中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集
【253】 『ウソツキツツキの鳴く島』 2020. 2.17

彼が浪人生だった頃教えていたイシカワ君が現在は作曲家となり、自作曲の演奏会に誘ってくれたので出掛けました。彼は東京の理系の大学に通っていましたが、音楽への夢を捨てきれず中退、ピアノと作曲の基礎を2年間猛勉強して作曲科に進学した努力家です。

今回の作品はトランペットとピアノのための楽曲
「ウソツキツツキの鳴く島」
ピアノ演奏は本人、空間を生かした幻想的な音作りで、素敵な曲でした。
その曲の着想となった彼自身の詩が、
メルヘンの世界、、少し韻も踏んでいて、、色彩もあり、、とても気に入りました。。。

 当日のプログラムノートとして掲載されていましたので紹介します。

》ウソツキツツキの鳴く島《

そこはいつも霧に包まれた不思議な島。

ウソツキツツキが「ソーツキ、ソーツキ」鳴き、本の鳥が羽ばたき、
みかんジュースの瓶の音がする雨が降ります。

もぐらのグラは、雨がやんだ後の森を散歩しながら森の声を聞くのが好きでした。

その日も、いつものように月の光を道しるべに歩いていました。

クリームソーダ色した風が、時折グラのひげをかすめては、闇に消えていきます。

グラは、明日を探していました。

(つづく)
( Y. N. )

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