災害と寄付金控除

 先日、九州地方の豪雨に続き新潟県中越沖で地震が発生し多くの方が被災されました。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。
 現在、日本赤十字社をはじめ多くの団体で「熊本県大雨災害義援金」や「新潟県中越沖地震義援金」が募集されていますが、個人が義援金を支払った場合、義援金を支払った相手によって所得税の寄付金控除の取扱いが異なりますので注意が必要です。
 所得税法上、その年の所得金額から控除することができる寄付金控除額は「(1)その年(平成19年)に支出した特定寄付金の合計額と、(2)その年の総所得金額等の40%相当額との、いずれか低い金額から5千円を控除した金額」とされています(平成18年度税制改正で下限が1万円から5千円に、19年度税制改正で限度額が30%から40%へと改正されていますのでご注意下さい)。
 しかし、寄付金控除の対象となる寄付金は、国や地方公共団体に対する寄付金のほか、指定寄付金など“特定寄付金”に限られており、特定の相手に支出する寄付金等は寄付金控除の対象には含まれていません。
 日本赤十字社等を通じて国や地方公共団体に支払った寄付金は、言うまでもなく寄付金控除の対象となりますが、例えば、被災された個人に対して義援金を贈った場合は寄付金控除の対象とはなりません
 また、所得税の取扱い上、「日本赤十字社や募金団体に対して拠出した義援金等は、国や都道府県、市町村に拠出され、一般被災者に配分されることが募金要綱や募金趣意書などで明らかにされている場合は、国又は地方公共団体に対する寄付金として、寄付金控除の対象となる」とされていることから、寄付をする際には念のために募金要綱等をご確認下さい。
 なお、寄付金控除の適用を受ける場合、確定申告書に受領証等を添付する必要があります。郵便振替口座を利用して日本赤十字社に寄付金を支払った場合、通信欄に「受領証希望」と明記する必要がありますので、この点にもご注意下さい。

(2007.07.25)