中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【187】 『とりさん ころんだの?』  2013. 4. 28

最近、勤務している大学の卒業生と会う機会があった。
僕の仕事が終わる時間に合わせ、学校近くの緑地公園で会う事にした。今は二人の子供がいる。一人はよちよち歩く事が出来て、一人はベビーカーで眠っていた。森林の中の木道を歩く時は一部階段があるので、ベビーカーは疂み、赤ちゃんは負んぶして、四人で一緒に歩いた。
薄曇りではあったが、却ってかんかん照りを歩くよりは歩き易かった。
彼女がもうすぐコンサートをする事や、家を建てようと考え始めているがピアノ室の防音をどうしたら良いか、などの話をしながらのんびりと歩いた。     

途中、会話が途切れた時、どこからか鳥の鳴き声が聞こえた。彼女が一緒に歩いている上の子に、
「小鳥さんが鳴いているね」
と言うと、
「とりさん ころんだの?」
僕は、
「?‥」
彼女曰く
「この子は、『鳥いているのは、転んだから(自分く時は転んだ時だから)』そう思ったみたいです」
なんとも微笑ましい答えで心がほんのり暖かくなった、春の夕暮れでした。
( H. N. )

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