RUNDE KLAVIER TAGE 2000 Vol.2

御喜美江 ファンタスティック・アコーディオン
MIE MIKI  Fantastic Accordion

★魔術的な指を持った天使  (ジュネーブジャーナル)
一一アコーディオン奏者 Mie Miki この名前は、最大の興味を持って注目するべきである。彼女の才能とその驚くほど洗練された技巧によってすでにヨーロッパと日本の有名な作曲家たちが、彼女のためにアコーディオンの作品をたくさん書いている。
 その天使のような姿と魔術的な指を持った彼女はまさにこの楽器の使者である。またクラシックのレパートリーにおいても Mie Miki は数少ない最高レベルの演奏家の一人である。
《ルンデの会3月例会》
2000年3月19日(日)15:00(開場 14:30)
スタジオ・ルンデ
(名古屋市中区丸の内 2-16.-7)


モーツァルト:《幼年の作品(1761)》
メヌエット ト長調 K.1、メヌエット へ長調  K.2、
アレグロ 変ロ長調 K.3、メヌエット ヘ長調 K.4、
クラヴィア小品 ヘ長調 K.33b
モーツァルト:《晩年の作品(1791)》 自動オルガンのためのアンダンテ K.616
グリーク:『抒情小曲集』より 
ハリング(ノルウェー舞曲)、ワルツ、郷愁、妖精の踊り
ヤナーチェク:『草かげの小径にて』より 
我らの夕べ、散りゆく木の葉、一緒においで!、
涙ながらに、フリーデックの聖マリア
A. チェレプニン:パルティータ(1961)
藤田正典:星の軌道(1984)
高橋悠治:水牛のように(1985)
S. I. コッホ:OZNEK(1999)


【参加会費】一般 \4,200、ペア \7,350、学生 \2,100
      一部座席予約可(160席中約50席)
【予約、お問合わせ】 スタジオ・ルンデ TEL:052−203−4188
御喜美江(みき・みえ)
御喜美江
 春風と共に、黒い大きな瞳を輝かせて、黒い大きな楽器を胸に御喜美江はルンデにやってきます。1983年から続いている「Fantastic」な例会。毎回が、この不思議な楽器の驚くべき表現力に圧倒されています。
 今や名実共に世界のクラシック・アコーディオン界の最高峰に上り詰めた彼女は、もちろん音楽界全体の第一線をも堂々と歩んでいます。多くの作曲家が彼女のために作品を捧げ、また彼女自身は古典やロマン派の世界をアコーディオンの上で鮮やかに描き出して見せます。すでに発表された多くのCD――スカルラッティの名演をはじめとして、なんと新鮮な魅力に溢れていることか。
 「胸に抱いたこの楽器は、私と共に呼吸しています」多彩な表現力の秘密の一端を、こう語ります。あるときはオーケストラの如く、あるときはパイプオルガンのように、あるときはチェンバロやギターの軽やかさ、繊細さを……自在に操ってのける御喜美江の世界に、今年も浸りましょう。
 今回のプログラムは、前半が自身の編作で、後半はアコーディオンのための20世紀のオリジナル作品で構成されています。

プロフィール

 東京生まれ。4才からアコーディオンに親しみ、16才で世界最高のアコーディオン科を持つドイツのトロシンゲン市立音楽院に留学。1973・74年「クリンゲンタール国際アコーディオンコンクール」青年の部で連続優勝。同年「アヌシー国際アコーディオンコンテスト」二重奏の部で第1位。ハノーバー国立音大ピアノ科でベルンハルト・エーベルトに師事、卒業後はデュイスブルクのフォルクヴァング音楽大学アコーディオン科の講師となり、現在同大学教授。1990年には1989年度ドイツ州政府芸術奨励賞(音楽部門)をアコーディオン奏者としては初めて受賞した。現在、ドイツを中心に活発な演奏活動を展開し、クラシック・アコーディオンの第一人者として広い支持を得ている。

 1977年に岩城宏之指揮・札幌交響楽団定期演奏会に出演して日本デビュー。1985年ニューヨークで行われた「クローズアップ・オブ・ジャパン」のオープニング・コンサートでアメリカデビュー、1991年のジャパン・フェスティバル「ヤングミュージシャンズ・フロム・ジャパン」ツアーでイギリスデビューした。これまで世界の主要なフェスティバルに招かれ好評を博している。1983年ジュネーブの日本音楽祭、1984年オランダ.フェスティバル、スカルラッティ・フェスティバル、1988年ロンドンのアルメイダ・フェスティバル、1992年ブレゲンツ音楽祭、八ヶ岳音楽祭、1995年小澤征爾指揮で武満徹のオーケストラ作品である「ファミリー・トゥリー」を演奏したサイトウキネン・フェスティバル、1996年ソフィア・グバイドゥーリナ65歳バースディ・フェスティバルなどが挙げられる。

 そして優れた教育者として、ドイツをはじめフィンランドやポーランド、中国などでマスタークラスを行い、後進の指導にあたっている。また、世界各地で行われている国際アコーディオン・コンクールの審査員としても招かれている。

 1982年以来毎年ルンデの会例会に出演。1987年、サントリーホールのオープニングコンサートシリーズでリサイタルを行って絶賛を博し、1995年の9周年ガラコンサートにも出演した。1988年、カザルスホール・オープニング記念コンサートでリサイタル。以後、毎年3月に「御喜美江アコーディオン・ワークス」としてリサイタルを続けており、バロック作品から彼女のために書かれた新作(その数は35曲にものぼる)に至るまでの意欲的なプログラムが注目を集めている。

 レコーディングでは、1985年のスカルラッティ誕生300年を記念してアムネスティのためにつくったCD「スカルラッティ・ソナタ集」が、ドイツ国内で最高の批評を得、6000枚以上が売られた。その他ドイツでは「20世紀のアコーディオン作品集」「フランス・バロック集」、ノモスSQと「ユン.イサン/室内楽作品集」をリリースしている。国内では、「風のファンタジア−クラシックアコーディオンの世界」「モーツァルトinアコーディオン」(CBSソニー)、「御喜美江アコーディオン・シーン」(フォンテック)、「御喜美江アコーディオン・バッハ」(アイオロス)が発売されている。特に1997年3月発売のバッハは、レコード芸術で特選になるなど、絶賛され、以後も着々と新しい録音をリリースしている。

演奏会評(国内)

★御喜とトンハーの感情の法悦は素晴らしく
(前略)バッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第一番は、チェロと小さなオルガンによる演奏のような独特の味わいがあったが、(中略)そこに込められた歌は、統合された純度の高いバッハの音楽から祈りの通路を開く。そしてそれはグバイドゥーリナヘと引き継がれる。〈イン・クローチェ〉はキリストの十字架を象徴する作品。御喜の波打つような催眠的なオスティナートにトンハーのうねるようなグリッサンドが突き抜け、十字架上に出会う。深淵のカオスから螺旋状にたちのぼるような音。その激しい感情の法悦は、十字架に込められた作曲者の祈りに違いない。最後にアコーディオンの不協和音のうえでチェロがハーモニクスによるオスティナートがあらわれ、音は弓なりに落ちていく。トンハーと御喜がグバイドゥーリナの祈りに激しく共振し、一体となった素晴らしい演奏であった。(後略)(三橋圭介音楽芸術1996年7月号)

★クラシック・アコーディオンの音楽的な可能性の高さ
 (前略)前半は彼女のソロで、まず、フランスのクラヴサン曲から、ダカンとラモーの作品を全部で9曲。自然なデュナーミクと巧みなフレージングをもって、時に軽妙、時に繊細な、ニュアンス豊かな演奏であり、作品の新たな魅力を発見させる。次に、グヴァイドゥーリナの《そして私は待ち望む》が、御喜による作品解説に続いて披露された(日本初演)。風音やヴィブラートなど、アコーディオンの特性が生かされたこの曲を、彼女は、卓越した技巧と深い共感をもって熱演した。後半は、フォルクヴァング音楽院で御喜に師事している2人が加わった師弟共演。ディーター・デレンベッヒャーとのデュオによるバッハの協奏曲や、ピアソラの「タンゴ」3曲も味わい深いが、それ以上に印象に残ったのが、クリスティーナ・タチクとのデュオによるルトスワフスキの「パガニーニの主題による変奏曲」と、3人によるティェンスーの《ムツタ》(日本初演)である。それはシヤープなリズムに彩られ、息の合った快演だった。(原明美 音楽の友1994年5月)

★御喜のアコーディオンが示す可能性
(前略〉オリジナル曲のうち、高橋悠治の《水牛のように》の、途切れ途切れに、それでも離れ離れにならないように連繋していくニュアンスに富んだ旋律進行は、アコーディオンでこそ具現できる物であろう。(中略)より印象に残るのは、グバイドゥーリナの《深き淵より》であった。この曲では、密度が様々に変化するクラスター、単旋律、パッセージが駆使されているが、それらを通して自らのイメージに固有の語法を書き留めていく貧欲さが強くアピールしてくる。女性的と呼びたい繊細な感性と、それを描ききる男性的な筆力との共存は、中丸の演技力と共通するものを感じさせる。さらに、御喜が曲のすみずみに神経をゆきわたらせて説得力のある演奏を聴かせた。(楢崎洋子 音楽芸術1992年12月)


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