浪枝
 【作者】 医者で診察を受けるたびに、もうそういう年ですから、とか、病気と上手に付き合ってください、って言われることの多いこのごろ。いややなあ。気持ちだけは若い気でいるのに、現実は厳しいよ。
 【選者】 現実を直視してから、判断を下したほうが、賢明だと思うのです。若い、まだ若いは会話の上だけのこと。若さって、そんなに綺麗ごとではなくて、冷酷そのものなんですよ。苦渋に満ちた体になって、ぼくはもう十数年経ちます。
 
ピロリ菌退治したから太りそう
快調な胃腸をもって旅に出る
水野亜希子
 【作者】 3月にピロリ菌を除去しました。薬を2週間飲むだけのことですが、その後の快調なこと。味わったことのない胃のすっきり感です。お陰で旅に出てもよく食べ、なにを食べても美味しく、一緒に行った友人に呆れられました。なんと少し太って帰ってきました。(^_^;)(^_^)/
 【選者】 疑いの心を持たずに暮らしていくことができるのは幸せでしょうね。ぼくは胃腸は案外トラブルもなくこれまで過ごしてきましたが、最近の冷房過多にはいささか悩んでいます。ぼくの場合、冷房過多とストレスが恐いことが体験からわかってきました。
 
雨雫ふるい落として牡丹ふと
ラベンダーに初蝶が来て止まり
堀  恭子
 【作者】 窓から見えるちいさな花壇にも春が訪れ、牡丹が咲き、フリージアが咲き、また、ラベンダーやペニチュァが咲いています。きのう紋白蝶がやってきました。やがて紫卯木が咲き始めると、揚羽蝶も訪れてくれることでしょう。
 【選者】 身辺に花が咲き蝶が舞う姿は初夏に安らぎを感じさせてくれます。ぼくの住む田舎でも昆虫類がめっきり減り、農薬などの影響を思わずにはいられません。静かな雨の後に目に入った牡丹の花ですね。そう言えば、入居した三十数年前に植えた我が家の庭の牡丹は、ことしは花をつけませんでした。もう肥料らしきものがなくなってしまったのかも。
 
荒さだけ目立つ現役の女たち
窓際の義務だけである魔法瓶
吉田三千子
 【作者】 新緑の眩しい街です。大型ショッピングセンターも疲れが見え始め、活気がありません。土曜日と日曜日だけは、若者たちと子ども連れで埋まりますが、それ以外はガラガラです。働いている人たちの高齢化も見えています。荒い言葉遣いや態度には我が身も重ねて考えてしまいます。
 【選者】 現代という壊れかけた環境を作っているものが、なんによるのか考えなくてはいけないのでしょうね。窓際と魔法瓶が、うまく結びつかなくて困りました。窓際族なのか、魔法瓶でお茶出しするのだろうか、などと。
 
菜の花の海 未来は果てしなく
青空の下 仕合わせだとは限らない
竹内すみこ
 【作者】 隠岐空港の滑走路脇には、菜の花がどこまでも続いています。その先には北朝鮮があったりするわけです。青空の下でごろ寝している犬は仕合わせなのでしょうか。
 【選者】 二句の間で心の鬩ぎ合いを感じました。さて、作者はどの位置で作句したのだろうかと。どちらも理解はできるのですが、揺れる心も垣間見えました。
 
春宵にもろもろの音立ち上がる
風薫るケータイ二つ二丁拳銃
尾崎志津子
 【作者】 春から初夏へと季節は移ります。春の美しい夕刻に、遠く川を渡る電車の音、鳥の声、笑う声、なにかが生まれる音など聞こえてきます。朝刊には、ロストロポーヴィチ氏の訃報が。
 【選者】 もろもろの音の表現には、春の幽玄が感じられように工夫するとよかったのに、と残念。ケータイ二つ二丁拳銃は、愉快ですが、重複構造。言葉の無駄遣い。新しい表現を作ろうよ。複数台のケータイ保持は、すでに社会現象なんですから。一台で二台分の使い方を持つ機種も出たとか、出るとか。
 
堂堂と車中で爪切るおばあさん
子を寝かせ終日営業の本屋まで
恒川和左子
 【作者】 車中のお化粧姿には、こちらが恥ずかしくなります。最近ではそれを上回る光景に会いました。家人の前でも爪切りは憚るものですが、ご当人は頓着なく、スカートに爪を切り零していました。これでは、若い人に世話を焼くどころではありませんね。救いようのない日本が目前にあります。
 【選者】 おばかさんが増えています。もちろん、道徳観も世に連れ変化はするのでしょうが、作者の怒りとも諦めともつかぬ気持ちを、このおばかさんたちは、少しくらいは理解しないと、なんでもありの時代に突入してしまうのでしょう。本屋もコンビニも終日営業、これも時代の趨勢なんでしょうか。
 
お化粧をじっと見ているうちの犬
低反発ベットお尻の跡がある
柳田みずき
 【作者】 口紅をつけると犬が猛烈に吠えます。紅の威力を感じます。外に連れて行けということなんです。友人は、それでは電車の中で若い人に混じって化粧したら、などと言って大笑いします。
 【選者】 犬がお化粧をしたいのでしょうか。リボンを付けられたり、お洋服を着けられたり。飼い主の心の満足のために、ああ、あ、です。
 
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□快気DE賞 〔こんげつの粗賞〓和尾直筆カードつき〕

■森みどり快気祝いを選んだ日     泉  繭子
□以下は、快気祝いへのお返しのぼくのメッセージです。

みどりのおにいさん〔いま、じじい〕は、かつて病に倒れたとき、多くの方から、お見舞いやお便りをいただきました。お返しは一切せず、後日、その後の健在を現した作品集を編み、近辺の方にお配りしてかえさせていただきました。

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※今後とも佳品をお寄せくださいね。そして、みなさんも作品集を編まれませんか。
………… 【渡辺 和尾】──2007-04-30 18-00



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