《ルンデあしながクラブ推薦コンサート》
三人のリサイタル

チラシ

コンサートに寄せて
 未来を目指す若い音楽家たちに是非とも必要な試練の場――言うまでもなくそれは一回でも多くの公開演奏の機会です。しかし「無名の若者」にとってその機会を得る事は大変困難です。そこで、将来を予感させるひらめきをみせ、そして自らも積極的で強い意志を持つ若い人たちを、暖かく、時に厳しく、長い目で見守って行こうという聴衆の集まり《ルンデあしながクラブ》を、1992年4月発足させました。この呼びかけに応じて、関東、中部、関西の各地区から多くの『あしながおじさん』名乗りを挙げて下さり、それによって、若い音楽家たちが地元以外の人縁・地縁の乏しいところでも、演奏会を持つことが出来ました。
 中でも発足当初からの酒井淳(チェロ。在仏)、翌93年からの吉田文(オルガン。在独)、96年からの磯田未央(ピアノ。在米)は、期待に応え毎年意欲的なリサイタルを続けていました。今回、2006年6月でクラブの活動を終結するにあたっての記念コンサートは、残念ながら酒井はヨーロッパでの演奏活動に忙しく、磯田は出産とあって参加できませんが、オルガンの吉田を軸に、これからの活躍が大いに注目されているソプラノの星川美保子とピアノの原田綾子を加えての「三人のリサイタル」と致しました。
 彼等の今後の活動を、いつもお心に留め置きくださいますようお願い致します。
ルンデあしながクラブ

2006年 6月21日(水) 開演=18:45(開場=18:15)
【会場】愛知県芸術劇場コンサートホール

【原田綾子】
ショパン:スケルツォ 第2番 変ロ短調 Op.31
シューマン=リスト:献呈
バルトーク:二つのルーマニア舞曲 Op.8a
【吉田 文】
ヴィエルヌ:オルガン交響曲 第3番 嬰ヘ短調 Op.28
【星川美保子】
山田耕筰:明日の花
中田喜直:鴉
小林秀雄:瞳
ラングレイ:三つのマリアの交唱
ブーランジェ:ピエ・イエズ
カルク−エラート:夕べの星 Op.98

【全自由席】 2,000円
【予約、お問合わせ】スタジオ・ルンデ TEL:052−203−4188

聴衆の反応

出演者のひとこととプロフィール

吉田 文 Aya Yoshida, organ
0621_aya.jpg ●ひとこと:
1993年、愛知県芸術劇場とサントリーホールでのソロリサイタル以来、既に13年もの間あしながクラブのお世話になってまいりました。音楽家としての成長の過程を見守り、後援をしてきてくださいました方々への心からの感謝と、どのような形であれ、これからは育てて頂いた私たちが次の世代の音楽家へあしながクラブの意志を継いでいきたいとの思いを込め演奏をしたく思っております。
●プロフィール:
名古屋に生まれる。幼少の頃より、オルガニストである母の吉田徳子より、ピアノと音楽一般の教育を受ける。その後ピアノを安藤仁一郎、桐山春美、作曲、理論、聴音を成田剛、兼田敏の各氏に師事。
 愛知教育大学附属名古屋中学校を卒業と同時に単身でドイツへ渡る。パーダーボルン大司教座聖堂オルガニストのヘルムート・ペータース氏にオルガンを師事。現地高校(ギムナジウム)に通うかたわら、パーダーボルン大司教座聖堂オルガニストの常任代理として、教会音楽家の活動を開始。
 17歳で由緒あるパーダーボルン大聖堂のオルガン・ツィクルスに抜擢され、メシアンの「主の降誕」全曲を演奏し絶賛を受けた。同年、ドイツ国立ケルン音楽大学カトリック音楽科に特別入学の許可を得る。オルガンをクレメンス・ガンツ、ヴォルフガング・シュトックマイヤー、ピアノをフランツ=エゴン・クラインヨハン、陳必先に師事。その他声楽、指揮法、即興演奏法、音楽理論、音楽史、グレゴリオ聖歌論、典礼学、オルガン学等を修める。
 1994年に同科を卒業、「Kantorin(A級オルガニスト)」の国家資格を得、引き続き同大学オルガン専科に学ぶ。96年、オルガン専科を審査員全員一致の最優秀の成績で修了。98年「ドイツ国家演奏家資格(Konzertexamen)」取得。
 故G.リテイズ、A.レスラ−、故N.ダンビ−、M.ラドゥレスク、J.エッセル、H.ヴァルター各氏のパイプオルガン、チェンバロマスタ−コ−スに参加する他、オルガン学権威のヘルマン=ヨゼフ・ブッシュ氏に師事。
 1991年より度々シュパイトオルガン製作所においてオルガン建築の実地研修を行う。1998年度ドイツオルガンアドヴァイザー協会主催のオルガンアドヴァイザー養成コース(Kurse zur Ausbildung von Orgelsachverstaendigen) を修了。ヘッセン州オルガニスト奨励賞を2000年に受賞。
 日本においては、1992年秋に新設の愛知芸術文化センター内コンサートホールのオルガンデモンストレーションに協力、同センターをご視察の皇太子殿下、秋篠宮殿下夫妻、ロス・アンジェルス市長を前に演奏した。93年以来愛知芸術劇場コンサートホール等で意欲的なプログラムによるリサイタルを行い高く評価されている。
 また、東京芸術劇場でのプラハ放送交響楽団:サン=サーンス「交響曲第3番」、京都コンサートホールでの芸術祭典《京》:新作楽劇「求女塚」初演、更には99年愛知芸術劇場コンサートホールでのオーケストラ・アンサンブル金沢・名古屋定期公演:プーランク「オルガン協奏曲」、2000年東京芸術劇場でのエムパイア・ブラス等との共演、また自身のプロデュースによる「オルガンの国のアリス」公演及び多数の現代音楽の初演を活発にするなど、多彩な活躍をしている。
 1995年よりケルン南部司牧地区教会音楽家を勤め、典礼音楽の総責任者に就任。乳・幼児と母親のためのカンガルー・コーラスの発案と指導、独自のコンサートシリーズの企画、運営などもした他、2006年1月には聖パウル教会創立百年祭のための教会音楽フェスティヴァルを総監督として主催。この機会に独自の企画による2枚組CD「Streiflichter」をAktivraumよりリリース。その芸術的価値は多大な注目を浴びた。
 ヨーロッパ各地でも活発な演奏活動を続けており、斬新なプログラム構成と壮麗・緻密な演奏で高い評価を受けている。現在はケルンと名古屋に在住。

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原田綾子 Ayako Harada, piano
●ひとこと:
1997年、ルンデでバルトーク弦楽四重奏団の公開レッスンをうけたことがその後の私の音楽とのかかわりを大きく変えるきっかけになりました。そこからハンガリーに興味を持ち、大好きだったリストをリスト音楽院で勉強できたことに心から感謝しています。今回演奏する、シューマンの歌曲《献呈》によるリストのトランスクリプションは、とても優しく美しい大好きな曲です。
●プロフィール:
 5歳よりピアノをはじめる。名古屋市立菊里高等学校音楽科を経て、愛知県立芸術大学に進み、同大学定期演奏会、卒業演奏会に出演。2003年同大学院修士課程を修了。
 高校在学中にピアノトリオを結成し、1997年5月スタジオ・ルンデにおいてバルトーク弦楽四重奏団の公開レッスンを受講し好評を得る。その後、同トリオで、名古屋国際室内楽フェスティバル・アマチュア室内楽フェスティバル優秀賞、第1回日中友好長江杯国際音楽コンクール・グランプリ。
 日本ピアノ教育連盟第15回ピアノオーディション全国大会入賞、春日井市、和歌山音楽コンクール等に入賞。2001年、ロンドン国際音楽コンクールディプロマ賞、St. ジョンズ・スミス・スクエアにて記念演奏会に出演。
 2000年2月、カワイ楽器・竜洋コンサートとしてソロリサイタル、2002年10月には、ベルリン交響楽団のソリストとして来日したヴァイオリニスト、ユーリ・ブラジンスキーのリサイタルツアーの共演ピアニストとして、その音楽的な柔軟性を高く評価された。
 2003年8月、スタジオ・ルンデにおいてソロリサイタル。これまでに、シュトュットガルト弦楽六重奏団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、ハンガリーでは、セゲドシンフォニーオーケストラ等と共演。
 その他、名フィルサロンコンサート、JRセントラルタワーズ・スカイストリートコンサート、春日井市お昼のコンサート、春日井フレッシュコンサート、虎ノ門JTアートホール「期待の若手演奏家によるアフタヌーンコンサート」等に出演。
 2003年より2年間、ハンガリー国立リスト音楽院に留学。ファルヴァイ・シャーンドル前院長、ネメティー・アッティラ氏、室内楽をバルトーク弦楽四重奏団のネーメット・ゲーザ氏に師事。
 2004年第18回ヴァレンティノ国際音楽コンクール第1位、およびヴァレンティノ大賞を受賞。その他、ベラ・バルトーク国際音楽コンクール、リスト・バルトーク国際音楽コンクールで入賞。バルトークの生誕地ナジセントミクローシュや、デブレツェンのベートーヴェン・コンクールのオープニング・セレモニーにて入賞者記念演奏会に出演。2004年、2005年、ブダペストにおけるジャパン・フェスティバルに出演。イタリア、フランス、ハンガリーにてソロリサイタル。
 帰国後、2005年9月電気文化会館ザ・コンサートホールにおいてリサイタル
 細田和枝、森本恵美子、宇都宮淑子、重野和彦、ローラント・ケラーの各氏に師事。

星川美保子 Mihoko Hoshikawa, soprano
0621_mihoko.jpg ●ひとこと:
 二年間のドイツ留学。ヨーロッパの美しい文化に触れ、伝統を感じながら勉強できたことはとても貴重な体験でした。留学経験があったからこそ帰国後、日本文化の素晴らしさを再認識できたような気がします。そこで今回のコンサートでは、母国語である日本語の詩に作曲家が繊細な感性で表現した日本歌曲を歌いたいと思っています。
●プロフィール:
 愛知県出身。東京芸術大学音楽学部声楽科卒業、同大学院オペラ科修了。芸大卒業時に同声会卒業演奏会に出演。
 芸大在学中、東京芸大バッハ・カンタータ・クラブに所属し、小林道夫氏のもとで研鑚を積み、バッハのカンタータのソロ及び合唱を数多く演奏している。
 オペラでは、芸大定期オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」フィオルディリージ役、ブリテン「ヴェニスに死す」イギリス婦人役、2005年3月二期会本公演[魔笛]パミーナ役で二期会デビュー、同年10月二期会ニューウェーブオペラ「ジュリアス・シーザー」クレオパトラ役に出演、いずれもその歌唱力、演技力に高い評価を受けた。
 コンサートでは、第50回芸大メサイヤ、モーツァルト「モテット」、「レクイエム」、ハイドン「ミサ曲」、フォーレ「レクイエム」、ヴィヴァルディ「グローリア・ミサ」、バッハ「ロ短調ミサ曲」、「クリスマス・オラトリオ」、「マニフィカート」、ブラームス「ドイツ・レクイエム」などのソリストを務める。
 2005年10月には、ボロメーオ・ストリング・クァルテット(アメリカ)のシェーンベルク:弦楽四重奏曲第2番に東京、名古屋で共演した。  2003年から05年までドイツ・ライプチヒに留学。
 毛利 準、伊原直子、Christina Wartenbergの各氏に師事。
 二期会オペラ研究所マスタークラス第46期修了。東京室内歌劇場、二期会会員。

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