売買とされるリース取引は?

 法人が賃貸借(リース)取引に固定資産を賃借した場合には、その賃借料は原則として賃借期間の経過に応じて損金の額に算入されます。
 ただし、その賃借取引が、法人税法上のリース取引に該当し、かつ、一定の要件に当てはまるものについては資産の売買があったものとして取り扱われることになります。
1:法人税法上のリース取引
法人税法上の「リース取引」とは、次の要件のすべてを満たすものをいいます。
(1)リース期間中の中途解約が禁止されているものであること又は中途解約をした場合には、未経過期間に対応するリース料の合計額のおおむね全部を支払うこととされているものなどであること。
(2)賃借人がリース資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、リース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。
2:売買とされるリース取引
法人税法上のリース取引のうち次のいずれかに当たるものは、賃貸借ではなく、リース資産の引渡しのときに売買があったものとして取り扱われます。
(1)リース期間の終了時又は中途において、リース資産を無償又は名目的な対価で譲り受けるもの。
(2)リース期間の終了時又は中途において、リース資産を著しく有利な価額で買い取る権利が賃借人に与えられているもの。
(3)賃借人の特別な注文によって製作される機械装置のように、リース資産がその賃借人のみによって使用されると見込まれるもの、又は建築用足場材のようにリース資産の識別ができないものを対象とするもの。
(4)リース期間がリース資産の法定耐用年数に比べ相当の差異があるもので、賃貸人又は賃借人の法人税又は所得税の負担を著しく軽減すると認められるもの。
※なお、ここでいう「相当の差異があるもの」とは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次のように定められています。
イ:リース期間がリース資産の耐用年数より短い場合
(イ)耐用年数が10年未満である場合
 リース期間がリース資産の耐用年数に0.7を乗じた年数(1年未満の端数切り捨て)に満たないもの
(ロ)耐用年数が10年以上である場合
 リース期間がリース資産の耐用年数に0.6を乗じた年数(1年未満の端数切り捨て)に満たないもの
ロ:リース期間がリース資産の耐用年数より長い場合
  リース期間がリース資産の耐用年数に1.2を乗じた年数(1年未満の端数切り上げ)を超えるもの
3:償却費として損金経理したものとするリース料の額
 リース取引が売買として取り扱われる場合には、賃借人はそのリース資産を自己の資産として所得金額を計算します。
 したがって、この場合に法人がリース料の額を損金経理しているときには、そのリース料額は償却費として損金経理した金額とされ、その売買をされたリース資産の償却限度額までの金額が損金の額に算入されます。

(2007.09.28)