ルンデ開館記念日特別例会

モラヴィア弦楽三重奏団

THE MORAVIAN STRING TRIO

《ルンデの会4月例会》
2002年4月29日(月・祝)15:00
(開場 14:30)


フランセ:弦楽三重奏曲 ハ長調
タニェエフ:弦楽三重奏曲 ニ長調
モーツァルト:ディヴェルティメント 変ホ長調 K.563


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【会場】スタジオ・ルンデ(名古屋市中区丸の内 2-16.-7)
【参加会費】一般 \5,000、ペア \9,000(予約要す、学生 \2,500
      一部座席予約可(160席中約50席)
【予約、お問合わせ】スタジオ・ルンデ TEL:052−203−4188
モラヴィア弦楽三重奏団 プロフィール
 モラヴィア弦楽三重奏団の母体であるモラヴィア弦楽四重奏団の歴史は、1923年にチェコのブルノにおいてモラヴィアの現代音楽作品に取り組むために結成され、ヤナーチェクの作曲活動にも参加した名門アンサンブル、モラヴィア弦楽四重奏団にさかのぼる。
 1953年に、当時ブルノ音楽院の学生であったメンバーによるアンサンブルが、モラヴィア弦楽四重奏団の名を受け継ぐために活動を開始し、創始者の一人であるクドラーチェク教授により、1965年に、正式にその名が今日のチェコを代表するモラヴィア弦楽四重奏団に継承された。同年8月、イタリア国際弦楽四重奏コンクールにおいて見事優勝を果たし、モラヴィア弦楽四重奏団は一躍世界の音楽市場の注目を集める存在となった。その後、イタリア弦楽四重奏団やヤナーチェク弦楽四重奏団との共演や交流により、より緊密なアンサンブルを形成していった。1969年、ブルノ国立フィルハーモニーの専属アンサンブルとして迎えられ、確固たる地位を確立し、その後チェコ国内の他、ヨーロッパ各地を演奏旅行し国際的に活躍している。
 1965年イタリア国際弦楽四重奏コンクール優勝、1975年チェコスロヴァキア共和国文化大臣賞受賞、1978年ヤナーチェク・メダル受賞、1979年チェコ作曲家・演奏家ユニオン賞受賞、1988年第5回ネイプレスの現代音楽フェスティバル優秀賞受賞。
 日本には、2000年8月のチェコ室内楽フェスティバルのために来日し好評を博した。ルンデの会例会でも、二日間にわたり自国の作曲家六人の作品を演奏、そのアンサンブルの見事さで深い感銘を与えた。
 今回は、弦楽四重奏の傍ら日頃より研鐙を積んでいるトリオとしての来日、意欲的なプログラミングで期待される。

2イジー・ヤホダ(ヴァイオリン)
 1950年、ブルノ生まれ。ブルノ音楽院卒業後、プラハ演奏芸術アカデミーにおいて、アレクサンダー・プロチェク教授に学ぶ。チェコ国立ブルノ歌劇場管弦楽団のコンサートマスター及びモラヴィア弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者として活躍する。チェコ国内のオーケストラや室内アンサンブルにソリストとして招かれているほか、ブルの音楽院で後進の指導にあたっている。

ヤン・ジェズニチェク(ヴィオラ)
 1959年、ブルノ生まれ。ブルノ音楽院卒業後、ヤナーチェク演奏芸術アカデミーにおいて、研鑽を積む。その後、国立ブルノフィルの第2コンサートマスターをつとめ、1986年よりモラヴィア弦楽四重奏団のメンバーとなる。ブルノ音楽院とヤナーチェク演奏芸術アカデミーで、後進の指導にもあたっている。

ヨゼフ・クリーチ(チェロ)
 1976年、チェコのモラフスカ・ドゥレボヴァ生まれ。ブルノ音楽院及びヤナーチェク演奏芸術アカデミー卒業。その後、インスブルックのヤング・オーストリアフィルの首席チェロ奏者をつとめる。ロンドンの、ヤマハコンクールで優勝し、富山の桐明学園アカデミーにも招かれた。ソリストとして、ヨーロッパのみならず、カナダ、アメリカ、日本で演奏旅行を行なう。2001年に亡くなった前任者ベドゥシーフ・ハヴリークに代わりモラヴィア弦楽四重奏団のチェロ奏者となる。また、室内楽とチェロ科の教授として、ヤナーチェク演奏芸術アカデミーでも活躍している。
曲目解説
シヤン・フランセ(1912-1997):弦楽三重奏曲 ハ長調
 ラヴェルやストラヴィンスキーの影響を受け、現代的感覚であらゆる分野において名作を残したフランスの作曲家、フランセは1933年21歳の時にこの弦楽三重奏曲を作曲した。アレグレット、スケルツォ、アンダンテ、ロンドの4楽章から成り、ハ長調の音階を基本に単純な和声を用いている。心地よい音の色合いと風雅な曲想は、20世紀半ばの典型的なフランス音楽といえる。全般的に悲劇的な曲想の作品が多いこの時代において、フランセはイベールやルーセルと並び、楽天主義的な魅力を持つ作品を多く残した作曲家といえる。

セルゲイ・タニェエフ(1856-1915):弦楽三重奏曲 二長調
 1878年、22歳のタニェエフは師であるチャイコフスキーを引き継いで、モスクワ音楽院・作曲科を受け持つことになった。この弦楽三重奏曲をチャイコフスキーに見てもらったが、あまり気に入られず彼はこの曲を出版しなかった。1956年になって初めて出版されたこの曲は、シューベルトからレーガーに至るロマン派を代表する、又19世紀のロシア音楽作品の中でも重要な作品といえる。アレグロ、スケルツォ、アダージョ、フィナーレの4楽章から成る。明るく田園風な曲想の中、悲哀に満ちたアダージョは、特に印象的でロシア的な響きが際立っている。チャイコフスキーの作品を思い起こさせるフィナーレはいかにも終楽章らしく、室内楽の形式を保ちながらまるで交響曲のようだ。

W. A. モーツァルト(1756-1791):ディヴェルティメント 変ホ長調 K.563
 1788年9月27日、ウィーンで完成されたこの曲は、アレグロ、アダージョ、メヌエット、アンダンテ、メヌエット、アレグロと並んだ6つの楽章から成る。第1・2楽章などは、ディヴェルティメント(嬉遊曲)という娯楽性を目的とした曲趣を超えた重厚さを持っており、弦楽四重奏曲などの室内楽の分野に入れたくなるほどモーツァルト晩年を代表する洗練された名作である。モーツァルトの作品中、唯一の弦楽三重奏曲でもある。


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