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投句のページ 優秀作紹介

       

2006年10月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【前書き】

 10月の終わりでも日中はかなり暑い日でした。といっても明け方は冷え込む感じもあり体温調節に大変でした。風邪など引かれないようにご注意くださいね。

 10月30日は、このコーナーのオーナー〔! ? !〕の堀 恭子さんのお祝いの集いでした。スナップなど内容は近日発表になることでしょうが、名古屋内外から多くの方が駆けつけられました。参加させていただけたことを、ぼくもとても嬉しく思っています。他の皆さんも、きっと感動を胸に持ち帰られたことでしょう。現場に居合わせないと得られない、ことやもの、が『白いノート』発刊記念の集いだったと思います。
 そして、ぼく自身も、とにかく作品を書き続けて、ぼくのいまを残さなければと思いました。もう一度、『白いノート』発刊のお祝いを申しあげます。
堀 恭子さん、このたびの発刊、おめでとう!

 11月提出作品も、締切日を待たずにお寄せください。このコーナーの締切日と締切時間は厳守ですので、よろしくお願いいたします。
 なお、この発表は、個人的理由で数日発表が遅れましたことをお詫び申しあげます。いろいろなイベント・行事の合間を縫って、早朝からパソコンに向かっています。
 それでは、秋深みゆくころの《ピッポ DE センリュウ》の始まりです。

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【入選】順序は不同です。
佳作 犬連れて歩けば十五夜お月さま
美しい星が瞬く窓がある
児玉 浪枝
 【作者】 夫婦と息子二人、四人家族でこの町に越してきて、まず感動したことは、夜空の美しさでした。寝室の窓から星の瞬きを見ていたことも。もう十八年が過ぎ、家族は夫婦と犬だけになりました。町も少しずつ変貌しています。
 【選者】 家族も、それを取り巻く環境も変化していきます。その急変や激変にも対応していまがあるのですね。そして、これからもまた、です。月や星が身近に感じるような夜空は秋の感慨をいっそう深めてくれますね。
 
佳作 十月は国美しく秋の味
お囃子の稽古始まる風涼し
園部志津代
 【作者】 お祭りの秋大好きです。食欲の秋も大好きです。
 【選者】 10月のころは、見えるもの聞こえるもの、みな美しく、爽やかに感じるのですね。秋は森や海や山や草原などへ、軽やかに出かけたいですね。
 
佳作 中日が優勝してから早寝の夫
海外へ行く予定なくパスポート
私を証明するのが難しい
晴天の深く天国遠くなる
秋晴れに溺れてめらんこりい症候群
ふゆのゆふ
 【作者】 夫は、野球の結果が見えてからというもの、九時前ですが寝ていました。運転免許がないと、なんの証明もできません。海外へ行く予定もないのにパスポートを作る必要を感じました。秋晴れは、ほかの季節と違って底のないような深さを感じますね。
 【選者】 野球もサッカーも関心はなく、ましてや相撲もボクシングもバレーボールもルールすら知らないぼくです。なんにも知らない症候群でも生きていられます。どうぞご安心ください。パスポート、当然持っていません。運転免許証、来年切れます。更新はしません。証明書は、ぼくがいまここにいることだけで充分だと思っています。
 
佳作 ベビー用品ロイヤルベビーはカタログで
人並みに愛犬の納骨法事となり
ち び 丸
 【作者】 男子誕生で湧いた9月、そろそろベビーのお洋服、その他が話題になるころではないのでしょうか。先日ワンコの葬式をしましたが、人間並みに共同墓地に入れました。
 【選者】 世事煩雑、また繁忙ですね。慶弔事が形式に流れないようにすれば、大騒ぎをすることもないのでしょう。慶びや哀しみは、心の問題、本来は形あるものではないはずですが。
 
佳作 旅帰り久し振りねと犬の尻尾
ホテルより我が家の風呂でのほほんと
竹内すみこ
 【作者】 動きの鈍い私は、どこへ行っても他人さまに迷惑をかけるので、それなりに気を遣います。ホテルの風呂は浅くて狭くて気に入りません。病気をしてから、造り直したうちの風呂は、内側に取っ手があるので安心。ゆっくりできます。やっと家に帰ったという安らぎを覚えます。
 【選者】 古い作品に、この作者のような思いを詠んだ作品はたくさんあります。旅では我が家とまた違った体験をするから愉快であると思うほうがよいと思いますよ。
 
佳作 街路樹を見て欲しくなる銀杏の実
秋晴れにハザ掛け続く車窓なり
渡辺 鞠子
 【作者】 小さな庭へ尾の真っ赤なトンボがやってきました。夫が急いでデジカメを持って庭へ。写そうとしたとき、トンボが高高と尾を上に挙げたのです。まるでポーズを取ってくれたようで、おかしかったです。
 【選者】 小さなことへの感動、些細なことへ目を向けること、これらは大切なことだと思います。生物のさまを見て、ぼくらは愉しみ感動し、ぼくら自身の行動も振り返り、また反省もするのでしょう。
 
佳作 10月を金木犀が独占し
近道があると教えてくれるナビ
春日井五月
 【作者】 きょうも美しい秋の空に恵まれています。でも、カレンダーはいよいよ薄くなってきました。これではキリギリスを笑えないという心境です。毎年同じ思いの繰り返しをしていますが、ときどき反省もしながら、それでも楽なほうへ足が向いてしまう昨今です。
 【選者】 11月は、なにが独占するのでしょう。季節を切り取り川柳にする難しさがあります。ナビは便利ですが、また頑固者。使いこなすまでが機器や道具は厄介者。近道がたまたま工事中だったりして。
 
佳作 飼い主と同じで凡犬美女が好き
北風が吹けば朝鮮核武装
ぽ ん た
 【作者】 私の従弟たちは、父親の受けた原爆の黒い雨の遺伝の恐怖にいまも苦しんでいます。人類の愚かさの象徴です。北朝鮮の核実験のニュースに胸がキリキリと痛みました。私たちは、北風を送るのではなく、暖かな太陽を隣国に送ることができないのでしょうか。
 【選者】 優しい目と厳しい目、そして哀しい目と。心の動きが目に現れます。核に限らず、軍備の問題は、まだまだ大きく立ちはだかり続けるのでしょう。我が国でも現憲法下で訓練という名の弾が撃たれている始末ですからね。でも、原爆などの兵器の恐ろしさを各自の各国の問題として真剣に理解してほしいですね。そうして平和への道を。凡夫・凡犬、いいではありませんか。
 
佳作 いい人と言われ違うと叫びたい
おせっかいどこでとめればいいのやら
吉川美保子
 【作者】 最近の私は、〈見ざる・言わざる・聞かざる〉を守って、自己防衛をしています。おせっかいをして、思わない結果になる場合が多いからです。
 【選者】 個人的な意見は大概はお節介です。ぼくなど、自分自身が律しきれないのに大上段からの意見など、お恥ずかしいこと。いい人悪い人は、紙の表裏かもしれませんね。
 
佳作 鴎飛ぶ きょうはとっても良い空だ
暖まる名古屋の空はまだ広し
香田 裕子
 【作者】 名古屋は田舎だ、と言っていた時代がありました。さくねんの万博では、いろいろな批判はあるようですが成功したようです。ことしは、ドラゴンズが熱かったですね。初めて天むすを見たときも、櫃まぶしを見たときも、名古屋の器用さに感心しました。これからを見守りたいと思っています。
 【選者】 愛知万博は行きませんでした。造られた自然環境というイメージがありましたし、どうも足が向きませんでした。チケットをくださった方、すみませんでした。チケットは永年保存してお宝鑑定番組にいずれ出品しようと思っています。
 
佳作 分け入って落ち葉を浴びて透かし見る
腐葉土にことしの落ち葉加わって
内田 順子
 【作者】 林間の土の道に足を踏み入れました。ああ、この体験をことしもできた、と喜びが湧いてきました。都市にも残された小さな雑木林がまだあります。しかし突然の変化もあります。茶屋が坂の神社にあった杜は、あっと言う間に伐られてしまい、コンビニと駐車場になってしまいました。
 【選者】 土地にはそれぞれ所有権があり、法により用途地域や防火地域なども決められています。法の規定の範囲内で、許可や確認や同意を得て、変更や建築や造成ができます。個人の感傷だけでは世の中はあまり動いてはくれませんね。
 
佳作 職安の机挟んだその格差
雨が降る決断鈍る松葉杖
炊 飯 器
 【作者】 再就職を諦め障害者登録抹消にあす職安まで行こう。でも当日は雨、決断が鈍りました……。職員との机一つ挟んだ格差はなんでしょう。ハイハイと言って事務的な処理が終わりました。もう少し頑張ればよかったのでしょうか。
 【選者】 川柳作品は人間生活や思いが根っこにあります。ある人には辛いことでも、平然と過ぎていってしまいます。この作者が言っている〈格差〉の意味など、少しは理解できると思っています。そう、自身にもう一度、二度、三度と活を入れてみましょうね。
 
佳作 里山を歩きたくなる柿熟すころ
真剣に生きているのだ猿や熊
水野亜希子
 【作者】 稲刈りの終わった田圃で白い鳥が羽を休めています。あちこちに柿の木があり、赤い実がどっさりとなっています。青空のどこかから、鳥たちの姦しい声がします。そんないつか見た風景が、とても懐かしいときがあります。
 【選者】 だれが、いつ、懐かしい風景をなくしたのでしょうか。ぼくらを含めた時代の流れでしょう。いま取り戻そうとする姿も見られます。自然を人力で変えてしまう怖さをやっと勉強しているのですね。多方面で、いまや凄く大きな負の財産を背負っているのですね。
 
佳作 身震えば赤や黄色のわが紅葉
あきのそら小菊の雨が降っている
尾崎志津子
 【作者】 もしも、わたくしが草や木であったなら、秋になれば、菊と咲き、落葉樹であれば紅葉するのでしょう。想像してみると、なにやら身体のどこかがくすぐったい気分です。
 【選者】 もしも、わたしが草や木であったら、秋深くなれば寒さに震えだし、一番に凍えてしまい、葉を落としてしまうでしょう。
 
佳作 再会はアイロンかけたてのブラウスで
想い出を手繰ればやはりヘイ・ジュール
泉  繭子
 【作者】 年賀状交換のみ続けていた友から突然連絡がありました。30年ぶりの約束をしてしまい、少しドキドキしています。
 【選者】 アイロンなんて死語かと思っていましたから懐かしくなりました。反面、なんとか電力の電気加熱器の宣伝を腹立たしく思っているのです。あれ設置するには、改造費などで大一本くらいの大金がいるんだよ。
 
佳作 首都移転白紙にまだ立つ看板
田舎道走る新宿行きのバス
渡辺 妙子
 【作者】 自宅近くのバス停で、新宿〔東京〕行きのバスに乗れるようになりました。5時間ほどかかりますが、なんと、料金は往復8500円とお値打ち。首都移転の候補となったわたしの住まう地域、それも夢となったいまですが東京が近くなりました。
 【選者】 打ち上げ花火の後始末くらいはしてほしいのにね。地域密着の施策がもっとあっていいのに、目玉ばかりで、早晩廃止の憂き目に合わないよう願うばかりですね。
 
佳作 大根をたっぷりおろす 完敗ね
お好み焼き返してからの長話
堀  恭子
 【作者】 お腹をすかせて、二人の孫が突然、訪ねてきました。母親が留守なのに、二人とも鍵を持って出なかったというのです。夕飯は終わっていましたし、慌ててお好み焼きを作ることになりました。それからが賑やかで楽しいひとときに。
 【選者】 交流できる近親者が近隣にいるということは、なにかと便利でしょう。頼られるほうは大変かもしれませんが、それも笑って楽しんでいるようです。
 
佳作 ハローウィン卒業式まで偽装しろ
明るさへどんどん悪が積まれてる
吉田三千子
 【作者】 真っ暗闇のこの世でござんす……と、往年の鶴田浩二が歌っていました。もろ肌脱いで悪を懲らしめる高倉健が舞います。ヒーローたちに言葉を語らせ、ヒーローたちに体で語らせた時代がありました。いまこそ語って欲しいような世情があります。
 【選者】 卒業式の偽装は、無事終わるようです。世の中のことは、なんでもことなく終わるようです。さあ、ぼくらも少しでも権力の側に回ることにしましょうよ。とっても都合のよい解決例が示されました。生徒のみなさんも、大人の世界の愚行をしっかりと体験することでしょう。さあ、愚かなことしの諸行もあと少しで霧の中へ消えていくようです。
 
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□『白いノート』で賞 〔こんげつの粗賞〓和尾直筆カードつき〕

お好み焼き返してからの長話     堀  恭子

□ささやかな祝宴もまた、数人でのお好み焼きでした。お腹が一杯になれば、すべて満足に。
《ピッポ DE センリュウ》の作品もまた快くお腹がふくれます。ぼくをこの席に呼んでいただいて、もうかなり長くなりました。ひと月に一回の語らいを楽しく終えると、また新しいひと月が始まります。元気で過ごせることの幸せを思うばかりです。
――渡辺 和尾

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※来月も《ピッポ DE センリュウ》《ピッポ DE 50字》などへのご投稿をよろしくね。
………… 【渡辺 和尾】──2006-11-02 22-00



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