中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【182】 『え!マジ?』  2012. 11. 8

歩いていたら後の方でビジネスマンの話し声が聞こえた。様子が少し変だったので振り返ったら、案の定、携帯片手に僕の後を歩いていた。〈非常に丁寧な言葉使いからすると、取引先との電話かな?〉なんて勝手に思いながら、ちょっと気にしながら歩いた。丁寧な言葉使いでの会話、ハッキリ覚えていないがこんな感じだったと思う。
「……実は11日の日曜日に、私もご一緒させて頂いてお話出来るといいいのですが、あいにくその日はですね、午後から用事がございまして、申し訳ございませんが、伺う事が出来ないんです。……前もって書類をお送り致しますので一度目を通して頂いて……」
だんだん声が大きくなってきた、と思ったら、話しながら彼は僕を追い抜いていった。間もなく会話が途切れた。
と思ったのも束の間、今度は賑やかな大きな声が、今までとは全く違う言葉遣いで僕の耳に飛び込んできた。もうそれは仕事の話ではなく、完全に友人との会話だった。その言葉使いのあまりのギャップに可笑しくて覚えていないが……
「えー!マジ?それであいつ、なんて言った?ハハハハハ!!」
と、こんな感じ。
よくある事だと思うが、二つの会話をほぼ同時に体験したら、こんな気持ちになった。

「え!マジ?」
( H. N. )

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