中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【209】 『無限音階 その1』  2014. 9. 8

今回から二回連続で、「Dialogue」に書き込みのあった【無限音階】について考えてみます。
「Dialogue」にお知らせ頂いたサイトの音階は、確かに永久に上昇し続けているように聞こえます。正確に言えば「永久に上昇し続けているように聞こえなくもない。」です。つまり耳の錯覚を利用したものではないでしょうか。僕なりの考えで謎を紐解いてみようと思います。
説明の為、サイトで聞こえている音楽を表すための、簡略化した楽譜を作りました。
音程がオクターブ離れた、同じ音による音階です。ここでは高さの異なる同じ音を縦に二つ置きました。(拍子や小説線は無視してください。)

楽譜

まず楽譜の見方です、ドの列、レの列、のように縦に見て下さい。
音は無限に存在するため、それぞれの上の音にはもっと上に、下の音にはもっと下に、オクターブ間隔で音が沢山並んでいる、と考えて下さい。例えて言うなら〈ワカサギ釣り〉の水面下にたらした糸に等間隔に付いている〈ハリ〉が音符で、一本の糸に付いている〈ハリ〉は全て「ド」であり、もう一本の糸のは全て「レ」で、またもう一本の糸のは全て‥‥‥‥、と言うわけです。この楽譜では最初の「ド」から最後の「レ」まで、全部で16本の糸が垂れていて、各糸には〈ハリ〉が二つだけ付いている、という状態です。

さて、今度は横に見ていきます。ここからが重要です。
今、人が最初に聞く音を「実線 」の付いた「ド」とします。赤い線のように音は聞こえていきますが、高音は聴き取りにくいと言う耳の性質上、途中から――ここでは「ソ」から――同時に聞こえている下の音階に乗り移ってしまうのです。人によって耳の状態は違うので、ある人は「点線」のように辿るかもしれません。
或は、もっと初めの方で、例えば「ミからファ」や「ファからソ」で下に乗り移ることも考えられます。
〈ワカサギ釣り〉の例で言えば、一本の糸に沢山つけられた多くの〈ハリ〉の、何処を(つまり上から何番目など)出発の音にして音階をスタートさせても同様の事が言えるのです。
例のサイトでは、音階が半音階で出来ていますが、楽譜はハ長調の音階で、音程も半音と全音が混在していますがなんら問題はないと考えます。
続く    ( H. N. )

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