中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【183】 『キモニトカコ』  2013. 1. 4

新年おめでとうございます。
昨年もこのホームページにおつきあい下さり、有難うございました。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
2013年が皆様にとって素敵な、人、音楽、出来事との出会いの年になりますように!

さて‥‥
欧米の言語ではたいてい、殆どの名詞に単数形と複数形がありますね。
日本語は不思議な事に、殆ど複数形を気にしません。「本たち」「鉛筆ども」なんて言いません。単数でも複数形っぽい稀な例としては、1人でも子供、1人でも友達、などでしょうか。。。?

日本でもポピュラーになったイタリアの飲み物カプチーノ。1杯なら「カプチーノ・Cappuccino」ですが、2杯になるとイタリアでは「カプチーニ・Cappuccini」と使い分けます。語尾が「o」で終わる名詞は、複数形では語尾が「i」に変わります。

ここで笑い話をひとつ……。
長くイタリアのオペラ劇場で歌って帰国した友人が、
“蝶々夫人の舞台の時、楽屋に運び込まれた沢山の段ボール箱に〔Kimoni〕と書いてあり、それが〔Kimono 着物〕の複数形だ!と分かったとき爆笑したよ”
と教えてくれました。イタリア人にとっては〔Kimono〕と書くには、必ず「1枚だけの着物」でなくては気持ちが悪いのだそうです。
逆に、日本の果物の〔柿・Kaki〕は,イタリアには無い食べ物ですが、イタリア人は〔Kaki〕という文字を見ると自動的に「幾つもの柿がある(語尾が「i」なので複数形だ!)」と思ってしまうため、柿が1個のとき〔Kaki〕とどうしても言えず、なんと〔Kako〕という単数形の語を勝手に作って呼んでいるのだとか。。

私達には、〔キモニ→肝煮〕、〔カコ→過去〕に,聞こえるなぁ〜。よその国の果物の名前まで変えてしまうなんて、言葉の文化って面白いですね。

( H. & Y. N. )
「Review」の欄に、先日のリサイタル(2012年10月21日)の感想の一部を掲載しています。良かったら覗いて下さい。

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