reviewConcert Pre- & Re-view
2004

コンサートへの期待と反響を紹介。

あなたの一推しコンサートのアピールや、
感想の投稿を歓迎します。




PREVIEW 2004



REVIEW 2004
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酒井 淳〜バッハ無伴奏(12/21) 和波孝禧〜ヴァイオリンを語る(12/19) 吉田 文〜オルガン(12/8)
渡辺玲子〜ブラームス3(11/30) エヴァ・ポブウォツカ(11/25) ヴァディム・グルーズマン(11/21)
児玉麻里〜3(11/16) ライプチヒ弦楽四重奏団(11/14) タチャーナ・ヴァシリエヴァ(11/8)
渡辺玲子「ブラームスとその系譜2」(10/31) エリック・シューマン(10/28)
渡辺玲子「ブラームス1」(10/11) オーケストラ・アンサンブル金沢 第21回名古屋定演(9/24)
パシフィカ・クァルテット(9/16) 野原みどり「ラヴェル2」(9/5) 金澤 攝「ヴァイスマン」(8/25)
野原みどり「ラヴェル1」(8/8)金澤 攝「ハース」(7/26) 工藤重典(7/18)
バルトークから獲たもの〜5〜(7/11) ジェフリー・グライス(7/10)
金澤 攝「ニーマン」(6/26) 前橋汀子(6/14) ウィーン・ピアノトリオ(6/9)
セルゲイ・ハチャトリアン(6/6) ボロメーオ・ストリング・クァルテット(5/27)
児玉麻里〜2(5/16) ロナルド・ブラウティガム(4/25) 堀米ゆず子&児玉 桃(4/4)
御喜美江&崎元 譲(3/21) 鈴木理恵子&高橋悠治(3/18) 上海クァルテット(3/16)
オーケストラ・アンサンブル金沢 第20回名古屋定演(3/14) 小山実稚恵(3/13)
タスミン・リトル(2/1) 藤原真理(1/16) 金澤 攝(1/10)

酒井 淳 無伴奏バロックチェロ・リサイタル
2004年12月21日 スタジオ・ルンデ
○美しい音でした。ありがとうございました。また聴かせて頂くのを楽しみにしています。【Y. H. 】
○静かな気持ちをいただきました。【F. T. 】
○5番の最初の音がここちよくて好きです。心落ち着く演奏でした。楽しかったです。【Mu】
○バロックチェロの無伴奏を初めて聞きました。大変感動いたしました。本来バッハの作曲した心が深く伝わり、モダンにない力強さを感じました。
 以前この会場でのリサイタルを聞いてから長い間、聞く機会がありませんでしたが、今日、本当に感動いたしました。又がんばって成長して下さい。【K. I. 】
○集中度の高い、いちずさの強く感じられる、素晴らしいバッハでした! 前回より、バロックなのかモダンなのか、楽器の違いを気にせず聴けたということは、酒井さんのこの楽器の習熟度も非常に上がったのだと思います。年末の良い締めくくりが出来ました。【緑区:K. I. 】
○初めてバロックチェロの音色が聞けてよかったです。ビブラートをほとんど使わない奏法も面白かったです。何より酒井さんの弓さばきや左手が凄い!
 (ルンデは)初めて来たんですが、どこか懐かしい感じのするスタジオでした。【千種区:Y. A. 】

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和波孝禧〜《バロックとモダン楽器による無伴奏リサイタル》
2004年12月19日 スタジオ・ルンデ
○家庭的な感じで、子供と一緒でしたが音楽というのを聞かせてあげられたと思います。【名東区:T. I. 】
○「バッハ」について。音色がおもしろかった。特にゆっくりとした部分、『重音が特別なひびきをして』不安定でゆれている音にみりょくを感じた。もっとゆっくりとしたバッハを聞きたい。僕達は速いテンポを求めすぎているような気がする。「パルティータ」が特に良かった!〜バロックバイオリン初心者〜【熱田区:K. I. 】
○04年12月、バロックヴァイオリンでバッハを聴かせてもらう不思議を感じました。何となく自然?素朴?という感じでした。
 和波さんのトークからお人柄が伝わってきて、何故かほっとしながら聴かせてもらい、いい時間を過ごさせていただきました。60才バースデイコンサートうれしくうかがいました。【広島県:N. T. 】
○今年の和波さんのバロックヴァイオリン、最高でした! あたたかい響きが素晴らしく、演奏の冴えもいつもどおり、また“パルティータ第2番”が聴け本当に幸せでした。
 モダン楽器で聴く和波さんのバルトーク、これがプログラム最後の曲で幸せでした。
 アンコールに、しばらく聴けないと思っていたモダンのバッハが聴けるなんて、ファンには本当に嬉しかったです!【緑区:K. I. 】
○近くで、和波孝禧の久しぶりの温かい演奏を有りがとうございます。プログラムも変化に富み、良かったです。【西尾市:K. A. 】

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AYAのクリスマス・オルガン・コンサート
2004年12月8日 愛知県芸術劇場コンサートホール
○メシアンの大曲をはじめ、新しいクリスマスのそれぞれの曲をその精神性においてもテクニックにおいても完全にご自分のものとされた、豊かな美しい演奏は、大変驚異的かつ感銘深いものでした。日本におけるオルガン音楽のレベルを飛躍的に向上すべく今後一層のご活躍を祈ります。解説文も神学的に立派なものです。【Annon. 】
○すばらしい演奏をありがとうございました。初めてパイプオルガンを聴いたという友達の子ども(中2)はオルガンの音域の広さに驚いていました。繊細な音から重厚な音までみんなでたのしませていただきました。【M. M. 】
○メシアン圧巻でした。後半のクリスマスを題材としたコラールも新鮮でよかったです。【Annon. 】
○堂々たる演奏で大変すばらしかった。【瀬戸市:K. K. 】
○1部では理解するのが難しかったですが音の響きに(特に低音)圧倒されました。2部では時々知った曲で少しリラックスできました。
 AYAさんの後姿がとてもしなやかで、音ものびやかな感じに受けとられました。久しぶりにオルガンの音色をたんのうさせて頂きました。ありがとうございました。これからもすてきな音楽を聞かせて下さい。【Annon. 】
○1部は、芸術的にはどうかわからないが、全くおもしろくなかった。2部は1部より良かったけどそれでもイマイチ。
 吉田さんの演奏に文句はないがコンサートのイメージと比べるとちっともロマンチックでなく、力感のみしか感じられなかった。【Annon. 】
○メシアンは“あっとう”されるって感じでした。今はとても幸せで満ち足りたきもちです。2部のX’masソングの方は聞いていて楽しくワクワクしました。“Ding! Dong!”はとても華やかでまた聞きたいです。【長久手町:S. S. 】
○心の奥深くにまで響きわたる素敵な演奏でした。ここにいあわせることができて光栄でした。どうもありがとうございました。また吉田文さんの作品にお会いしたいです。他にも古典的なオルガン演奏会是非催していただけたらと思います。【浜松市:H. K. 】
○前半は全然知らない曲だったのでつい気持ちよくて夢の世界へ入りこみそうになってしまいましたが、後半は知っている曲やなじみやすい感じの曲が多かったので聞くことに集中することができました。パイプオルガンの音っていいですね。体の中に自然に入ってくるので体の中を洗浄したみたいでした☆【緑区:A. B. 】
○友人にさそわれてオルガンコンサートは初めてのことでとても興味がありました。オルガンの音色ってやさしく心地良いものですネ。【瑞浪市:A. N. 】
○コンサートホールでオルガンを聞いたのははじめてでしたのでびっくりしました。すばらしかったです。オルガンが生々と歌っているので楽しかったです。【春日井市:N. K. 】
○1部は解説がわかりやすかったです。知らない曲ですが、1曲ずつ解説を読みながら私なりのイメージ、情景を思いうかべながら聴くことができました。音楽を聴くときにイメージを持ちながら聴けるというのは、楽しいです。
 2部は、ハーモニーの美しさがとても、気持ちよかったです。ありがとう。【A. S. 】
○オルガンコンサートは初めてです。どんなコンサートか味わってみたくて今日はきました。清んだ高音、荘厳な低音、音の迫力に圧倒された。耳なれない宗教音楽にちょっととまどいました。音が大きすぎると思った。オルガンでこんなに色々な音が表現できるとは思わなかった。【尾張旭市:A. O. 】

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渡辺玲子 「ブラームスとその系譜」全3回の3
2004年11月30日 スタジオ・ルンデ
○力強い演奏に驚きました。ブラームスのソナタ第3番が流れるような音、すばらしかったです。(ルンデは)音の響きがとても良いです。【F. T. 】
○今回はこのシリーズの最終回ということもあり、渡辺さん個人の音楽性などについては全二回で十分に堪能したので、曲そのものに焦点を当てて聴いてみることにした。
 まず最初に演奏されたプーランクのソナタは、まず曲の始まりがずいぶんと意表をついており、一体どういう音楽が始まるのかなあと思っていたら、実にさまざまなフレーズが次から次へと現れてきた。やけににぎやかだったと思うと一転してまことに優美な旋律が流れるといった具合で、一体次には何が始まるのだろうと思いながら聴くことになる。終わり方がまたまことに突飛で、あれっと思った。奏法としてはピチカートがかなり多用されており、これが一種独特の雰囲気を作っていた。ところでこのシリーズのテーマであるブラームスの音楽との兼ね合いであるが、正直のところ曲想やその展開についてブラームスとのつながりを見つけることは難しかった。強いていえば、おだやかな旋律がゆたかに流れるあたりや、ヴァイオリンの重音がしめやかに続くあたりであろうか。もっとも、ブラームスの音楽を念頭に置きながらこういう音楽を書くところがすぐれた作曲家の資質というものかもしれない。
 それに比べ、次に演奏されたレーガーのソナタは全体の雰囲気が実にブラームス的であった。特に冒頭の部分はこの後で演奏されたブラームスの第三番のソナタと大変似通っており、一瞬ブラームスがはじまったのかと思ったぐらいである。全体としていかにもドイツ風の音楽で、旋律は重たくたゆたい、和声もきわめて正統的であった。リズミックなところもあまりない。プーランクの音楽にあったような聞き手の意表を突くようなところはほとんどなかった。そして改めて思ったのは、渡辺さんという人の演奏についての柔軟性で、どんな音楽でもちゃんと聴き手を納得させるところはさすがである。これはやはり音楽に対する深い理解があってはじめてできることだろう。
そしてブラームスになった。曲のできた順序からいうともちろんこの曲が先なので、いわば全二曲のお手本になった曲である。そこで全二曲を思い出しながら、改めてブラームスの音楽の特質を見つけようという気持ちで聴いてみた。まず一つは何といってもピアノ・パートが充実していることで、主要動機がまずピアノに出てくるところもあるし、ヴァイオリンが裏にまわるところもかなりある。曲想としてはやはりブラームス独特のうねうねと曲がりくねったようなフレーズが続くところだろう。渡辺さんの解説によるとブラームスの音楽は当初フランスでは悪評だったということだが、その理由もわかるような気がした。しかし今聴いてみると(この曲がすでに耳に親しい曲になっているからということもあるが、)全曲の雰囲気がきちんと統一されており、特にフィナーレでそれがみごとに凝縮されているところはやはり名曲だと思った。この曲はやはり全楽章で音楽がどのように造られているかを聴くべきであろう。渡辺さんの苦心(工夫)もそのあたりにあったのではないかと思う。
 アンコールではブラームスのスケルツォが演奏された。アンコール・ピースにしては重い曲であったが、しっかりしたソナタの後で軽い曲を聴かされても困るので、これは正しい選択だったと思う。
 なお、この日はピアノの音がとても柔らかくそして控えめに聞こえた。ピアノの蓋が半開だったのでそのせいかとも思うが、ヴァイオリンとのバランスが絶妙であった。これはもちろん演奏者の江口さんの力量によるところも大きいと思うが、ピアノの入る室内楽の場合、ピアノと他の楽器との音量のバランスというのは常に問題になるので、この日のようにその点に十分な配慮がされていることが感じられると、とても気持ちがよい。
 さてこれで渡辺さんの三回シリーズも終わってしまったわけであるが、全体を通して感じたのは、渡辺さんという人の音楽に対する柔軟性である。どんな種類の音楽でも直ちにその本質を見抜き、きっちりと音楽を作ってしまう才能にはすっかり感心した。これはおそらく日ごろから目をいろんな方向に向けて、自分の視点が偏らないようにしておられるということから来ているのだろう。だから聴き手もすっと入ってゆけるのだと思う。来年は名フィルと協奏曲を弾く予定もあるらしいのでおおいに楽しみである。【知立市:T. S. 】
○ああ三回目も終わってしまいました。シリーズで聴いて、ブラームスの音楽の豊かさを強く感じさせてもらえた渡辺さんの企画であり演奏でした。第3番も、やはり特別の名曲でしたね。アンコールのスケルツォが20歳の作曲と聞くと、あたり前なのでしょうがあらためて大天才だったということを感じました。江口さんのピアノもなんでもこいの上手さでした。直前3時間の練習は、渡辺さんでも、ちょっときつ過ぎたかな?【緑区:K. I. 】
○特にブラームスが素晴らしいでした。また是非聴かせて頂きたいです。今度はベートーヴェン・シリーズなどいかがですか。楽しみにしています。【千種区:Y. H. 】
○渡辺玲子さん演奏素晴らしく大変感動しました。又次のコンサートもぜひ聴きたいです。【Annon】
○渡辺さんが演奏なさるので出かけて参りました。豊田コンサートホールで夫がファンになり、その後二人で小牧にも参りました。今回、3回も演奏されたのに今日の一日しか来ることが出来ず、今日はすごく楽しみにしております。とてもすてきでした。有りがとうございました。次はいつですか?
(ルンデは)演奏者とこんなに近くって嬉しい。【大府市:K. O. 】
○前半の曲は初めて聞く曲で分かりませんが後半のブラームスの曲と、アンコール曲は大変素晴らしく思いました。【中川区:S. A. 】
○ルンデへ初めて参りました。渡辺さんの息吹きまで聞こえて、大変迫力のある、また、親近感に満ちたコンサートでした。こういう小さい会場は実力のある人しかできないと痛感できた。
 特にブラームスが好きで良かったと思います。渡辺さんの次のコンサートはラロのコンチェルトに行きます。【豊田市:H. .I 】
○僕はこの秋ひとつの結論を得た、「ブラームスは死ぬまで青年だった」と。晩年の作品でも、特に1楽章の展開部ではほとばしる情熱で音楽は激しく高揚する。渡辺さんはそれを力づくで表現することは決してない。あらゆる人間感情を情感のままに表現している。ブラームスは4楽章でそれまでの叙情を振り捨てるように否定する。ここでも渡辺さんは余裕を持ってブラームスの心の内奥に立ち向かっていた。是非、岩城さん指揮の金沢とブラームスのコンチェルトやってください! 最後にブラームス御自身を勤めて下さった江口さん、御苦労様。【M. K. 】

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エヴァ・ポブウォツカ ピアノ・リサイタル “クリスタルカットされたショパン”
2004年11月25日 スタジオ・ルンデ
○今まで、いろいろ聞かせて戴きましたが今回は、最高に楽しませてくださいました。又、技術的にも、年期の入った実力者に、感動いたしました。末長く、又の機会を楽しみにしています。ぜひ再びを、待ち望んでいます。お元気で会いましょう。【Annon. 】
○何年か前にエヴァさんのリサイタルが浜松であり、とても楽しみにしていたのですが、残念ながら中止ということで聴けませんでした。今日は、念願かないとてもうれしく思っています。今までCDでしかきいたことはなかったのですが生で聴いてあらためてエヴァさんのリズム、音のはぎれの良さ、迫力を感じました。とてもすばらしかったです。【港区:K. T. 】
○ポヴウォッカさんは以前からききたかったので。愛の表現のようでした。ショパンの心がつたわってきました。【中区:K. M. 】
○とても、たのしかったです。ショパンだいすきです。【小牧市:O. S. 】
○私の知っている曲がいっぱいながれたり、今、練習している曲がながれてうれしかったです! 楽しかったです。ありがとうございました。【小牧市:斉藤美どり】
○とても、すばらしかったです。ありがとうございました。【小牧市:M. S. 】
○素晴らしい!!大満足でした。(二人分です。)【一宮市:Y. N. 】
○前から聞きたかったピアニストだったので、良かったです。(ルンデは)アットホームな感じで演奏者も気楽に演奏しやすい環境でよいと思います。【枚方市:K. S. 】
○力強く、はげしく、やさしく、そして実に美しいショパンでした。その集中力に、こちらも引き込まれました。ポブウォッカさんの手は、なにかで見た「リストの手」のようでした。
 ノクターンとバラードが回帰してくる曲の配列もとても面白かった。今月もルンデ例会とそのアンコールはすごいのが続きますが、今夜もオールショパンは日本でもルンデが唯一とのこと、本当にラッキーでした!そして、また、アンコールも、選曲、演奏ともブラボー!【緑区:K. I. 】
○ポブウォッカさんの演奏なのにポブウォッカさんの指がまるで心あるように情感たっぷりに歌い踊りすっかりクリスタルカットされたショパンに酔ってしまいました。ありがとうございました。
【広島県:N. T. 】
○このコンサートの骨組みになっていると思われる「バラード」4曲に胸がつまりました。又、聴けたらと思います。【千種区:M. Y. 】
○とても力強い演奏で驚きました。とても近くで聴かせていただいて、ピアノの横に立って弾いてもらっているような気がしました。【豊田市:K. K. 】
○全開のアンコールがクリスタルでした。【北区:H. T. 】
○最近、オペラやシンフォニーコンサートばかり聴いていたので、久しぶりのピアノ・ソロリサイタル楽しませて頂きました。プログラムの妙というべきか、ショパンの曲でもこれ迄とっつきにくいと思われて敬遠していた曲も実に魅力にあふれた曲だと再認識した次第です。アンコールのラストの迫力にはア然としました。【熱田区:D. H. 】
○プログラムが進むにつれて烈しい演奏になっていったので初めから烈しい情熱が感じられるショパンが聴きたかったです。私はショパンのバラード全4曲が大好きで何回となく繰り返してCDを聴いているので今日は生ではじめて聴くので楽しみにしてきました。一番好きなバラード1番が精彩を欠いていたのは残念です。ミスタッチも時々あり、ピアノは素人に近い私にミスタッチが分かってしまうのは問題なのではないでしょうか。とはいえこの日のプログラムはよく考えて作られており終わってみればプログラム全体でストーリーができているように感じました。だから選曲あるいは曲順はよく考えないといけない重要なことなのだと勉強になりました。でももっと烈しい方がいいなとは思いましたが、熱い演奏で聴きに来る価値はあったと思っています。幻想即興曲やスケルツォの1番などアンコールでも私の好きな曲が聴けてよかった。【天白区:H. Y. 】
○すばらしかったです。ショパン全作品のCDを出していて+ジョン・フィールドの作品も録音しているということで、あるイメージを勝手に抱いて聴きに出かけたのですが、ピタリ的中!
 バラード1番〜4番までをメインにノクターン、マズルカ、ワルツをサブに置いた格好のプログラムだったが、主観を押しつけることなくショパンのピアニズムを真摯に表していて、聴きに来てじつによかった。こんなすばらしいプログラム&演奏でお客さんが少ないのはもったいないなぁ。
 アンコールで〈ヘンレ版の幻想即興曲〉が生で初めて聴けたのが、妙に嬉しかった。【天白区:Y. K. 】
○もの静かな立ち居振舞いと、ピアノに向かっている時の存在感から、彼女の師でもあった今は亡きタチアナ・ニコライエワ女史を思い出しました。そして淡々と弾き進むショパンは、独特の魅力を持っていました。3曲のアンコールの最後は何と“スケルツォ 第1番”……。【Annon. 】

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ヴァディム・グルーズマン 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル
2004年11月21日 スタジオ・ルンデ
○数年前に東京交響楽団とのブラームスを聞いて涙したが今日も涙してしまった。
 本日しらかわホールのバースデーコンサートに行った方は、またとない演奏を聞きのがしてしまっている。【Annon.】
○レパートリー、演奏とも、驚異的なヴァイオリニストでした!バッハ、プロコフィエフ、イザイ2曲、どれも素晴らしい無伴奏でした。出だしのバッハのプレリュードからして音の響きが違いました!(よく分かりませんが、弓の使い方が、全然人と違うというか、素晴らしいのかな?)アウエルバッハの献呈曲も、天国から地獄まである感じの曲で、とても面白かった。
 終演後、初の無伴奏曲コンサートと聞き、それこそビックリぎょう天!【緑区:K. I. 】
○今日は聞くことができ、本当に良かったです。特にプロコフィエフとイザイの2番、すごかったですね。この方には又、是非、来ていただきたいものです。ルンデさんよろしくお願いします!!【Annon.】
○グルーズマンという名は全く初耳でしたが、イザイの無伴奏ソナタを聴ける機会を逃してはならないとの思いから参加させていただきました。プログラムを見た瞬間この青年ヴィルトゥオーゾもイザイを弾きたいのだ聴かせたいのだ、ということを直感しました。バッハのパルティータから強弱のコントラストを明瞭に表現――それは正しいバッハ解釈かどうかが問題ではなくイザイへの前菜として最もふさわしい表現なのだ!そしてメインのイザイはなんの外連見みもなく一気に弾ききる潔さ、感服つかまつりました。【河木 稔】
○どんな演奏家か知らずにルンデに聴きに行って、その演奏に度肝を抜かれるという経験はこれまでにも多々ありましたが、今回も超弩級のすごさでした。あれだけの難曲を、休憩も取らずに弾ききる集中力とスタミナにも圧倒されましたが、それ以上に豊かな音楽性に感動しました。イザイのソナタは、ヴァイオリニストの技巧を披露するための曲、最近流行のコンクール課題曲くらいのイメージしかなかったのですが、今日の演奏を聴いてイメージが180度変わりました。こんなに魅力的で音楽的な曲だったんですね。
 プロコフィエフ、アウエルバッハも勿論素晴らしかったです。アンコールで弓毛を外して弾いたのにもびっくりさせられましたが、あんな弾き方でも立派な音楽になって聴衆に聴かせる技量は流石だと思いました。見ている方は、Stradに傷が付いたりしないか心配してしましましたけど。【千種区:J. I. 】
○とにかくリハを聴いてドギモを抜かれました。あのスタドレルにも舌を巻きましたが、もっとスゴイ。おまけにストラドが鳴るわ鳴るわ。ヴァシリエヴァに続いて絃楽器一つのくせにオーケストラ並みの“響き”を堪能できる幸せよ。それに、プログラミングも秀逸。さらにアンコールでは、やおら弓から毛を外し始めたので「何事ならん」と見ていると、なんと楽器を挟む形(写真をご覧あれ)で弾いたのには恐れいりました。あっけに取られているとステージから戻って来て「あれはジョークさ」とケロリ。おまけに「生まれて初めての無伴奏リサイタルだったよ」とニヤリ。
 いやはや徹頭徹尾、脱帽でありました。【J】

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児玉麻里 ピアノ・リサイタル 『ベートーヴェン:ソナタ全曲演奏』 第3回
2004年11月16日 スタジオ・ルンデ
○児玉さんの例会はこれまで2回とも聴いていますが、今回はこれまでとは随分と曲の雰囲気が違うなと感じました。聴いたことのない曲が多かったせいもあるのかもしれませんが、構築的で重厚なベートーベンというよりは、モーツァルトを聴いているような軽やかな感じがしました。初期の交響曲とかも同じような感じを受けるのですが、モーツァルトの影響が残っている時期の作品なのでしょうか?特に作品番号の若い曲(Op.22、Op.26)でそう感じました。
 プログラムの構成上の都合もあると思いますが、OEKや金澤さんがやっているように番号順に作品を追っていくというのも作風の変遷が追えて面白いのかなと思いました(同じ傾向の曲がならんで聴くのが大変かもしれませんが……)。【千種区:J. I. 】
○テンポ良く、迫力のある演奏でした。また、演奏中での彼女の情報の豊かなことでも驚かされました。
(ルンデは)非常に小じんまりとして、かつ出演者と身近に接することができていいと思っております。今後共、児玉麻里のようなシリーズものの企画を期待しております。【中区:Y. T. 】
○若い頃からピアノ音楽の特別な愛好家という訳でもなかったので、ベートーヴェンのソナタも有名なもの以外はそれ程聴いていませんでしたが、今回の全集その3を聴いて、この領域も彼の『傑作の森』の一つと遅ればせながら実感しました! それ位、麻里さんの演奏は、私には画期的でした。
 プロ演奏で曲のイメージが頭の中に出来上がっていなくて弾くような人はいないと思いますが、今日の麻里さん、頭中に完璧に出来上がったものが、全身を通し、指先からほと走り出ているという風に聴けました。特別に弾き方が美しかったようにも思いますが、あるいは当方の聴覚が冴えていたのかもしれません。【緑区:K. I. 】
○NO.12で始まってNO.26で終わるこの第3回のパーツ。ダイナミックなNO.26がとても良かったのですが、NO.25の華麗さがとても気に入りました。(作品111の時は必ずまた聴きにきたいと思います。)【千種区:H. O. 】
○ピアノソナタの12番、26番大変感情が出ていて素晴らしいでした。【中川区:S. A. 】
○105点。第4回も聴きたいが、用事があるので残念です。【扶桑町:M. Y. 】
○前回とは違い洗練されていてなおかつ情熱のこもった演奏で良かったと思います。個人的にはベートーヴェンにしてもモーツァルトにしろ人生を感じさせてくれる、あるいはめくるめく想いを抱かせる演奏が好きでただ音がきれいなだけの演奏は好きではないです。しかし、今日の児玉さんの演奏は洗練されていること情熱的であることと音がきれいなことが両立していたのが印象に残りました。なかなかこれらを両立させるのは難しい。その上で人生を感じさせるとなると、もっと難しいのではないかという気がします。それをやってのける児玉さんはすごいと思うしまた聴きに行こうと思います。【天白区:H. Y. 】

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ライプツィヒ弦楽四重奏団
2004年11月14日 スタジオ・ルンデ
○音は美しいが美音が目立つ事はなく、テクニックは精確だがそれが人をうならせる訳でもない。ハーモニーも美しいが、演奏はむしろ地味な印象だ。誤解を恐れず言うなら「ライプツィヒ弦楽四重奏団の音」はきこえてこないが、曲ごとに、作曲家ごとに全くちがう音楽がきこえてくる。彼らは自らをできる限り透明な存在にして、ただ作曲家の声を伝えることに徹しているかのようだ。これは個性を出すことよりもずっと難しいことかも知れない。再来名を強く望む。【K. T. 】
○演奏者とほどよい距離で室内楽を楽しめてよい時間を持ち、幸福な気分だ。休憩時間にコーヒーをいただいたが、のどがかわいていたのでとてもよかった。年に1、2回ぐらいしか演奏会は楽しまないけれど、また楽しみたいと思っている。【安城市:H. H. 】
○迫力満点、素晴らしかった。(ルンデは)眼の前での演奏で、満足感大。【昭和区:M. H. 】
○こびを売らないのが良い。きびしいモーツァルトが聞けた。【昭和区:Y. M. 】
○室内楽を聴くのに、とてもいい広さの会場なので、とても演奏を楽しめました。【浜松市:E. O. 】
○このような室内楽ばかりの演奏会をやってる場所はめずらしいですよね。コンサートの企画に感激です。【港区:T. M. 】
○日頃、カルテットを聴くことがあまりないので、身近に聴けてよかったです。特に今日は、無性にヴァイオリンが聴きたいと思っていたので、ちょうどじっくり堪能でき、心地よくて、満足でした。カルテットの音色も、温かくて、ハーモニーも呼吸もピッタリで、お辞儀まで揃っていたので、さすがだと思いました。
(ルンデは)今回お邪魔するのは、3、4回目ですが、初めて休憩で飲み物をいただきました。他のホールでの休憩と違って、ホントにリラックスでき、後半の曲を聴いている心地もよかったです。【Y. F. 】
○モーツァルトが一番よかったです。音色がとても澄んでいて感動しました。【昭和区:N. K. 】
○初めて生でライプツィヒの音色を楽しみました!日本ツアー最後のコンサートをしっかり締めくくりたいという演奏者の熱意が伝わってくるコンサートでした。前半では2曲目のメンデルスゾーンが何とも熱かったです!まさにロマン派の音楽、という感じです。
 後半ベートーヴェンも、また熱かった!今日は第一ヴァイオリンが活躍する方のレパートリーと思いますが、次は、こうなると、全編、4弦がブツカリあい弾きまくる方のレパートリーをこの音色で聴いてみたい、とぜいたくに思ってしまいます。【緑区:K. I. 】
○ここ数年にルンデで聴いた若手カルテット(アルテミスQ、クスQ)の様な伸び盛りの勢いに溢れた演奏も大好きですが、キャリアを積んだ正統派カルテットらしい精緻なアンサンブルが楽しめました。開始直前まで(チューニングではなく)練習しているのを聞くのは初めてだと思いますが、音楽に対する情熱・熱気を感じました。演奏はもちろん3曲とも素晴らしかったのですが、特にベートーヴェンの緩徐楽章の美しさが印象に残りました。芸術劇場のコンセルトヘボーと時間が重なっていたので、どちらに行くか少し迷ったのですが、こちらを選んで正解でした。【千種区:J. I. 】

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タチャーナ・ヴァシリエヴァ 無伴奏チェロ・リサイタル
2004年11月8日 スタジオ・ルンデ
○無伴奏チェロの超ド級プログラムでした。そして聴き終われば、まさにストラディを弾くにふさわしい人、と分かりました。ホールでの試奏なしで本番に入ったとのことですが、彼女なら、バッハ第3番の「指慣らし」のプレリュードで、ホールに合わせられるということだったのでしょう。実際そうでした。名曲を易々と弾き切りました。
 チェロのぶれないことは、かつてここで弾いたナヴァロさんと同じでした。カサド、コダーイ、共に素晴らしい演奏でした! 生演奏でこれだけの演奏に接したのは久しぶりです。ピッチカート、むずかしい重音、ハイポジションの演奏も美しかった!(CDで他の無伴奏現代曲を聴くのが楽しみです。)【緑区:K. I. 】
○ともかくすごい、いい音ではじまった。バッハもいいけど、カサドははじめてきいたが、音のつくりが全くちがっておもしろい。しかしぜいたく。お客さん少ないな。コダイ、豪放で細心、よくひびく。録音には入りきらない。いい宝石を発見した気分です。【小坂井町:H. I. 】
○無伴奏のチェロを聴くのは昨年のゲリンガスさん以来(藤原真理さんは聴き逃したので……)です。ピアノとのデュオなどにもそれぞれの楽しみがありますが、1つの楽器・奏者の音色だけに浸れる弦楽器のソロが一番好きです。
 ヴァシリエヴァさんの使っている楽器はストラディヴァリウスとのことですが、やはり楽器の差というのは大きいんだなと、バッハを聴いた時に実感しました。弱音でも豊かな響きで、出てくる音の圧力のようなものに圧倒されました。軽々と弾きこなしていたバッハも魅力的でしたが、何と言ってもコダーイのソナタが今日の目玉だったのではないでしょうか。【千種区:J. I. 】
○ルンデにやって来て、ステージ上の椅子の具合を見ただけで、結局全くリハをすることなく本番に(これ、ラサール・クヮルテットの最初の来演の時がそうだったっけ……)。記録写真が撮れないとボヤいたら「アトで」とニッコリ。サイン会と記念写真が全部終わってから、もう一度ステージに戻って存分に撮らせてくれました。
 それにしても「スゴイ」チェリストです。かつてナターリャ・グートマンがキャンセルになってがっかりしたことがありましたが、いまヴァシリエヴァで充分にその埋め合わせが出来た感じ。11月のルンデの実りを予期させる素晴らしい例会でした。【J】

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渡辺玲子 「ブラームスとその系譜」全3回の2
2004年10月31日 スタジオ・ルンデ
○迫力がすごかったです。それ以外の部分も感じることができるともっとよかったと思いましたが、これは、私の問題だと思います……。
ルンデはとても好きなホールです。音がひびいてとってもきれいにきこえる。【天白区:M. N. 】
○青学OBコンサートのゲストにでられた時から(この時のアンコールが忘れられません)ヴァイオリンが好きになり他の人のでは駄目なようです。新聞とネットで調べてやっと近くできけてうれしいです。
ルンデはきつねにつままれた感じのホールでびっくり。また来たい。【豊橋市:M. S. 】
○音色がとても素敵でした。機会があればまた是非聞きたいと思います。ブラームスとその周辺の関連がおもしろかったです。【中村区:T. K. 】
○前半の曲は初めて聞く曲ですが静かな曲でした。後半はよく聞くハンガリー舞曲集とブラームスのソナタは心がうきうきする曲であっという間でした。大変素晴らしい曲でした。ありがとうございました。【中川区:S. A. 】
○第2回目も、中身の濃い、充実した「ブラームスの系譜」でした。前半は、あまり聴かない曲、思いもよらぬ作曲家の曲が出てきましたが、面白かったです。とても良い解説がつけられていましたし、話しもしてもらえました。音楽の構成的な面まで聴いて理解できたとは思えませんが、この「系譜」の「ゆたかさ」というものを感じました。
 後半は大好きな名曲を堪能しました。アンコールも、とてもうまい曲が選ばれました。それにしても、むずかしい曲も、さらりと弾かれます! また、渡辺さんの、音楽家としてのアイディアにすごく感心しました。第3回目がまた楽しみです。【緑区:K. I. 】
○渡辺玲子さんのブラームス・シリーズ第2回目である。今回は渡辺さんご自身の手による解説(説明)がプログラムの見開き2ページに掲載されていたが、とてもいい解説で、要点を落とさず、しかも書くべきことはちゃんと書かれていて、渡辺さんの意図や、この日演奏される曲目の意味合いなどが実によくわかった。ルンデでこういった解説がプログラムに掲載されるのは珍しいが、今後も可能ならやってほしい。
 プログラム前半の3曲はいずれも自分にとってはじめて聴く曲であったが、ツェムリンスキーの曲はときどきバロック風の雰囲気があったりして、とても聴きやすい曲だった。シェーンベルクのファンタジーは、十二の音による「セリー」がまず提示され、それがさまざまに変奏されるという、十二音音楽の決まりに従って作曲されているらしいが、一度聴いたぐらいではそれを聴き取ることは難しい。しかし全体的にかなり激しいフレーズが続き、渡辺さんの解説によると豊かな情感があるということだったが、自分にはむしろ激しい情熱のようなものが聴こえてきた。ただそれにしても大変な難曲で、自分の技術によほど自信がないとこんな曲を演奏しようという決心はつかないと思う。この曲はまたピアノがとても大変そうで、江口さんの力量も充分に見せてもらった。バルトークの曲はもちろん調整のある音楽ではあるが、雰囲気的にはシェーンベルクの曲とよく似ており、これまた激しい情熱がほとばしるような音楽であった。
 休憩後はいよいよブラームスになって、最初にハンガリー舞曲集から3曲。ヴァイオリン編曲版を聴くのは初めてだったが、耳に親しい音楽ばかりなので、前半に比べると、聴く方もややリラックスできた。シェーンベルクやバルトークに比べるとかなりクラシックな響きの音楽であるが、よく聴いてみると、たしかにハンガリー音楽の響きがそこかしこに聞こえてきて、元は一緒なんだなあと思えた。最後のイ長調のソナタは、ブラームスの3曲のヴァイオリン・ソナタの中ではもっともおだやかで平和な雰囲気の曲であり、ハンガリー的なにぎやかさが優先するという曲ではないが、よく聴いてみると第3楽章などにはそれらしき雰囲気もあり、やはりどこかではつながっているのであった。
 アンコールには渡辺さんの好きだというブラームスの歌曲から2曲。いずれもヴァイオリン・ソナタの中に旋律が出てくるものであったが、これはまた実に美しい音色でしっとりとした音楽が流れ、この日の締めくくりとしてまことにふさわしいものであった。
 渡辺玲子さんというヴァイオリニストに親しく接したのは今回のシリーズが初めてだといっていいが、テクニックは超一流でありながら決してそれにおぼれることなく、十分な節度を持って音楽の流れをみごとにコントロールしておられるのに感心した。音楽の作り方に無理がなく、何を演奏されても実に自然に聞こえてくる。バリバリ弾くべきところは胸のすくように演奏されるし、しっとりとしたところは限りなく叙情的である。それに、音色がとても美しく、どうすればあんなにきれいな音が出るのだろうと思って溜息が出た。江口さんのピアノも、もちろん文句のつけようがなかった。第3回が楽しみである。【知立市:T. S. 】
○渡辺さんはソナタになると顔が変わるのです。ブラームスは楽器編成がなんであれ、ちゃんとしたソナタ形式の曲を創るときは厳しい気構えを持って取り組んだと伝えられていますよね、渡辺さんはそれを表現できなければ今回こうしたプログラムを組んだ意味がない、とお考えのような気がします。楽譜の奥に透けて見える初老ヨハネスの心情が浮かび上がってきたような名演でした。【中村区:M. K. 】
○1回目参加出来なかったのが残念です。休憩後の後半がとても良かったです。低音部の抒情的な優しい響きがとても印象的でした。語りが入ったことで雰囲気が柔らかくなった。又プログラムの中の説明がとても判り易かったです。ピアノの江口さんも感動的でした。3回目を楽しみにしております。【S. .Y 】
○シャープな響きの渡辺さんのヴァイオリンは、どの曲も冴えていて良かったです。取り組まれている内容もとても興味深く、次回も楽しみです。このような取組みはきっと新たな発見がいっぱいで、譜面の深読みをされている時、さぞ楽しいだろうなと思います。【北区:K. A. 】

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エリック・シューマン ヴァイオリン・リサイタル ※ルンデあしながクラブ推薦コンサート
2004年10月28日 スタジオ・ルンデ
○若々しく素晴らしいお二人の演奏でした! 安心して音楽に没頭させてくれる二人です。
 シューマンさん、とてもこれがソナタ・デビューとは思えない出来でした。前半2曲、技術ももちろん安定していますし、楽章の性格差も見事に出していました。後半とアンコール(5曲!)は、まさにエンジン全開、すごかったです。音楽界の室伏選手のような顔のシューマンさん、ドヴォルザークを弾かせたらこんなに美しく弾く人はいない、というくらいでした!
 巨漢ピアニスト、シーグフリードソンさんのピアノもすごかった。【緑区:K. I. 】
○プログラム曲もアンコール曲も、このお二人の魔法にかかって、まったくパワフルな演奏となりました。フォーレの曲などはもう少し優雅に演奏した方がよいのではないかと思いましたが、お若いお二人のこと、これからが楽しみです。益々のご活躍を期待いたしています。沢山のアンコール曲をありがとうございました。【緑区:Y. S. 】
○伸びやかで力強く躍動する美しい音色に引きこまれたリサイタルでした。つらくて淋しいどうしたら解決できるのか糸口さえ見えないような出来事が起こる中で、心なえていましたが、このリサイタルで元気をいただきました。ありがとうございました。
 ルンデはやっぱり素敵です。奏者の方と一体になれて聴けるホールです。【広島県:N. T. 】
○仲のよい兄弟のような素晴らしい演奏に心打たれました。ヴァイオリンの弦もピアノの弦も切れてしまいそうな鈴木さんの心情が伝わりハラハラ・ドキドキ、でも最後はしっとり(アンコール)納めて……。ありがとうございました。これからも楽しみに期待しています。【Annony.】
○アンコールの連曲がよかった。なかなかこんな事はないと思うのでラッキーだった。演奏者の気がすごく伝わってきた。【武豊町:H.T. 】
○今日は、素晴らしいコンサートをありがとうございました。武豊から1時間かけてやってきました。2時間30分もの間とても楽しい時間をすごさせて頂きました。感激で胸が一杯です。最後の曲は私の大好きな曲です。生で聞くことができて嬉しかったです。【武豊町:I. T. 】
○勢いも気品もあって、聴いていてとても気持ち良かったです。【天白区:C. I. 】
○ピュアな笑顔が可愛くて、人を幸せにする天性があって、顔が弛みっぱなしでした。フォーレの第1番良かったですねぇ。この一曲だけでも私は充分満足。冴えない私のコンディションがグングン回復してくる感じで、「音楽は我が活力源」を実感しました。ピアノのジーグフリードソンさんは、ダイナミックなのにロマンテックな表現も得手とされていて、彼の共演で聴けたのは今日の大収穫でした。
 聴いた幸福度を全然表現しきれませんが、楽しくて楽しくて、思い出すだけでまた顔が弛みます。【北区:K. A. 】
○当日電話予約をした際、いつもは物静かな“ルンデのおやじ”さんが「本当に凄いから是非聴いてみて……」と高めのテンションで仰ったのを聞き、相当凄いリハーサルだったんだろうなと期待しながら会場に駆けつけました。勿論、その期待は裏切られるはずもなく、ベートーヴェンの出だしの1音を聞いただけで、これはとんでもないヴァイオリニストだという感を持ちました。技巧だけが前面に出がちな日本の若手演奏家とは異なり、歌わせ方が素晴らしいのに先ず感動したのですが、それ以上に理知的なアプローチに感心さられました。
 プロコフィエフなど、過去に何度か聴いたはずの曲でも、曲の構造とかフレーズの取り方に色々と新しい発見がありました。私のような素人が聴いてこれだけ発見があるのですから、ご本人は相当譜面を読み込んで研究されてるんでしょうね。主催者・聴衆・演奏者が乗りに乗ったおかげで、アンコールが5曲も聴けて最後まで楽しめました。ソナタだけでなく、アンコールの小品も素晴らしかったです。シーグフリードソンのピアノも素敵でした。特にフォーレの第1楽章が忘れられません。【千種区:J. .I 】

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渡辺玲子 「ブラームスとその系譜」全3回の1
2004年10月11日 スタジオ・ルンデ
○ブラームスを全曲に一度にやらずに、一曲一曲他の作曲家と併せるというのはなかなかおもしろい試みですね。もちろん演奏は張りのある立派なものです。【東大阪市:N. K. 】
○F・A・Eのソナタは初めて聞きました。大変素晴らしい演奏でした。ブゾーニの三つのロマンスはワルツの曲で思わず踊りたくなる曲で素晴らしかった。【中川区:S. A. 】
○素晴らしいコンサートでした! ヴァイオリニストも、伴奏のピアニスト江口さんも、とても良かったです。初めての曲がありましたが、十分にその美しさが味わえました。3人の合作のソナタのシューマン部がとても好きになりました。あと2回も楽しみなプログラミングです。渡辺さんは若いヴァイオリニストとしてルンデ登場以来2回目とのことですが、すでに「巨匠」的な演奏と思いました。【緑区:K. I. 】
○大変いいコンサート。関連した曲によるプログラミングもユニークです。【千種区:N. K. 】
○これくらいのホールだと間近に見られ息づかいも感じられてとても良かったです。企画がとてもいいと思いました。こういう企画をこれからもお願いしたいです。「F・A・Eソナタ」を初めて聴きましたが、作曲者それぞれの個性が感じられてとても興味深く聴きました。渡辺さんの力強い、そして繊細なボウイングがとても印象的でした。【中村区:K. K. 】
○十分にヴァイオリンの音色とボリュームを味わいました。ピアノとのバランスもとても良く大変よかった。ヴァイオリンは全体におちついた低い(印象のある)音色でした。【千種区:K. H. 】
○この演奏会では、いみじくも鈴木さんが最初に言ったように、かなり重量級のプログラムが組まれていた。何しろソナタが3曲。しかもそれぞれがかなり内容の豊富なものである。ソナタでないのはシューマンの「三つのロマンス」だけだが、これも3曲から成っているので、「準」ソナタのようなもの。しかもこの演奏会の趣旨からして、すべてドイツ・ロマン派およびそれに類する作曲家の作品なので、かなり重たかった。ただし、それこそがまさに渡辺さんの心意気というものであろう。これだけ重たい曲を並べて、しかも聴衆の緊張感を途切れさせないようにするというのはなかなか難しいことで、それをあえてやろうという意気込みは立派なものである。結果的にも渡辺さんのその意気込みは十分に伝わってきた。ナマの演奏会というのは所詮は演奏家の意気込みを聴くことに意味があるのだから、こういうプログラムも意味があるというべきだろう。
 ただし、正直に言うと、やはり同じような曲ばかりを立て続けに聴かされたので、最初から最後まで同じ緊張感を保って聴くためには多少の努力が必要であった。それに、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ以外は(FAEソナタのスケルツォは別にして)どれもはじめて聴く曲なので、どういうところに焦点を当てて聴けばいいのかがちょっとわからず、戸惑っているうちに曲が終わってしまったような感じもした。FAEソナタとブゾーニのソナタの間に渡辺さんのトークがあったが、この演奏会の趣旨のようなものを話されただけで、この日の曲をどういう視点で選んだのか、プラームスとこの日取り上げたそれ以外の作曲家とは当時どのように関わっていたのかといった点については言及がなかったので、ちょっと物足りなかった。次回からは、そういった点について少し話してほしいと思う。
 さてそれはそれとして、渡辺さんの演奏であるが、実に嫌味のない伸びやかな演奏で、実に気持ちがよかった。楽器の音色も硬すぎず柔らかすぎず、耳に優しかった。一言でいうと次から次へと楽器から音楽が紡ぎだされてくる感じで、どんなフレーズも実に自然に音楽になっている。それに、演奏しておられる姿が実にゆとり十分で、どんなパッセージでも何の苦もなく演奏されるので、ヴァイオリンを弾くってこんなに簡単なものだったのかと思うぐらいであった。たしかにこの日の四曲には、超絶技巧の必要なものはなかったが、それでも技術的にずいぶん難しいところはあったはずである。それを実に何でもなくさらりと弾いてしまうのはよほど技術に自信がないとできることではない。なるほど、技術的な裏づけがあるというのはこういうことなんだと思った。
 音楽的な表現についても、自己流の「味付け」はほとんどなく、テンポの設定も自然だし、ルバートもかなり控えめで、曲そのものの持っている魅力をなるべくそのまま表現しようとされているようであった。自分は音楽をあまり自己流に修飾するのは好きではないので、この姿勢には共感を覚えた。
 ピアノの江口氏は、以前、竹沢恭子さんのリサイタルのときに聴いて、うまい人だなあと思ったのだったが、この日も、自分の出るべきところ引っ込むべきところをよく承知した演奏で、実に上手にヴァイオリンの引き立て役を演じていた。こういうピアニストは伴奏者として引っ張りだこになるのではないかと思う。ただ、これだけうまいピアノを聴くと、一度彼のソロ・リサイタルを聴きたくなった。ルンデにはその計画はないのだろうか?【知立市:T. S. 】
○このコンサートはインターネットで渡辺さんのことを検索していて見つけました。ヤマハのプレーガイドでチケットを購入しようとして見つからず、直接問い合わせました。狭いホールで少人数での演奏会を期待していたので満足です。
 前半の2曲は初めて聴きました。後のブゾーニの曲は特に気に入りました。ピチカートやトレモロもはっきりと聴き取れて久々に演奏を堪能できました。【中区:T. K. 】
○まったりした午後でした。めずらしい「F.A.Eのソナタ」の全曲演奏につづいてブゾーニのソナタが聴けて最高でした。江口さんのピアノは温もりの中に輝きがあって、この曲の最後の神々しい響きはちょっと忘れられません。……後半になってぼう〜っとステージ全体を見渡すような恰好で聴いていましたが、ピアノっていうのは指が鍵盤を押し下げる。そうするとそのタッチの重たさ、気持ちがハンマーを伝って弦が振動し、1本の弦の振動がそのまた倍音上の弦の振動を促し、それらすべての波動があの響板をつたって聴衆に思いを投げかける。そんな当たり前のことをしみじみと感じながら、ふと手前を見るとバイオリンの弓使い。ボウイングとピアノの打鍵の動きはほぼ等しい。そして和声をつかさどるピアノの左に対し、弦楽器の左手は音程を決定する軸となる。あのちいさなヴァイオリンに対してフルコンサイズのピアノ。……あのピアノのなが〜い弦の向こう側まで意志をかたむける、って……う〜ん、ピアノって格好いいなぁ、なんて今さらながら思っていました。ピアノ派から見ると、和声を司れない、というか司らない楽器というのは時に安気に感じたり、逆に大変だろうな、と感じたりしますが、渡辺さんのバイオリンはピアノの楽譜まで知り尽くしている、という誠実さ、安定感と重厚感があり、素敵でした。ありがとうございました。【天白区:Y. .K 】
○一切の装飾ナシ直線的にバリバリ弾き捲る渡辺さんに圧倒されッ放しで(^o^)、ブラームスの3曲のソナタはどれもプログラムの最後を飾るのにふさわしい大曲だ、とのお考えからこうした企画をやられたのでは?【中村区:M. .K 】

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オーケストラ・アンサンブル金沢 第21回名古屋定演
2004年9月24日 愛知県芸術劇場コンサートホール
○海外のオケはいつまでたってもベートーヴェン、ブラームスで正直食傷気味の中でOEKは現代曲を積極的に取り上げてくれるのがうれしい。今日の曲は一回聞いただけでは理解したとは言えないがもう一回聞きたいと思わせる。【昭和区:K. S. 】
○いつも曲目、ソリスト、演奏どれもとても気に入っていてすばらしいと思います。いつも楽しませて頂きありがとうございます。 【瑞穂区:K. N. 】
○今夜は又、ヴァイオリン 激しい繊細な音色、ピアノの強い響きを聞くことができました。金曜日のすばらしい夜をもつことができ大変よかったです。毎回出席でき益々貴金沢のご発展を祈ります。【Annon. 】
○アウエルバッハの二つの曲、新鮮で聞きほれました。【Annon. 】
○ヴァイオリンの諏訪内晶子さん、ピアノのレーラ・アウエルバッハさんの名演奏を視聴でき感動致しました。オーケストラ・アンサンブル金沢のいよいよのご発展を祈ります。【緑区:Y. S. 】
○ストラディバリウスの音色に驚きました。管楽器の皆さんもとても素晴らしい。【熱田区:T. K. 】
○心に響く音で感動しました。どうもありがとうございました。楽器の並びが変わっているのが興味深かった。【東区:Y. K. 】
○初めてのクラシックコンサートで感激しました。今後も足を運びたいと思います。【瑞穂市:K. T. 】
○開演直前のどしゃぶりでひどい目に会いましたが素晴らしい演奏でそれも帳消しになりました。OEKの素晴らしいアンサンブル、諏訪内さんの美しいヴァイオリン、そして、アウエルバッハさんの未知の曲、いい体験でした。【熱田区:D. H. 】
○すばらしい演奏でした。ホンモノはスゴイと実感。【T. H. 】
○Very Good! & Happy!【浜松市:K. T. 】
○年をとるごとに諏訪内の音には一層の妖艶さが増して、まるで音に吸いこまれてブラックホールに連れていかれそうな雰囲気でした。
 そしてアウエルバッハ。宇宙を遊泳するかの開放感 〜 冷たい現代社会の哀しさ 〜 そしてそこに存在する人間の小ささと孤独感。その全てを作曲者自らはもとより、諏訪内、アンサンブル金沢が完璧に表現していたと思います。
 正に私が今、音楽に求めるものの全てがそこにありました。ありがとうございました。【千種区:H. O. 】
○アウエルバッハさんのダイナミックなピアノと諏訪内さんの繊細なヴァイオリンがみごとにマッチして絶妙なハーモニーでした。すばらしい演奏をありがとうございました。ストラディバリウスの音色は世界一ですばらしい。諏訪内さんのヴァイオリンの技巧を引きたてています。【千種区:Y. W. 】
○10年ほど前から毎年聴きに来ています。諏訪内晶子さんはチャイコフスキーコンクールをビデオで拝見して以来のファンです。前回は豊田市でのボリス・ベレゾフスキーとの共演でした。今回はロンドとカプリチオーソが一番心に響きました。でも全てが最高でした。【豊橋市:K. M. 】
○マエストロ・イワキの小学生の時からのファンです。名古屋に用事があって東京から来たら、その日の夜に偶然このコンサートがあるのを知り聴きに来ました。病気から回復後のマエストロの精力的な活動すごいです。これからも健康に気をつけてがんばってください。【東京都:H. S. 】
○アウエルバッハさんの曲はよく解りません。人間が古いので現代音楽はなじめないのです。諏訪内さんは大好きですばらしいのですが、後半の曲はいまいちで、どちらかといえば外にでたいくらいでした。クラシックの演奏会は途中で出られないので、こういう時は困りますね。今から序々に年代が経行くと現代音楽が増えてくると思うので、年配の者はプログラムを選んで出かけなければならなくなるでしょう。【昭和区:H. K. 】
○この演奏会は「ぴあ」で知りました。今回、岩城さんと諏訪内さんがリーズナブルなチケットで聴け、大変楽しみにしていました。諏訪内さんのなめらかで且つ表情豊かな演奏には大感激でしたが、アウエルバッハさんの映像の出てきそうな楽曲をみごとに弾きこなした諏訪内さんも聴けて大変満足でした。【名東区:U. K. 】

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パシフィカ・クァルテット
2004年9月16日 スタジオ・ルンデ
○残暑を逃して、今夜は至福の時を過ごしました。メンデルスゾーン、スメタナが、こんなに素晴らしい曲だったのかと再認識致しました。初めてエリオット・カーターを聴きました。斬新な弾き方に魅了されました。ピアソラの“タンゴ”は見事の一言。シューマンは引き込まれる様な美しさでした。本当に良いコンサートでした。感謝!【西区:K. S. 】
○クラッシックは過去のものではなく、今の音楽なのだと実感しました。それは何にでも通じその時の目で視聴感じるものであると……。私的に仕事へこのコンサートが大きな影響を与えることは間違いないように思います。又、これからも時間を創り足を運びたいです。
 ルンデは不思議なときのある空間です。【葉栗郡:T. B. 】
○当初はエリオット・カーターの曲だけが目的でした。しかしメンデルスゾーンから最後のアンコールまで期待以上にとても良かったです。特に第1ヴァイオリンを中心とした若々しく朗々とした響に感銘を受けました。また今度は日曜日に呼んで下さい。最後に、仕事をさぼってまで来たかいがありました。【岐阜市:S. Y. 】
○「美しい、厚みのある響き」と「集中力」、そして「緊密なアンサンブル!」、古典曲では「弦楽四重奏団」に要求される要件を全て満たすと共に、カーターの現代曲で見せる抜群の技量と音楽性!素晴らしい若手カルテットでした! カーターがブーランジェの弟子なら、同じ弟子のピアソラの曲は?と心の中で思ったら、アンコールは望んでいた“Tango for Four”。サービスも満点でした。初めての登場なのにルンデの残響も、よく生かしていました。(それにしてもアルテミスQといい、今日のパシフィカQといい、超満員で聴いてあげたい!!!)。【緑区:K. I. 】
○“米国のメジャーコンクール制覇”、“カーター全曲演奏”という記事が音楽雑誌に掲載されているのを見て、若さと技巧で弾きまくる現代曲に特化した団体なのでは?と思っていたのですが、その想像は1曲目のメンデルスゾーンで早くも(いい意味で)打ち破られました。バリバリ弾くだけの若手奏者とは違って、ここぞという所の歌わせ方が最高だと思いました(特にスメタナの第3楽章)。
 カーターも想像していたよりは聴きやすく、面白い曲だと思いましたが、全曲演奏となると弾く方はもちろん、聴く方も大変そう……開演前に聴衆は量より質という話しがありましたが、奏者にも会場の雰囲気は十分伝わったのではないでしょうか。【千種区:J. I. 】
○最初の1音からすごい。驚くべき心のまとまった緊密な音の塊による開始。かつてはメンデルスゾーンのSQはラサールぐらいのものでした。チェロ奏者、35年前、東京文化会館小ホール、厳本真理SQの黒沼俊夫さんを思い浮かべました。下支えも完璧。カーターは面白い曲です。スメタナは、しゃべる、ささやく、わめく、申し立てる、まるで作者がそこに来て語りかけているようだ。
 アンコールのピアソラ、シューマン、心が本当に通じ合った、実にできのよいビターチョコレートの練れ具合。うまい。【小坂井町:H. I. 】
○この演奏会については席を予約したのがかなりぎりぎりだったにもかかわらず、いい席がまだずいぶん空いているようだったので、お客が少ないのかなあと思っていたらそのとおりで、空席が目立った。しかし、結論を先にいってしまうと、実に感動的な演奏で、こんなすばらしい演奏をどうしてみんな聴きに来ないのかなあと残念だった。
 最初に演奏されたのはメンデルスゾーンの作品13の弦楽四重奏曲。あまり演奏されない曲なので、事前に楽譜を見ながらCDを二回聴いてから出かけた。メンデルスゾーンらしい快活な動きに満ちた気持ちのよい曲で、この四人はまさにその気分を十二分に出して爽快に弾ききった。ある意味ではこの団体の特徴がよく見える曲で、これを最初に持ってきた意味が分かるような気がした。ただし、力と若さに任せて弾きまくるというのではなく、しっとりと弾くべきところはちゃんとそのように弾いた。
 次はカーターの弦楽四重奏曲第二番。この団体が得意としている曲だということであった(歌でいえば「持ち歌」というところだろう)。楽章と楽章の間にそれぞれの楽器が交代でカデンツァを弾くという形になっているようだった。曲そのものはまさに現代音楽で、調性があるのかないのかよくわからなかったし、突然のスフォルツァンドのようなものも随所にあり、ピチカートとアルコの頻繁な交代やそのほか各種の奏法が入り乱れた。解説によると、この作品は四つの楽器が、師弟、友人、敵対といった関係で劇を演じるということで、あまり「馴れ合い」にならないように、四人はできるだけ離れて座ることになっているらしい。そう思いながら聴くと、たしかに互いに仲良くなったり喧嘩をしたりしているようであった。しかしいずれにしても演奏が大変に難しそうで、休憩時間にこっそり楽譜を見せてもらったら、たしかにおそろしげな音符が書き連ねてあった。しかもパート譜でありながら2段になっているので、どういうことかなあと思ったら、要所要所に他のパートが書き込んであるのだった。たしかにこうでもしないとあんな複雑怪奇な音楽は演奏できないだろう。聴くほうとしては、一回聴いただけではこの曲の目指しているところはとても理解できず、ましてや演奏がどうのこうのということはできないが、現代に生きる我々としてはときにはこういう曲を聴いて頭の中身を掃除する必要があるのかもしれない。
 休憩の後の「わが生涯から」は、言うまでもなく冒頭にヴィオラが奏するモチーフが全曲のトーンを決める曲である。演奏するほうもそれは十二分にわかっているわけで、ヴィオラのバーロスタード氏はまことに印象的に演奏した。この曲は楽章ごとにかなり雰囲気が違い、激しいところも叙情的なところもあるし、舞曲もあるといった具合だが、演奏はどの楽章もむらなくよく弾けていた。ただしいていえば第一楽章と第四楽章でこの団体の持っている能力がいちばん発揮されていたようである。力が余ってちょっと勇み足があったりしたが、これはライブの場合、むしろ臨場感があって悪くない。
 アンコールは最初にピアソラのタンゴ。もちろん編曲版であるが、ずいぶんと面白い編曲で、駒の向こう側を弾いたり、駒の上で奇妙な音を出したり、グリッサンドがやたらに出てきたりした。既成の概念にとらわれず、音楽を自由自在にもてあそんでいる感じでとても楽しかった。
 そしてアンコールのもう一曲はシューマンの弦楽四重奏曲の中から緩徐楽章の一つが演奏され、しっとりと終わった。
 終演は9時15分。いつもだと帰りの電車の時間が気になるところだが、この日はすっかり演奏に魅せられ、どれだけ遅くなってもこの連中に付き合おうという気になったのであった。結局ずいぶん帰りが遅くなってしまったが、それに十分値する夜であった。【知立市:T. S. 】
○じんじんと手が熱くなる程拍手をしました。打てば響くのは奏者相互だけでなく、聴衆も然り。今日の聴衆の一人でいられて、本当に幸せです。
 一曲目のメンデルスゾーン第二番の冒頭を聴いた瞬間、このSQの音の厚みや広がり、集中力の高さに釘付けになりました。この曲は、メンデルスゾーン18歳の時の作品だそうですが、優美さ、烈しさ、昂揚といった曲の魅力を、パシフィカQは余すところなく表現してくれました。隙のない圧倒される演奏とは違って、アンサンブルの妙を存分に引き出す事のできるSQで、私はこういう演奏を聴きたかった。
 よく歌う1st Vnのガナートラさん。表現力がとても豊かで美しく、気に入りました。チェロも秀でていたけれど、カルテットのバランスを決して乱さないところはさすがです。今日のような優れたSQの演奏を聴けば、誰しもこの編成の虜になってしまうのではないかと思うのに、こんなに少数のお客さんでとても残念です。
 カーターの第二番は「ガリガリの現代音楽」という評を目にしたことがあり、それなりの覚悟(?)をしてきましたが、想像していたものと随分違いました。それぞれがバラバラなことをしているようでもあり、計算された受け渡しをしているようでもあり、丁度筋の見えてこない物語の頁を興味津々で捲るような感じで面白かったです。
 アンコールのピアソラのタンゴは、別のSQの演奏会で元気漲るのを聴いたばかりですが、パシフィカQの演奏スタイルは洗練された大人のタンゴといった感じでした。同じ曲でもこんなに違う味が出せるものなんだなと改めて感じました。
 今日は優れた音楽を全身に浴びて幸せ。有り難いです。【北区:K. A. 】

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野原みどり ピアノ・リサイタル 「ラヴェル全曲演奏 その2」
2004年9月5日 スタジオ・ルンデ
○野原みどりさんの演奏を久し振りで拝聴しました。以前は小さな身体で力強くひいておられ感心しましたが、ラヴェルの曲などはせん細に美しく演奏されていて大変興味深く聴くことが出来ました。今後も是非この方面の作曲家の曲を演奏してください。
 全日本コンクールの時よりますます円じゅくされて来ており、今後の演奏をますます期待しています。2年に一回位は名古屋で演奏して下さい。今日は楽しく聞かせて戴きました。ありがとうございます。【尾張旭市:S. T. 】
○水の戯れ、水の精、スカルボ、そしてアンコールの「ラ・ヴァルス」が強く印象に残りました。特に「スカルボ」、絶妙なペダリングによる音色の変化の妙は言葉で言い表せない程感銘を受けました。この微妙な音の陰影は、このルンデのホールでなければ体感できないのでは?とも思えました。良い演奏でした。【熱田区:D. H. 】
○逝ける王女のためのパヴァーヌ:久しぶりにピアノ原版で聴きましたが、良かったです。
 水の戯れ:ピアノでしか表現できない世界ですよね。野原さんの素晴らしい演奏で聴けて幸せです。
 後半の2曲とアンコール、本当に表現が素晴らしいと思いました。前回と合わせ、『ライブで見て聴くと楽しい』ラヴェルの曲が、充実した野原さんのピアノで短い期間にまとめて聴けて、本当に幸せでした!【緑区:K. I. 】
○私がクラシック音楽を聴き始めたのは中学生のときだったが、遅くともそれから数年後には、「ラヴェルやドビュッシーは私の好みにあわない」と感じていた。多分かなり早くから、意識的、無意識的にラヴェルを聴くのを避けてきたのだと思う。そのためか、あるころから「ひょっとしたら食わず嫌いなのかも」という疑念を、心の片隅に持つようになった。そして最近、そのことを「一度はっきりと確認しよう」という気持ちが高まってきていた。ちょうどそのとき、今回のラヴェル連続演奏会に運よく巡り会ったのである。「運よく」というのは、ルンデでの彼女の前回の演奏会(リスト)の印象が大変良かったからだ。彼女の演奏なら「事の真相」を明らかにしてくれるだろうと思い、ちゅうちょなく私は二つの演奏会を予約した。そして、その期待は叶えられたのである。
 私はラヴェルをほとんど聴いたことがないので、他の人と比べて彼女の演奏がどうであるとかは言えないし、十分理解していない曲の演奏を批評するなどという大それたことをする気はまったくない。とにかく「素敵な演奏だと感じた。」それだけが私に言える唯一のことです。そのうえ、その容姿の美しさといい、虚飾のない端正な動きといい、独特な気品をただよわせて、彼女こそは見て最も美しい演奏家の一人であると思わずにはいられなかった。しかし、それにもかかわらず、今回の演奏会をつうじて、「やはりラヴェルは私の好みにあわない」と確信した。【四日市市:K. K. 】
○8月に引き続いての演奏会である。前回と同じくCDでだいぶ「予習」をしていった。2回の演奏会でラヴェルのピアノ曲の全体像が何となくわかったような気がする。自分は画家の一生展が好きだが、やはりある芸術家の作品を正しく理解するには、数々の作品ができあがってきた道筋をたどる必要があるのだと思う。
 時間になって野原さんが登場、今回は髪をアップにしておられたせいかちょっと大人びた雰囲気である。そして「逝ける王女のためのパヴァーヌ」が始まった。ただし、実はこの曲のピアノ版にはどうも違和感がある。というのは管弦楽版があまりにもよくできているからである。ただ、この日の最初の音を聴いたとき、「ああこういう風に弾いてもらえれば違和感がないのだな」と思った。どこがどうと具体的には言えないのだが、全体の雰囲気が何となく具合がよかった。
 次の「水の戯れ」はいうまでもなくラヴェルがピアノ音楽に新天地を開いた曲であるとともに古今のピアノ曲の中で傑出した存在である。ほとんどの部分は目もくらむような分散和音でできており、黒鍵だけのグリッサンドがあったり、二度の連続があったり、技巧的にもまことに多彩である。ただこの日聴いていて感じたのは、曲自体の作りは意外と単純だということで、後の作品に見られるような変幻自在なところはまだ見られない。「新天地」への入口なのだろう。野原さんの演奏はあまり変な細工をせず、曲の持っている自然な味わいをそのままに生かした演奏で、夢を見ているような気分でいるうちに終わってしまった。
 「高雅にして感傷的なワルツ」の前に野原さんのトークがあった。自分は名古屋に関しては雨女らしいといったようなことから始まって、次に弾くこの曲についての「お話」が紹介された。優しく親しみやすい話し振りでとても感じがよかった。なお、この曲はラヴェルのこの種類の音楽のうちの「作りの簡単なもの」に属すると思われるが、演奏も取ってつけたようなところがなく、気持ちよく聴けた。
 休憩の後の最初は「夜のガスパール」で、これはまさにラヴェルのピアノ音楽の集大成といっていいと思う。オンディーヌの冒頭からして「これぞラヴェル」 という感じ。「絞首台」では鐘を思わせる変ロの音が執拗に鳴り響き、まことに不気味。この曲はCDで聴いたときはやや退屈したが、野原さんは表情を巧みにつけて演奏されたので全然退屈しなかった。そして「スカルボ」。冒頭の三十二分音符のトレモロに始まって、目にも留まらぬ速さで音がとめどなく上下する。すっかり「酔って」しまった。
 最後の「ソナチネ」の始まる前にまた野原さんのトークがあり、スカルボのトレモロに関連して、「変なピアニスト」の話が紹介された。とても面白かった。そして「ソナチネ」が始まった。この曲は表題からもわかるように、基本的には「作りの簡単なもの」に属する音楽だと思うが、第三楽章になると分散和音がめまぐるしく交錯し、やはりこれはラヴェルならではであった。三つの楽章それぞれにかなり性格が違うが、野原さんはそれを上手に弾き分けておられた。
 そして盛大な拍手にこたえてアンコールということになった。実はラヴェルのピアノ曲のうち「フォーレの名による子守歌」が今回演奏されなかったので、それが出てくるかと思っていたのだが、なんと「それでは最後にラ・ヴァルスを」といわれたのにはびっくりした。とてもアンコール・ピースという曲ではないからである。しかも今年の4月に市民オケでやったばかりの曲なので、聴く前からわくわくした。そして演奏が始まったが、オーケストラでの演奏があまりにも頭に焼き付いていたので、虚心坦懐に聴くというわけにはゆかなかったし、管法楽版とはかなり違った音楽を聴いているような気がした。まあしかし複雑極まりない作り方がされている曲で、しかもあの巨大なオーケストラで演奏される曲を一人でやるのだからこれは大変なもので、ひたすら圧倒されて聴いていた。そして曲が終わってもう一度びっくりしたのは、あれだけの曲を弾いたにもかかわらず、野原さんが実に平然と涼しい顔をされていたことで、なるほどこれがプロというものかと何重にも感心したのであった。
 野原さんというピアニストについてはこれまで名前も知らなかったし、もちろんその演奏に接するのははじめてであったが、その演奏は見事というしかなく、人柄も実に親しみやすいかたのようで、こんなすばらしい演奏家を知らなかったのは不覚だった。大拍手を送るとともに、機会があれば違った分野の曲の演奏もぜひ聴いてみたいと思った。【知立市:T. S. 】
○夏の終わりになると、ラヴェルが聴きたくなります。特に「逝ける王女のためのパヴァーヌ」をこの季節に聴くと、いつも「失われた時を求めて」の第2巻「花咲く乙女たちのかげに」の最後、海辺の夏を過ごし終えた人々の去っていった後の、静まり返ったホテルに取り残された語り手の長い述懐を想起してしまいます。決して感情が表に表れず、非常に洗練された微笑をよぎる悲哀が、この音楽に典型的に現れるラヴェルの(自分にとっては)一番の魅力です。もっとも、プルーストの小説のこの部分にも垣間見られ、そして巻を追うごとに露わになる、もっと皮肉なもの、グロテスクなものもラヴェルの音楽の特質でしょう。それらをも合わせ表現する絢爛たる響きと玲瓏とした完全さをも持ち合わせ、「自然」からはほど遠いくせにいかなる時も作曲者の自意識を感じさせない周到さが、ラヴェルのさらに際立った特色といえるのかもしれません。
 そんなこともあって、自分にとってのラヴェルとは、それを聴くときも、「感動」というものとはまた違うものを求めて音楽なのです。非常に技巧的な曲であっても、演奏家の方が「熱演」してしまってはとらえないような、あくまで涼しげな印象で、汗ひとつかかないように弾き通してほしいという、無茶苦茶な要求をしたくなるものがそこにはあります。もちろん、ラヴェルの実演で素晴らしいものにめぐり合うことはありましたが(ルンデで聴いたピリスの弾く「水の戯れ」。また、高蔵寺で催された仲道郁代さんが2日続けて同じプログラムを弾くコンサートでは、初日に聴いた「クープランの墓」をもう一度聴きたく、翌日またコンサートに出向いた、という経験も持ちました。)、しかし、すべてをラヴェルで構成するとなると、演奏効果が極めて高い曲ばかりだというのに、演奏会ならではの「熱気」がかならずしもプラスには働かないのでは、とも思っていました。
 さて、そこで野原さんの演奏。ひとことでいうと、やはり「感動」とは質が異なるとはいえ、「ため息」(もちろん満足の)を連続させながら、最後に盛大に拍手したくなる演奏でした。
 その中でも特に強く感じたのは、「水の戯れ」と「水の精」の表現方法の違いでした。「水の戯れ」は、いろいろなCDで聴く限りは噴水のような人工物に取り囲まれた、一種細密な美を感じていましたし、かつてのピリスの演奏では水を通して室内の光の刻々と変化する様を写し取ったような静謐な表情に魅せられましたが、野原さんの演奏では、まるで滝つぼに向かって一挙に流れ沈み込んで行く水と真上から降り注ぐ光が織り成しているような、雄渾ともいえる運動性を感じさせてくれました。
 また、「夜のガスパール」は、CDやレコードでは、あまり面白い曲とも思えず、収録曲だからということでやや義務的に聴くことが多いのですが、それというのも、この曲集の持つやや怪談めいたつくりのためか、グロテスクさのみが前面に出て、派手な演奏効果も私の最も嫌いな大作曲家ふたり(ベルリオーズとワーグナー)を感じさせるからでしょうか。それが、野原さんの演奏では、まず「水の精」で、夜のしじまの中、水面近くをひそかに浮かび上がる幽遠な存在の息遣いを間近に捕らえ、同時に夜の本当の暗さを感じさせます。ここでの水は、「水の戯れ」とは、同じ水の表現でありながら、重さも粘り気も違うようでした。第1曲の舞台装置の小さい中での濃密な空間に引き込まれ、後の2曲は華麗でグロテスクで、しかも「スカルボ」ではちょっとかわいい(「マ・メール・ロア」の世界も反映しているかのような)味わいも加わって、これはラヴェルそのものの音楽でした。
 最後の「ソナチネ」は、改めて「・・パヴァーヌ」と好一対の、柔らかなメランコリアをひそませた真昼の優美な音楽でしたが、最後にアンコールというよりは、「隠しプログラム」といいたい「ラ・ヴァルス」。洗練と優美の裏に皮肉と崩壊の予感を一体化させた、ラヴェルの最もラヴェルらしい管弦楽曲のピアノ版は、2台ピアノの演奏で聴いたことはありましたが、ソロとなると一層華やかさが加わり、手に汗を握るようなスリルを感じさせながら、曲の終わりには、汗ばんだ手で思わず盛大な拍手をしていました。【桑名市:M. H. 】
○全体的には前回同様、完璧とはこういう演奏会に与えられるべき形容だという感想をもった。奏者、聴衆(意外に中年男性が多い)、楽器、音響どれも申し分なし。
 楽器については「パヴァーヌ」でのこれ以上は考えられないほどの柔和な響きが魅力的であった。聴衆については前半最後の「高雅にして感傷的なワルツ」での間合いを心得つつ熱烈な拍手に気分を高揚させてもらい、音響は微妙なタッチやペダリングまで聴きとれる明瞭さを味わった。奏者はますます会場なれして、演奏は言うまでもなく、曲間の語りも無駄なく、ユーモアも交えられて人間的魅力も感じさせた。
 「高雅にして感傷的なワルツ」でのストーリー説明など、その内容が、演奏でのすぐれて劇的な表現に聴衆の注意を向けることにもつながり有益であった。
 アンコールの「ラ・ヴァルス」はまさに興奮のるつぼ。あの小柄な奏者の一体どこにあれほどの爆発力が秘められているのかと感嘆しばし。
 それにしても2ヶ月にわたって聴いてみると、ラヴェルがいかに生涯にわたって高い水準を維持し、厳しく自らを律して作曲していたかが判った。2回の演奏会でピアノ曲全曲が網羅できてしまう寡作さ、その少なさを忘れさせる多様性もその現れだろう。そうした音楽を作曲者に勝るとも劣らぬ自己規律でレパートリーとして手中にした野原さんもすごい。【東京都:M. A. 】

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金澤 攝 「ポスト・レーガーの大家たち 第1期の3 ユリウス・ヴァイスマン」
2004年8月25日 スタジオ・ルンデ
○今回のヴァイスマンも、最初の曲の第一番目から、全て面白く、かつ良い曲だと思いました。「濃密な音」を前半の3曲では感じました。後半2曲は、素晴らしく美しい曲で、もしピアニストに聴かせたら、多くの人がレパートリーに加えたい、と言いだすのではないか、と思う傑作でした。「わが庭より」は、ジャンルは違いますが庭を描写したモネの「睡蓮」の傑作遺作を思わせました。
 今回の3シリーズは、「作曲家・楽譜発掘者」とそれを再現する「ピアニスト」のコラボレーションと考えれば、大変充実していました。前者としては、3作曲家のレベルが素晴らしかったし、後者としては、楽しく聴かせてもらえた、ということで証明されます。
 ある人が金澤さんを「見ていて楽しい」と言っていましたが、私も「ピアニスト金澤」さんの演奏を見られて楽しかったです。最後に自作初演のオマケ、ありがとうございました! 美しかったです。【緑区:K. I. 】
○プログラムの前半と後半で別人の様に作風が異なっているのには驚きました。個人的にはフランス印象派の影響を受けている様な後半の2曲の方が魅力を感じました。金澤さんの自作は初めて聴きましたが、ガラスの透明感が感じられる美しい曲だと思いました。【千種区:J. I. 】
○“フーガの木”はいつか聞けるのでしょうか。内容が盛りだくさんで聞く方としては消化不良ですが、非常によかったです。“ガラスの小世界”はきれいでした。アルカンを一度聞きたいのですが、もう弾かれないんでしょうか?【Annony.】
○音楽というジャンルを超えて楽しむことができました。私には作曲家の意図などが理解しにくいものがあり、もう一度聴きたいと思いました。
 ルンデは初めての場所でしたが、何故か私の母校と似たかおりがして落ち着きました。またいつか機会がありましたらおじゃましたいです。ステージ横の扉の開く音が好きです。【京田辺市:K. M. 】
○初めて知る作曲家の初めての曲だから、耳の方は、曲を一所けんめい追跡していた。でも途中から金澤さんが奏でる演奏の方に耳がひきつけられていった。めずらしい曲を発掘する変わった演奏家である前に、腕が立つすごい演奏家であることを発見しました。プログラムの5曲は、それぞれ特徴があって、それぞれおもしろい曲でしたが、それを引き出した演奏家の方をほめるべきと思いました。【中村区:M. I. 】

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野原みどり ピアノ・リサイタル 「ラヴェル全曲演奏 その1」
2004年8月8日 スタジオ・ルンデ
○Rundeへは、3年程前にアウアーQのラヴェルの熱演以来で、お邪魔いたしました。今回の野原さんの演奏、後半の“グロテスクなセレナーデ”から俄然目のさめるようなラヴェルでした。特に“クープランの墓”のリゴードン、トッカータなど。又、メヌエットの美しいメロディは心に染みるようでした。野原さんは「クープラン…」を得意にしておられるようですね。次回、夜のガスパールを期待しています。【岐阜市:A. T. 】
○初めてルンデでピアノを聴きましたが、(こぢんまりした)とても響きのよいホールで野原さんのラヴェルを聴けて、とても幸せな時間でした。とてもきれいな音で、感激でした。また機会がありましたら聴きに来たいと思います。ありがとうございました。【関市:S. K. 】
○二日間でラヴェルの全曲、すばらしいの一語です。ドビュッシーはよく聞いても、ラヴェルとなると、有名なものしかふだんから聞きませんので非常に楽しめました。野原さんの話しもとても好ましいものでした。【昭和区:N. T. 】
○管弦楽編曲版とは異なる面白さがありました。不協和音や細かいリズムの扱い、そして、ピアニッシモの美しさが極立った演奏でした。次回も期待してます。【熱田区:D. H. 】
○前半の「鏡」、元々詩的で美しい曲だと思いますが、野原さんの粒ぞろいの音の、美しい表現で聴くと最高です。アンコールも含め、後半の諸曲も、とても楽しめました。とても納得のいく素晴らしい表現力です! ラヴェル曲は視覚的にも視て楽しいことを知りました。【緑区:K. I. 】
○ギリシア建築のように堂々とした構築美と、多様な色彩感、細部にわたる明晰さをかねそなえた演奏でおおいに感動した。音楽での印象派というとまず和声の美しさに意識がゆきがちだが、野原さんお演奏では細部にわたるまであくまで明瞭に形作られていたので、ラヴェルは対位法など線的で多声的な書法にも長けていたことに気づかされた。また、「道化師の朝の歌」や「クープランの墓」などオーケストラでもよく親しんでいる曲ではまさしくオーケストラのように変化に富んだ音色が同時に響く瞬間を幾度も耳にし、1台の楽器で演奏される音楽であることをしばし忘れて楽しむことができた。【東京都:M. A. 】
○今回ラヴェルのピアノ独奏曲がほぼ全曲演奏されるというので、この機会にと思って、全曲の楽譜とCDを買って聴いてみた。そこで気がついたのは、ラヴェルの音楽には実に簡素で平明なものと、音が複雑に入り組んでいるものとがあるということであった。
 もっとも、簡素で平明といっても和声などは古典の響きとはまったく違うのだが、曲の作りは古めかしい。一方、複雑な作りの曲は分散和音が綺羅星のようにちりばめられ、しかも右手と左手が重なり合うようなものが多く、一体こういう曲はどうやって弾くのだろうと思った。
 時間になって野原さん登場。自分にとっては初対面であるが、実はこの瞬間が演奏会の一つの醍醐味なのである。野原さんは思っていたより小柄な女性で、見た感じもあまり強いインパクトはなく、大勢の人に混じっていたら全然目立たないであろう。前回はリストだけでプログラムを組まれたということなので、もう少し「とがった」ような人かと思っていたが、全然そうではなかった。
「古風なメヌエット」から始まったが、始まってすぐに、ああなるほど野原さんのラヴェルはこういうものなんだと思うと同時に、ラヴェルの音楽についての認識を多少改めた。和声は古典的なものとはまるで違うし、譜割りも実はかなり凝ったことをしているのだが、聴いている限りそういったことはほとんど感じられず、おだやかな雰囲気が漂ってくるのである。ラヴェルについては何となくしちめんどくさい音楽を書く人だなあという気がしていたのだが、こういう演奏を聴いていると、ラヴェルの音楽は気楽に聴けばよいのだという気がする。
「ハイドンの名によるメヌエット」の終わったところで短いブレークがあり、再び登場された野原さんは穏やかな様子でラヴェルの音楽には二種類あるというようなことを淡々と話された。それを聞きながら、ああこの人は気持ちに偏りのない人なんだと思った。実は音楽家には二つのタイプがあり、いかにも音楽家でございますという姿勢を貫く人と、「普通の」人というセンスを大切にする人とがある。野原さんは間違いなく後者であるが、実はこういう姿勢を保ちながら自分の音楽を作ってゆくのはかなり実力がないとできない。
 続いて「鏡」になったが、この曲はとにかく変化に富んだ絢爛豪華な分散和音がいのちである(特に第3曲)。ところが野原さんにかかると、それが実になんでもなく聴こえてくるので、これは一種の驚きであった。そして、なるほどラヴェルの音楽での分散和音はこうやって弾くものなんだと、一つ勉強になったのであった。
 休憩の後、野原さんの短いトークがあり、「グロテスクなセレナーデ」は最近見つかったので、CDによっては入っていませんとのこと。実は自分の買ったCDにもこの曲は入っていないので(楽譜集には入っている)、どういうわけかなあと思っていたので、これで疑問が解けた。『グロテスクなセレナーデ」「ボロディン風に」「シャブリエ風に」が終わったところで短いブレークがあり、その後まず「前奏曲」(音楽学校の入学試験のときの初見のテストの曲)が演奏された後、「クープランの墓」になった。この曲はラヴェルが戦争から帰った後作曲されたとのことで、比較的晩年の作ということになるが、それだけにラヴェルのありとあらゆるものが一杯に詰まっている。技巧的にもそうだし、曲ごとに込められた感情も実にさまざまである。こういう曲(曲集)を弾くとき、ピアニストは気分の切り替えが難しいのではないかと思ったが、野原さんはあまり構えることなく、いろんな場面を次々に聴かせてくれた。ただし、最後のトッカータは極め付きの難曲なので、演奏する前にさすがに緊張の色が見られ、こっちもなんだかどきどきした。ただし、結果的にはまったくすばらしい演奏で、特に最後に近く、一瞬のポーズがあってから終結に向かうあたりは背中がぞくぞくした。
 アンコールは「ラプソディ・エスパニョール」から終曲ということで(この曲は管弦楽曲だと思うのだが、ピアノ編曲版があるのだろうか?)、これまた絢爛たるピアノのテクニックが縦横無尽に駆け回り、表現は悪いが生理的快感を覚えたのであった。なお、9月に続編があるようなので、野原さんのトークにちょっと注文をつけると、ラヴェルには芸術家としての側面と、音楽の職人としての側面があるようなので、そのあたりを野原さんはどう仕分けしておられるのか、また、ラヴェルでは同じ曲が管弦楽とピアノ・ソロの両方になっている場合がかなりあるが、ピアニストとしてそれをどう思うか(聴くほうの心構えを含めて)、などについて話していただけたらと思う。【知立市:T. S. 】

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金澤 攝 「ポスト・レーガーの大家たち 第1期の2 ヨーゼフ・ハース」
2004年7月26日 スタジオ・ルンデ
●今日紹介されたハースも、とても面白い作曲家でした。 どの曲も、非常に聴き応えがありました。小品集も変奏曲独特のところがあり、弾き方も面白かったです。前半最後の悲歌集、後半のソナタ、いずれも大曲ですが、金澤さんの演奏は、よく作曲家の意図を伝えてくれたように思います。「ピアノも今や古楽器」とのことですが、ハースのソナタがベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」並に美しいか、といわれると私は困りますが、ピアノ曲としてもっと演奏されても良い曲であるとは思いました。次回が楽しみです。【緑区:K. I. 】
●金澤さんのリサイタルには他の演奏家にはない発見があるので、最近は毎回顔を出させてもらっています。
 前半に演奏された「こびと」も可愛らしい曲でそれらしい雰囲気が出ていましたが、何と言っても「ソナタ a-moll」が今日の目玉だったのではないでしょうか。「20世紀のハンマークラヴィーア」という金澤さんの付けた呼び名も納得の迫力に圧倒されました。他にもハースのソナタは数曲あるそうですので、是非機会があれば聴いてみたいと思いました。
 毎度のことですが、これだけの興味深い演奏会をわずかな参加者だけで聴くというのは本当に勿体ないですね……。【千種区:J. I. 】
●ハースはレーガーの一番弟子との事だが、作曲年代順に並べられた今夜の5曲では、三番目の“オイレンシュピーゲライエン”あたりから、その片鱗が強く現れたように思う。 予想以上に長かったプログラムのせいか、最後の“ソナタ”で演者がややバテ気味だったのは残念。しかし、こう云う「忘れられた大家」の全貌を、ただ一回の演奏会でうかがう事は所詮無理であろう……。【Anonym.】

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工藤重典 フルート・リサイタル
2004年7月18日 スタジオ・ルンデ
●息づかいの聞ける位置で聴く工藤さん、やはり良かったです。グライスさんの伴奏ピアノも絶妙でした。いろんなフルートのテクニックも味わえ、なかなかぜいたくなリサイタルでした。 ダマーズ新曲もいろんな要素がはいっていて面白かったです。 個人的には、サティ曲がまるで「フルートの為の曲」のように聴え、大いに関心を持ちました。【緑区:K. I. 】
●メンデルスゾーンのソナタはピアノとフルートの共演は素晴らしいでした。サティの曲はおどりたくなる様な曲で良かったです。ビゼーのカルメン幻想曲、アンコール曲とても素晴らしい曲でうっとりしました。【中川区:S. A. 】
●フルートの音色や、色々な曲は好きで知ってるつもりでしたが、改めて、その音色の多彩さ豊富さに驚きました。工藤さんの超絶技巧が堪能できました。 ガロワ=モンブラン、こんなすごい曲がきけてよかった。 カルメン、工藤さんのテクニックを堪能しました。【東大阪市:Y. K. 】
●工藤さんの生演奏はどこかで聴いたような気がするのですが思い出せません。 フルートというと弱い音のロングトーンの時に音を切る際、音程が下がったり音色が剥がれたりするものですが、そんなことは全然なくきれいだったので気持ちよく聴けました。工藤さんなんだからそんなことできるの当たり前だ、と言われればそれまでですが。難しいことを実際はしているはずなのに、そんなことを感じさせずにいとも簡単そうにやってのけるところがすごいと思いました。【天白区:H. Y. 】
●ダマーズの“ペイサージュ”は、委嘱新作初演ということで楽しみにして来ました。「ペイサージュ」は、仏語の「風景」なんですね。聴く前に調べてしまいました。音からどんな風景が描けるかワクワク。で、私の受けた印象は、期待、不安、冒険、発見といった未知の土地を旅する物語のように感じました。ダマーズがピアノを弾いたこの曲のCDが今日販売されていましたが、購入しなかったので解説を読んでいません。この曲が、実は望郷の風景だったら、それは私の人生経験が浅いのでしょうね。本当はどうなのか、時が経ってから知るのも面白いことだと思います。工藤さんの音色は、木の持つ温かみときらきらした透明感とが一緒になったような魅力があるなと感じました。【北区:K. A. 】

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バルトークから獲たもの〜5〜
2004年7月11日 スタジオ・ルンデ
●ミューズのモーツァルト:「入り」がバッチリ合っていて、あともなかなか華やかでした。(途中ちょっとチェロの音が弱いか、と思うところもありましたが。)
 このえのハイドン:安定した技倆で、堂々のハイドンでした。(将来的には、ハイドンをやると優等生的に「こじんまり」にならず、冒険もして欲しいと思います。)
 プリンセスのシューベルト「死と乙女」:個人的にこの曲ばかりは何度聴いたか数えられない位なので、いろんな感想はありますが、第1楽章については、「ヴィオラが一番右」という工夫は効いていたと思います。
 ミューズのブラームス:いい感じでした! ずっとトリオで続けて欲しいと思います。
 このえのバルトーク:練習時間も限られていると思うのに、本当に凄い「音楽」でした! ハイドン第1楽章、この曲の第4楽章のチェロも良かった!
 女性陣:舞台登場時フレンドリーな雰囲気を忘れずに。【緑区:K. I. 】
●ブラームスは最後の方は少し疲れたかんじだったがよかった。Vcがもう少し力(ヴィブラート)があるといいのだが。Vnはとても音がよかった。
 バルトーク−すごすぎてついていけない感じだった。長年カルテットをやっていらっしゃるせいか、音の厚みがあって室内楽として完成されているかんじ。(でもちょっと退屈でした。)【Anonym.】
●結成13年目のこのえ弦楽四重奏団は、さすがですね。彼らには吸引力を感じます。昨年のレッスンで、バルトーク弦楽四重奏団が、「最初の音で聴衆をつかみ、そのまま持っていくことが重要」と、他グループにアドヴァイスされていましたが、このえ弦楽四重奏団はこれに成功していると思います。彼らは腕の確かさも然ることながら、聴かせてくれそうな四重奏団のオーラを醸し出しているから素晴らしい。作ろうとしたり、真似したりして出来る性質のものではないので、非情に貴重ですね。プログラムノートの彼ら自身の言葉にあったように、バルトークから獲た「音楽への妥協なき姿勢」が、音楽ばかりでなく人格にも影響しているのだなと思います。
 バルトークの第6番の演奏は、「メスト(悲しげに)」という主題のなかに、多様な悲しみがあることを語りかけてくれました。現実の直視や逃避願望。繰り返される「メスト」と、全く別のところに意識を持って行こうとする試みなどが複雑に絡み合い、悲しみ一色ではないところに、悲しみの深さをより一層感じました。悲しみの種類は違いますが、聴きながら以前に読んで感銘を受けた詩の一節を思い出しました。生の良い演奏を聴くことは、こういう呼び起こしや出会いがあるから止められません。
 ミューズ・トリオ、プリンセス・カルテットも息の長い活動をされ、また楽しませてください。
 このえの皆さん、今後も「芸術活動」期待しています!【北区:K. A. 】

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ジェフリー・グライス ピアノ・リサイタル
2004年7月10日 スタジオ・ルンデ
●最近ピアノ演奏を聴くときの関心事は、ピアニストの表現方法につきますが、大いに楽しませてもらいました。グリーグ小品では各曲の弾き分け、リスト、シューマンではピアニストらしさ、が顕著でした。後者では「骨太」の奏者と感じました。シマノフスキのピアノ曲も、あまり聴きなれていませんが美しいと思いました。【緑区:K. I. 】
●あたたかい音。シューマン良かった!!【緑区:A. Y. 】
●写真より年配の方だったのでびっくりした。緊張していたのか手が固く感じられた。 けっこう激しかったがもっともっと激しくていいのではないか。 聴いたことのない曲が多くて勉強になった。 もっとピアノを鳴らすことのできる人だと思う。もっともっと鳴らして下さいピアノを。 工藤さんのリサイタル楽しみにしています。【天白区:H.Y. 】
●弱音が素晴らしく美しいピアニスト。グリークとシューマンが結構でした。【Anonym.】

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