印紙の貼付漏れと自主申出


 一般的な商取引の中で印紙税は身近な存在ですが、うっかり印紙を貼り忘れてしまい印紙税を納付し忘れるケースが見受けられます。印紙税を納付しなかった場合は納めるべき印紙税額の「3倍」を、消印をしなかった場合は消印されていない印紙金額の相当額を、過怠税として支払わなければなりません。
 ただし、印紙を貼り忘れたとの自主申出があり、かつ、それが過怠税の決定を予知してなされたものでない場合は、納めるべき印紙税額の「1.1倍」を過怠税として支払うことが認められています。

 例えば、印紙税ではなく他の税目について、税務署から事前に調査連絡を受けた場合に、この連絡により印紙の貼り忘れに気付いて自主申出を行えば、これは税務署からの具体的な指摘を受けた後の自主申出ではない為、「1.1倍」の過怠税が認められることになります。また、過怠税の税務処理上の扱いは、全て損金不算入となります。

 なお、平成16年4月の消費税法改正から取引価額の「総額表示」が義務付けられますが、『105万円(本体100万円+消費税等5万円)』という表示の場合に100万円のみが課税対象となるのは、
 (1)不動産の譲渡等に関する契約書等(第1号文書)、
 (2)請負に関する契約書(第2号文書)、
 (3)金銭又は有価証券の受取書(第17号文書)
に限られ、この他の文書では消費税額の記載方法にかかわらず、税込価格そのものが課税対象とされますので注意が必要です。

(2003. 10. 25)