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投句のページ 優秀作紹介

       

2006年12月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【前書き】

それでは、2006年最終の《ピッポ DE センリュウ》をお届けいたします。
過ぎた一年への反省と、新しい一年への抱負や期待が入り混じっているころです。読者やご参加の方には、よりよい豊かな年の到来を願っています。

さっそく、入選作品の発表をいたします。

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【入選】順序は不同です。
複党後始まりました女の戦さ
紅白の発表聞ける師走かな
ち び 丸
 【作者】 小泉チルドレンの問題、いろいろありそうですね。紅白、一年の早いこと。
 【選者】 紅白歌合戦を楽しみにしている人は多いのでしょう。ぼくは、例年通り早く休みますので、縁のないことです。年末年始、電話もメールもほとんどなく、静寂が広がる我が家です。
 
道を行く轍の音も冬の中
火傷痕見るたび秋刀魚思い出し
航跡が冬の夕空三分割
三切れ入り魚の切り身に困り果て
25日過ぎたらケーキを買いに行く
ふゆのゆふ
 【作者】 寒くなりました。暑いほどの秋だったとは信じられませんね。秋刀魚を焼いたときは、まだ半袖だったのに。飛行機雲が夕空を三分割している晩秋。空を見上げてみるものですね。二人家族では、三切れ目の処遇に困るところですが、お弁当にするには一きれたりないし。ケーキは一日過ぎたくらいで、お腹を壊すようなことはないようです。
 【選者】 お腹を壊さなくてもケーキは考えものよ。体型が崩れてしまうよ。秋刀魚の美味しいのは、確かに焦げ具合ですね。
 
お正月来い矢も鉄砲もないけれど
野辺送り寿命だからと言い聞かせ
笹 さやか
 【作者】 一日に一部屋と決めて、カーテンを洗い窓を拭きます。とにかく若いときと違って、一気にはできなくなりました。新年を迎える準備は、ほどほどで良しとしているこのごろです。
 【選者】 年末年始もなんの変化もない暮らし、切り餅の10個ほどと僅かの菜があれば三日ほどは通り過ぎていきます。神さまも仏さまもいない我が家では、お賽銭巡りにも縁がありません。
 
葉牡丹を植えて新年色の庭
クリスマスカラーの寒い街歩く
春日井五月
 【作者】 クリスマスの飾り付けには、ことしはクマが多かったようです。本物の熊の顔形とは、かけ離れた愛らしさで、とても強豪な動物には見えない不思議さでした。いつからこんなに人気者になたのでしょう。そう言えば、我が家にも幾つかのクマが転がっています。
 【選者】 本能を隠した動物は可愛く見えるかもしれません。でも、飾りではなく本物は怖いことがありますので、犬猫といえどご注意を。
 
掃除する気持ちはあって新洗剤
雨の日を狙って行けば特売日
内田 順子
 【作者】 クリスマスやお正月用に、食材が豊富になったスーパー。お買い得品が日替わりに人を呼ぶので、つい買ってしました。5人家族だったころの感覚で買っている自分に気づきました。大根も大きいのをカゴに入れてしまいました。
 【選者】 大根は毎食いただきましょう。その他余ったら、腐らない前にお送りくださいね。
 
音楽は歯削りを終え聞こえてる
この花はスケッチしよう枯れぬうち
渡辺 鞠子
 【作者】 肩に力が入っているとキイーンしか聞こえません。
 【選者】 静かな夜に良質な機器で好きな音楽を聞きましょう。綺麗な花も感動の醒めないうちに描き残しましょうね。
 
箱舟の予約を早くしなければ
電気代苦にして過ごす寒い冬
Y・G・美保
 【作者】 もう七十五年も生きて来たのに、まだ少し生きてやりたいことがあるのは欲張りなのでしょうか。命にはスペアがありませんもの。どんなに年を重ねても、知らないことを吸収するのは楽しいですから。笑わないでくださいね。
 【選者】 箱舟でどこへ行こうというのでしょう。平凡な暮らしが一番ですよ。
 
居眠りを始めた山のほうを見る
可愛いと思えるときは眠り顔
香田 裕子
 【作者】 音を聞いてラの音とかシの音とか分かる人がいます。絶対音階が分かる人のようです。私は、どんな音でもドにすれば、いろんな音階ができて面白いと思っていましたのに、音楽の世界もしきたりがあるようです。人間が怒るときの音は、なんの音でしょう。怒鳴るからドの音かもしれませんね。
 【選者】 山も作者も冬支度なんでしょうか。たぶん、お孫さんを書いた作品とコメントなんでしょう。
 
えんぴつをきっちり尖らせ年の暮れ
私の気分で今朝の温泉玉子
泉  繭子
 【作者】 温泉玉子作りにはまっています。ちょっとした加減ででき具合が微妙に変わるのです。今朝の私は快調です。
 【選者】 年末に鉛筆を削るのも、温泉玉子にはまるのも、作者の性格なのでしょう。ぼくは、掃除も整理も、ましてや節料理にも関心のない年末年始。お陰で平常となんら変わらぬ朝昼晩です。 
 
子の予定凡犬だけが知っている
取り敢えず逃げずに足を掻ききって
ぽ ん た
 【作者】 師走になると、やはり一年を振り返ります。変わったもの、変わらなかったもの。50代に突入し、気持ち新たな年でした。あれこれ考えている側で、凡犬はなにも考えず、すやすやと寝ています。一年ありがとうございました。
 【選者】 50代へ、かあ。若さはいいなあ。さらに子どもさんらには未来が広がります。犬に知られるのはもったいないくらい。
 
ほんとうの冬に向かって歩き出す
葉ボタンのうすももいろを疑わず
児玉 浪枝
 【作者】 いよいよ冬も本番、北風が体中を吹き抜けていきます。なにはともあれ、2006年も終わりに。一年を振り返り、やり残したことはないのか、これからをどう生きるのか、体調はどうか、とか。いま一つ答えの出ないままです。
 【選者】 冬が季節のふゆであるのか、冬という社会であるのかでは大違い。葉ボタンにしても、同じようなことが思われます。
 
生涯無名 おばあさんに子が四人
背の丸い老婆だったと記憶する
吉田三千子
 【作者】 街には賑やかな音楽が流れ、恋人同士はしっかり腕を組んで行きます。若い人にとっては、クリスマスイブからクリスマスまでが一大イベント。イルミネーションの輝くクリスマスの夜に流れた訃報。新しい年が、もうすぐやって来るというときに。
 【選者】 亡母の記憶か。たいていの母は無名で、それが宝なのでしょうね。
 
お正月準備疲れで寝正月
もてなしのコツを教えず疲れ果て
田村 敏江
 【作者】 母は、むかしながらに、年末年始の忙しさを乗り越え、毎年もてなしてくれました。しかし、とうとうことしは、疲れた、と悲鳴を上げました。もてなし方を学んでおくべきでした。
 【選者】 たしかに。もう、作者が代わって先頭に立つ時代なのでしょうね。
 
無人駅 小さな風が動いている
無人駅 女子学生の生の足
竹内すみこ
 【作者】 女子学生の素足は気持いい。おばさまの足はいただけない。短いスカートで腰を締め、足首の細い素足には、惚れ惚れします。田舎の女子学生は、道端のタンポポみたい素朴で逞しいです。
 【選者】 早朝の通勤通学には貴重な列車。我が地方では、10時過ぎたころから、デパート巡りらしいおばさんたちで、また混雑が始まります。
 
やり残した掃除洗濯 日は短
さよならと言うからまたねと言い返す
堀  恭子
 【作者】 あと数日で年の暮れと言う日。あすは雨という予報に、一日を庭掃除。日暮れの早いことをいまさらながら。病んでいる友だちに〈さようなら〉と言われて、慌てて〈またね、またよ〉と言い返して、ぎゅっと胸が詰まってしまいました。
 【選者】 みなさん、大変なこととお察しいたします。ぼくは、この《ピッポ DE センリュウ》のこの稿を仕上げ、送信すると、誰かさんのように有罪放免になります。しばらくは、誰も来ず、手紙もメールも着かず、静寂がやって来ます。〈じゃあ、またねえ!〉
 
真新しい包丁 鰈のお造りを
新しい首輪と紐を喜ばぬ
柳田みずき
 【作者】 活きのよいカレイを刺身に。新しい包丁を奮発し、刺身と唐揚げ用に捌きました。カリッと揚がったカレイは思いのほか美味しかったですよ。忙しさのなかでの満足感でした。
 【選者】 大振りのカレイ一匹を調理。いいなあ。首輪と紐は、誰に、なにに使うのでしょうかしら。
 
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□三が日はピッポDE賞 〔こんげつの粗賞〓和尾直筆カードつき〕

■無人駅 小さな風が動いている    竹内すみこ
□ぼくの地方を走るJR武豊線は、電化されていなくて、多くの駅が無人です。我が部落の尾張森岡駅もしかりです。駅は近いのですが乗り継ぎの都合で、別の駅まで急ぎます。無人駅には確かに風が吹いていますね。

■さよならと言うからまたねと言い返す    堀  恭子
□さよならは、〈あしたまたね〉と、〈もうお別れね〉では、大違い。
病を抱えている人から言われると、考え込んでしまいますよ、ね。社会の、暮らしのよいと思われることなどを増幅していくより仕方ないのでしょうか。

■複党後始まりました女の戦さ    ち び 丸
□政治の世界は庶民とは遠いところにあるような気がしてならない。女の戦は、目に見えることが多いですから、これからが問題なのでしょうね。

□新しい年には、希望が見えてくることを期待したいものですね。
□この12月発表分は、年末年始特集号です。粗賞も、上の3句です。今後とも、たくさんの方のご参加をお待ちいたしております。

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※2007/01月分の投稿、《ピッポ DE センリュウ》《ピッポ DE 50字》をよろしくね。必ずサイトの応募ページからお願いします。パソコンを使用していない方は、代理発信によりご出句ください。
………… 【渡辺 和尾】──2006-12-28 12:00



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