中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【218】 『リサイタル〜ロシアの風を感じて〜終わりました!』 2015. 6. 1

先日5月23日、オールロシアプログラムでのリサイタルが、終了しました。お忙しい中お運び下さいました方々、またご支援下さいました方々、有難うございました。お陰様で無事終了致しました事、心より御礼申し上げます。

リサイタル
前半の大作、「組曲 展覧会の絵」。一般的にはラヴェル編曲のオーケストラ版の方が有名で絢爛豪華ですが、私はこのピアノ原曲が大変気に入っています。楽譜を見ると、音楽的効果の大きさに反して大変音符が少なく、どのページも驚くほど真っ白です。しかしその簡素な楽譜が、読めば読むほど面白く、全く飽きず、ムソルグスキーという作曲家は本当に素晴らしいと思います。オーケストラ版が例えば小説ならば、私にとってはピアノ版は短歌か俳句といった印象、その中に大切なエキスがギュッと詰まっているような感じなのです。

「展覧会の絵」に登場する10枚の絵、個々の絵は絵の全てが存在する訳ではありません。ガルトマンの展覧会にはなかった、それ以前にムソルグスキーが見たかも見なかったかも知れない他の空想の絵の印象までも、この曲に封じ込めたのでは、と言われています。一枚一枚の絵のイメージは、美術館なら近づいてみるような、『小さな額縁にはいった小ぶりの絵達』を指しています。しかし様々な絵があっても、ずっと弾き進んで行くと最後に全てを総括しているようにも感じます、だからなのか、演奏していても終曲になると、心がジーンとして、感謝の念が沸いてきます。

一方、後半の長大なピアノトリオ「偉大な芸術家の思い出に」は、これでもか、これはピアニストへのいじめか?と思うほど(笑)楽譜の音符の数が多いです。約50分間いつも、何十枚ページをめくっても音符で埋め尽くされていて真っ黒! それはそれで大変でした。ムソルグスキーとチャイコフスキーとは、生まれ年はほとんど変わりませんがその作風はかなり異なっています。チャイコフスキーはとにかくエネルギッシュな人だったそうで、朝から晩まで作曲に没頭し、書いて書いて一日中書いても疲れ知らずだったという事です。

音の少ない「展覧会の絵」、多すぎる「偉大な芸術家の思い出に」、、、どちらもすご〜く難しかったです、しかしとても楽しく、どちらも名曲でした。。。。。
そして今回,素晴らしい演奏をして下さった共演者のヴァイオリン澤田氏、チェロ小縣氏にも、この場を借りて最大の感謝を申し上げたく思います。
( Y. N. )

ページの先頭へ