「一輪のバラは咲きて」
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メンデルスゾーン、シューベルト、シューマン、
ブラームス、グリーク…… 風の楽器・アコーディオンが紡ぎだす、 ロマン派の巨匠たちの素晴らしき世界。
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●アコーディオンの遺伝子-------御喜美江● クラシック・アコーディオンのレパートリーというと、古いものか、新しいものかの二つに分かれることが多い。それは一つに、この楽器の歴史がまだ浅く、オリジナル作品の全てが20世紀後半から始まるのと、もう一つは“鍵盤楽器”として、古い時代の音楽もオリジナル・テキストのまま編曲せず演奏できるからである。 でもアコーディオンが産声をあげたのは1829年、まさにロマン派の時代だった。そして19世紀において、この楽器はいろいろな国や場所で改良され発展していった。その過程において、アコーディオンは様々な言葉や民族色を受け入れ、キャラクターも多種多様に変化していった。アルゼンチン・タンゴのバンドネオン、ロシアのバヤン、フランスのミュゼット、チロル地方のディアトニックなど、育った気候や環境は楽器のキャラクターを全く別のものに変えていったように思える。 しかしどの国のどの時代の“アコーディオン”にも共通している遺伝子のようなものが実は二つある。 それは一つに『うた』、もう一つが『超絶技巧』だ。 アコーディオンの蛇腹は“うたう器官”、そして左右の指はピアノより細い鍵盤と小さなボタン上を“超特急テンポ”で飛び交うことが出来る。この二つの遺伝子だけは、産声をあげてから今日まで全く変化していないように思える。 ところで、この二つの要素が最も大きな役割を果たしている時代はいつだろうと思うとき、“ロマン派”にぴったりとそれがおさまるようだ。 今回私はアコーディオンをロマン派の音楽の中にたっぷり泳がせ、1829年頃に生まれたこの不思議な楽器の遺伝子を改めて身近に見つめたいと思い、このようなプログラムを組んでみた。 なお、ダウランド(1563-1625)が何故ここに入っているのか? それは『涙』をテーマとしたこの七つのパヴァーヌ集が、あまりにもロマンチックな音楽だから。涙だけはもしかして400年前も、ロマン派時代も、そして今も、あまり変わっていないように思えるのだ。 |
《ルンデの会3月例会》
2006年3月26日(日)15:00(開場 14:30) スタジオ・ルンデ(名古屋市中区丸の内 2-16-7) ●第1部:アコーディオンは“うたう” 【うた】 シューマン:農夫の歌 メンデルスゾーン:紡ぎ歌 【涙】 ヤナーチェク:涙ながらに グリーク:バラード ダウランド:ラクリメのパヴァーヌ 【故郷】 グリーク:故郷にて・祖国の歌 【踊り】 シューベルト:楽興の時 グリーク:妖精の踊り 【人】 グリーク:孤独なさすらい人、いたずら小僧、小人の行進 【祈り】 ブラームス:一輪のバラは咲きて リスト:ワーグナーの墓にて ●第2部:ピアノと モリク:なぐさめ、農夫の踊り、悲しみ、祈り〜「古い劇音楽」より ピアソラ:アヴェ・マリア モリク:アコーディオン協奏曲ト短調〜アコーディオンとピアノによる 【参加会費】一般 5,000、ペア 9,000、学生 2,000 一部座席予約可(160席中約50席) 【予約、お問合わせ】スタジオ・ルンデ TEL:052−203−4188 |
御喜美江(みき・みえ アコーディオン)
東京生まれ。4歳からアコーディオンに親しむ。
16歳でドイツ・トロシンゲン市立音楽院へ留学。1973・1974年「クリンゲンタール国際アコーディオンコンクール」青年の部で連続優勝。同年「アヌシー国際アコーディオンコンテスト」二重奏の部で第1位。ハノーバー国立音大ピアノ科でベルンハルト・エーベルトに師事。 ドイツを中心に活発な演奏活動を展開し、世界の主要なフェスティバルなどに招かれている。1990年には1989年度ドイツ州政府芸術奨励賞(音楽部門)をアコーディオン奏者として初めて受賞した。 1977年岩城宏之指揮・札幌交響楽団で日本デビュー。 ルンデの会例会には1983年以来96年を除く毎年来演し(下欄参照)、常に意欲的なプログラミングで聴衆を魅了して来た。そして彼女自身「ルンデの歴史は、私のアコーディオン奏者としての歴史である」とまで言い切っている。 今回は、著名なピアニストである夫君ゲオルク・フリードリヒ・シェンク氏がプログラム後半に登場する。二人は、すでに1995年、1997年、2001年にも共演している。 国内では、1987年サントリーホール・オープニングコンサートシリーズでリサイタル。1988年カザルスホール・オープニングコンサート。以来、毎年春にリサイタル「御喜美江アコーディオンワークス」を続けており、バロック作品から彼女のために書かれた新作(その数は約40曲にのぼる)に至るまでの意欲的なプログラムが注目を集め、クラシック・アコーディオンの第一人者として幅広い支持を得ている。 国内盤CDでは「風のファンタジア〜クラシックアコーディオンの世界」「モーツァルト in アコーディオン」(CBSソニー)、「御喜美江アコーディオン・シーン」(フォンテック)、1997年に音楽の友社主宰レコード・アカデミー賞特別部門(日本人演奏)を受賞した「御喜美江アコーディオン・バッハ」(アイオロス)、「フランス・バロック集」「ドメニコ・スカルラッティ ソナタ集」、ヴィオラの今井信子とのデュオ「時の深みへ」「アンティクティズ」、「ソノリティ〜日本のアコーディオン作品集」(以上キング・インターナショナル)、アコーディオンのシュテファン・フッソングとのデュオ「T“W”OGETHER」(DENON)、「ソノリティズ〜日本のアコーディオン作品」(以上キング・インターナショナル)、ハーモニカの崎元譲とのデュオ「ポエム・ハーモニカ」(カメラータ)など、多数リリースされている。サイト「水牛」にエッセイを執筆。また、自然体で綴られるブログも好評。現在、ドイツ・エッセンのフォルクヴァンク音楽大学アコーディオン科教授 |
ゲオルク・フリードリヒ・シェンク(Georg Friedrich Schenck ピアノ)
1953年ドイツ・アーヘンに生まれる。C. アラウ、B. エーベルト、A. ワッツに師事。「魅力的なピアノ技法を音楽の真実に結びつけた」とワッツが称賛する能力は、つねに知的な関心をもって取り組む真摯な姿勢にあり、そうした態度は古典から前衛音楽におよんで優れた解釈を呼び覚ましている。2001年にCD「ベートーヴェン・ピアノソナタ集〜ハンマークラヴィーア」をアエオロスからリリースし、「これほどクリエイティヴで刺激的なしかも説得力のあるベートーヴェンは類例がない」(武田明倫氏)と絶賛され、「レコード芸術」誌にて特選盤に選ばれる。2004年1月にはワーナー・クラシックスより「NEW BEST50」シリーズにて「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5,15,21&25番」をリリース。1986年より、デュッセルドルフのロベルト・シューマン音楽大学のピアノ科および室内楽科教授として後進の指導にもあたっている。 ルンデの会例会では、前述の通り過去3回御喜美江と共演している。 |
御喜美江 ルンデの会例会来演記録 | |
1983年 4月 | Fantastic Reeds -1- 【共演】崎元 譲(harmonica) |
1984年 3月 | Fantastic Accordion -1-「スカルラッティから高橋悠治まで」 |
1985年 3月 | Fantastic Reeds -2- 【共演】崎元 譲(harmonica) |
1986年 3月 | Fantastic Accordion -2- |
1987年 3月 | Fantastic Accordion -3- |
1988年 3月 | Fantastic Accordion -4- |
1989年 3月 | Fantastic Accordion -5-【RUNDE Klavier Tage '89】 |
1990年 3月 | Fantastic Accordion -6- |
1991年 3月 | Fantastic Accordion -7-【共演】安田謙一郎(cello) |
1992年 3月 | Fantastic Accordion -8-【共演】安田謙一郎(cello) |
1993年 3月 | Fantastic Accordion -9- |
1994年 3月 | Fantastic Accordion -10- 【共演】ディター・デレンベッヒャー、クリスティーナ・タチク(accodion) |
1995年 3月 | Fantastic Accordion -11-【共演】ゲオルク・フリードリヒ・シェンク(piano) |
1997年 3月 | Fantastic Accordion -12- 【共演】ゲオルク・フリードリヒ・シェンク(piano)、Das Klarinetten Duo |
1998年 3月 | Fantastic Accordion -13- |
1999年 3月 | Fantastic Accordion -14-【共演】高橋悠治(cembalo) |
2000年 3月 | Fantastic Accordion -15-【RUNDE Klavier Tage 2000】 |
2001年 3月 | Fantastic Accordion -16-【共演】ゲオルク・フリードリヒ・シェンク(piano) 【ルンデ開館20周年記念シリーズ】 |
2002年 9月 | Fantastic Accordion -17- |
2003年 3月 | Fantastic Accordion -18- 【共演】太田智美(accordion) |
2004年 3月 | Fantastic Reeds -3- 【共演】崎元 譲(harmonica) |
2005年 3月 | Fantastic Accordion -19- |