○「又、お目に掛かりたいけれど」 【S. I. 】
 1704……このナンバーが友人の紹介でメンバーになって頂いたものです。当時は大きな編成のオーケストラを大きなホールで主に聴いていましたから、何もかも耳(?)新しく大層楽しんで誘ってくれた友人と通ったのですが、そのうち大阪本社勤務東京兼任という殺人的な仕事の矢鱈忙しさにご無沙汰しがちになり、漸く無罪放免となって名古屋へ戻り第2の職場で働き出して又楽しく通わせて貰いました。

 ここ最近、無伴奏は殆ど聴くように努めました。
 あの目の前で演奏される直接音が間髪を入れず伝わってくる魅力はたまりません。大きなホールでは遠くにあったステージが、手を伸ばせば届くところにあり、演奏されるんですから。
 これから聴けるぞと意気込んだら終焉を迎えることになり残念の一語に尽きます。

 尽きぬ感謝と共に長い間多くの楽しい機会を作っていただき有り難う御座いました。
 もう一度なんて贅沢は言いますまい。お元気でお過ごし下さい。


○「ルンデと私」 【S. I. 】
 私とルンデの出会いは、1983年6月11日の赤尾三千子さんの「竹の精」でした。
 当時、NHKに出演されていた赤尾さんの演奏を、是非身近で聴いてみたいと思ったのです。当日の演奏はもちろんのこと、赤尾さんの曲や楽器の解説も良かったのですが、何よりも素晴らしかったのは、繊細な横笛の最後の最後まで聴き取れるホールの音響の素晴らしさです。一耳惚れして以来、ずっと今日までルンデで演奏を聴かせていただいていますが、一度も期待を裏切られたことはありません。

 私がルンデの会に入会して良かったと感じたことは、何よりも音楽を聴く幅が拡がったことです。赤尾さんの横笛をきっかけに、箏の沢井一恵さん、尺八の山本邦山さん、ネプチューン海山と和楽器の演奏を聴くようになりました。家元制度に胡坐をかいた邦楽の演奏会は嫌いですが、和楽器の特徴を生かした創造的な演奏は刺激的でした。特に94年の沢井一恵さんのグバイドゥーリナ“今朝目覚める直前に”では客席にも箏が配置され前後左右から音楽に包まれるという未曾有の体験をすることができました。

 もう一つ、ルンデではバッハ以前の古楽器による演奏を沢山聴くことができたのも良かったです。きっかけは、84年のミクロロゴスで、クラシックの演奏会で初めて手拍子したことで、古楽器の演奏の楽しさを知りました。以後、セクエンツイア、佐藤豊彦さん等を聴くようになりました。

 私はルンデの会の会員の中では、ジャズを主に聴くということで少し変わっていると思います。ジャズは、内田先生の主催する「ヤマハ・ジャズ・クラブ」で、スタッフとしてコンサートのお手伝いをするくらい好きでよくライブも聴いていました。ルンデでも、加古隆、ジョン・ゾーン、高柳昌行等フリー・ジャズを聴きました。一度だけ、ルンデでも「ヤマハ・ジャズ・クラブ」のコンサートをやったことがあります。1990年8月10日の127回例会で、若きドラマーの本田珠也をメインにしたコンサートでした。当日、リハーサルでピアノの本田竹広さんがいきなり“展覧会の絵”を弾き始め時はメンバー・スタッフ共に大笑い。どうも、ルンデのステージはベテランのジャズ・ピアニストにもクラシックを弾かせる、独特の雰囲気があるらしい……。

 他にも、バルトーク弦楽四重奏団の“バルトーク第4番”、御喜美江さんのアコーディオン、ソンコ・マージュさんのフォルクローレ等、心に残る演奏がいっぱいです。

 ルンデの会が閉会になるのは残念ですが、何事も始めがあれば終わりもあるもの。私の人生を豊かに彩ってくれたルンデに「ありがとう」を言って、深く感謝の意を表する次第です。


○《本当に良い演奏会》とは? 【Y. N.】
 ルンデさん、長い間のたくさんの素敵な例会、本当に有難うございました。
 大きなホールと違い、スッと気軽に入って行ける心地良い場所、そこに世界のトップアーティストが続々と来てくれて、変な制約なく(採算をとるのための曲目変更など)それぞれのコダワリのプログラムを聴かせてくれて……、とても贅沢をさせてもらいました。

 演奏する立場から見ても、ここに演奏家達が何度も通う気持ちがとてもよく解ります。演奏者の満足度は、どれくらい気分よく本番を迎え、自分のやりたい事に集中出来たか、にかかっています。ギャラが高いとか低いとかチケットがたくさん売れたとか売れないとか、そういうことは二の次三の次四の次なのです……。

 「本当に良い」演奏会とは何か?を知っているからこそ出来るルンデさんならではのサポート、肝心なことには労を厭わず、しかし余分なことはしない言わない、気持ち良く、ストレスなく演奏に集中出来る環境をさりげなく整えてくれる場であったからだと思います。

 25年間……休日もなく、骨身を削っての仕事♪本当にお疲れ様でした!! でもこれからも、音楽界のために辛口の指南をお願いします。
 有難うございました。