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投句のページ 優秀作紹介

       

2006年7月の優秀作:渡辺和尾 選評

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【はじめに】
□2006/8の《ピッポ DE センリュウ》の入選作品集です。 長い長いことしの梅雨明けの寸前にお届けいたします。あすからは、ひょっとしたら真夏になるのかもしれませんね。
 近くにある葡萄園の話では、長雨の影響は深刻のようです。他の夏果実も、多分似たような悩みがあるのかもしれません。各方面に多様な現象が現れており、足もとが掬われかねないかもしれませんね。各地の大雨被害は、それらを暗示しているのかもしれませんね。
□さあ、出発進行です。読後には、ぜひとも9月分の作品をご提出になっておいてくださいね。

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《入選》概ね到着順に掲載されています。

佳作 茅の輪を潜った七月 もう過ぎる
大き目の傘持ち雨期はもう終わり
園部志津代
 【作者】 今朝、台風が生まれたそうです。さあ、今夏はどうなるのでしょう。
 【選者】 季節は巡り、夏へ秋へ。あっと振り向けば、また新しい動きに目を見張ることになるのですね。少し愉快に生活をしてまいりましょうね
 
佳作 サッカーに仕事を止めて人生掛け
梅雨空は神経痛が悪化する
ち び 丸
 【作者】 サッカー残念、人生のすべて掛けた方が可愛そうです。仕事見つかるといいですねえ。神経痛は酷くなり、雨降りは体中にサロンパス満員です。
 【選者】 人生いろいろ、表もあり裏もあります。サッカーにも当然勝敗があり、結果は厳粛に受け止めるのがよいのでしょう。梅雨模様で身体が優れなかった人も多かったことでしょう。梅雨が明けると、とんでもない暑さになりそう。気をつけましょうね。
 
佳作 玄関を開ければ風の通り道
きょう凌ぐ 朝顔咲かせ水を飲み
内田 順子
 【作者】 風には通り道があるようです。ベランダにはベランダの風が吹きます。澱んだ暑さの中で、ふと来る微風に力を得て、前向きに進もうと思う瞬間があります。その気持ちで思い切って出かけると、よい出会いがあったりします。
 【選者】 風の通り道も死語化してしまったようです。人も、犬も猫も大切にしていた場所ですね。
 
佳作 一時間鍼灸院でラジオ聴く
ラジオでも美しい人だとわかる
東川 和子
 【作者】 なかなか腰痛がすっきりしなくて、近くの鍼灸院に通っています。鍼灸院はいつもラジオをつけていて、自分の生活にはない情報が耳に入ってきます。
 【選者】 ラジオからの声は魔法がかった声ですよ。鍼灸院でラジオとはこれいかに、ですね。鍼が効くのかな、ラジオがきくのかな。
 
佳作 トースターぽんと弾けて梅雨開ける
ゆっくりと話す足湯の足同士
大野たけお
 【作者】 私が住んでいるK市の市営の温泉センターは、65歳過ぎると入浴料100円です。私もきょねんからトレーニング〈歩行器・自転車〉を、週に2回ほどお世話になっています。温泉は心を解きほぐしますね。
 【選者】 トースターの句は、パターン化してしまいがちです。足同士が話し合うとは、楽しい発見ですね。
 
佳作 虫刺され痒みで頭が煮えてくる
梅雨明けはまだかと空を眺めてた
ふゆのゆふ
 【作者】 いつも週末ころに台風が来るようです。心配なことです。
 【選者】 どうもぼくの精神は歪なようで、頭が冴えてくる、と初めは読み間違えていました〔失礼〕。お待たせしました、梅雨明けです。
 
佳作 七月の家電売り場を見て回る
デジタルのテレビを買ってくれと言う
児玉 浪枝
 【作者】 家電製品の大型量販店が近くに三軒あります。夏のボーナスシーズンを狙っての商戦は火ぶたを切り、店内はどこも大賑わいの様相。値引きする店、ポイントカードでサービスする店など、客の気をひく宣伝は凄いと思います。でも、値段はどこの店もあまり変わらないことが解りました。電話器・ICコーダー・インターホン・照明器具など、良い物でお値打ち品がほしんですけれど。
 【選者】 自由競争と言っても、販売店は高値均衡に努めているのでしょうね。貧乏人は新製品がでたときの旧製品の安売り目指して突進ですね。
 
佳作 音のない映像の中の父と母
しゃぼん玉 緩い秩序で結ばれる
泉  繭子
 【作者】 父がいて母がいて、その周りで戯れていたあのころ。そんな生活が永遠に続くような気がしていました、が。
 【選者】 でも、人には現実と思い出と、その双方で遊ぶこともできます。生きている人の中で息づいている過去ですね。そして未来が捲られていくのですね。ぼくらは、みらいのどの辺りにまで行けるのでしょうか。
 
佳作 正午の鐘がゆったり響く法隆寺
夢殿へむかしの中学生歩く
春日井五月
 【作者】 修学旅行へ来たとか来なかったとか、久しぶりのむかし中学生が三三五五。 現実の中学生の修学旅行のグループたちにも二組会いました。遠い将来? の姿には、全く関心がないようでした。
 【選者】 当時、ぼくが持っていったカメラでは、法隆寺の夢殿が回廊から入りきらなかった記憶があります。これからも奈良路は心の故郷として生き続けるのでしょうね。
 
佳作 根分けした花が優しい色で咲く
紫陽花の濡れた心が歩きだす
竹内すみこ
 【作者】 朝市への通り道にあるピンクの紫陽花の根を少し分けて貰いました。春の間中心配していましたが、やっと根付きました。二輪ほど小さい花芽を見つけたときは、とても嬉しくなりました。直径五糎の花になり、健気でした。
 【選者】 根分けした花が咲いたことは嬉しいことですね。でも、その色を簡単に優しいとしてしまわず、客観的に書くことも、より効果を発揮するのではないでしょうか。
 
佳作 目標は楽しむ余裕揺れる子を
年取れば少しの不良お愛嬌
ぽ ん た
 【作者】 夕方になると、一人どこかにお出かけしたくなります。とは言え、なかなか現実感のないことですが、空想でもと楽しんでいます。空想の中では、いまごろ私は、下北のジャズ喫茶で一人ほろ酔いでいるのです。
 【選者】 少しの不良は、言葉の上。ほろ酔いは、名古屋のジャズ喫茶でもいかがでしょうか。さあ、こんばんは、どこへお出かけですか。
 
佳作 子殺しのニュースにアナは涙声
深呼吸してからハイと答えます
Y・G・美保
 【作者】 人間だもの、ポーカーフェイス、守れないよねと、聞き手も思わず顔が曇ります。ひとむかし前なら、アナウンサーは感情を諸に出したら首になったとも聞きました。高齢者を騙す輩が続出していますので、私も呆けてはいられません。もっとも、財産はなんにもないんですけれど。
 【選者】 事件は次第にエスカレートしているようです。なんでもありの時代には、正常とか異常とかの別はなくなってしまったのでしょうか。
 
佳作 早朝はエスカレータに学生ばかり
無視されてすっと心が冷えてくる
渡辺 鞠子
 【作者】 寄席のチケットを購入に行く朝のことです。駅には、予約券を持った彼女は来ていません。またしても無視です。一週間ほどして、〈寄せのこと、忘れてたわ〉とケロリでした。
 【選者】 無頓着とか無視とか無謀とか、若いもんは階段を使ったらと思うこと、しばしばです。〈健康な人が走ってエスカレータ〉という構図。
 
佳作 母ありて故郷近く百日紅
花束を貰えば少し照れた顔
香田 裕子
 【作者】 庭の湿地帯に妙な苔や藻が生まれました。足で踏んでみるのですが、気持ちが悪いものでした。きょねんは茸でした。ことしは、どうしたというのでしょう。でも、真夏になれば、なんでもなかったような元の庭に戻ってしまうのです。
 【選者】 母思う気持ちは大切なのでしょうが,作品は、やや甘さに傾いたようですね。
 
佳作 公衆に十円玉を積んだ恋
握る手の冷たきことは愛ですか
久保 眞二
 【作者】 近ごろ、できちゃった結婚とか、私たちの時代には想像もできないこと、ケータイもなく、公衆電話での遠距離恋愛、やっと会えた喜び、勇気を出して握った手の冷たさ、いまでもその感触が残っております。
 【選者】 そう、ケータイが普及する前のことと言っても、そんなにふるいことではなかったですね。それからテレカが出てきたのですね。成就したのかな。聞くまでもないかな。
 
佳作 街の椅子 虚しい人ら招き入れ
緑陰の片隅にあるベビーカー
吉田三千子
 【作者】 夏祭りのポスターが、町の掲示板に貼られています。カラオケ大会ありと書かれています。どこへ行ってもカラオケです。踊りだけでは人は集まらないのが現状なのでしょうか。いっぽうでは、名のある踊りの集団を招き入れて、盛大な祭りに仕上げる方法もあります。自由気儘な空気に満たされていくのも、それも夏の良さでしょうか。
 【選者】 イベントも貧しくなり,文化事業はもっと貧弱になってしまいました。カラオケ文化と言うのは、その貧弱さの象徴なのかもしれませんね。ベビーカーは平和の象徴でしょう。
 
佳作 出かけようと思うと雨が降ってくる
土砂降りに夫の傘を借りていく
堀  恭子
 【作者】 この数日間に千ミリを越す雨が降っている地方があります。土砂崩れ・土石流・冠水と、ニュースを見るたびに胸が痛くなります。このくらいの雨でぐずぐずなど言えません。
 【選者】 男用の傘は頑丈で大きい。少し重いけれど,不格好かもしれないのですが便利なものです。憎きは雨、いつも前を塞ぎます。
 
佳作 梅雨どきは爪先立って畳行く
トロロ汁 湿気一緒に流し込む
恒川和左子
 【作者】 ことしの長雨は異常でした。除湿を使わず、汗を流して自浄効果を期待しています、が。
 【選者】 ベタリペッタリ、嫌ですねえ。畳も廊下も足に纏わり付くようでした。しかし、こんどは暑くって跳び上がることになるのかもね。トロロ汁は美味しかったですか。
 
佳作 雨続く神社の杜も重くなる
胃薬を飲んで猛暑を迎え撃つ
水野亜希子
 【作者】 梅雨が明け炎暑の夏日に。クーラーの効いた部屋の出入りの繰り返しです。情けないことに、もう数年も前から、この温度差に身体がついていきません。
 【選者】 雨に濡れた杜の葉はいかにも重そうでした。胃の具合は真夏になるまでに快調にしておきましょう。ぼくは幸いにも、夏でも食欲は落ちません。
 
佳作 どこへでも行けるチケット持っている
り畳み傘の軽さを競い合い
いまいまい
 【作者】 だんだん折り畳みの傘がコンパクトで軽くなってきました。私は百gの携帯傘を晴雨関係なく常時バックに忍ばせて出かけております。
 【選者】 ポケットも、どこかのテレビ漫画にあったようですね。折り畳み傘は、ぼくもカバンに入れっぱなしです。でも、案外使わないので、お守りのような存在です。
 

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【終わりに】
□暑さが怖ろしいくらいの35.4度だったという、きょうの名古屋の最高気温でした。一日引き籠もり症候群のぼくでした。おかげで、この原稿もなんとか涼みながら仕上げることができました。
□とは言え、窓を通して暑さの気配は押し寄せるようでした。そんなことで、もう一押しという気迫に欠けてしまいました。ああ、きのうの名古屋の街で蒲焼きでも平らげておくべきだった、と反省すること、しきり〔笑〕。
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□地デジでいきま賞 〔こんげつの粗賞〓和尾直筆カードつき〕

■デジタルのテレビを買ってくれと言う   児玉 浪枝
□新しい家電はええよう。デジタルテレビはええよう。新しい機器はええよう。
新しいものは、夢を与えてくれます。働いてボーナスで、また、年金や預金をはたいて、気前よくほしいもの、買っちゃいましょうよ〔笑〕。

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※来月も《ピッポ DE センリュウ》へのご投稿をよろしくね。
………… 【渡辺 和尾】──2006-07-26 20:00



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