中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【174】 『NHK上質なクラシック番組打ち切りに危惧』  2012. 5. 22

4月3日付け朝日の記者有論、吉田氏の「N響アワー終了 音楽と出会えますか?」に全く同感である。私も物心ついた頃からずっと、NHKの素晴らしい音楽番組に触れて育ち、それは大きな財産になっていると確信しているからだ。音楽を専門とする職業に就いた者として、最近の番組改編の傾向には大きな懸念を持っている。私の小学生時代、朝のラジオから「バロック音楽の楽しみ」が聞こえてくるのに何の違和感もなかった。
打ち切りになった「芸術劇場」や「N 響アワー」等の上質の芸術番組は、人気、視聴率、採算のどれをとっても民放がやりたがらない地味な分野であろう。だからこそスポンサーを持たないNHKがやるべきではないのか。「敷居を低く」の掛け声の元、娯楽性の強い短い番組ばかりになってしまうのは、まるでデザートだけで子育てするようなものである。
じっくりと本物に触れられる番組、今の子供たちが大人になった時、「素晴らしかった」と思えるような、長いスタンスでの番組作りをして欲しい。次世代の文化が軽薄短小にならないために、制作の方々の踏ん張りどころではないか。essay174_yuko.jpg

なお、今回のエッセイを朝日新聞に投書したところ、4月11日付け朝刊「声」欄に掲載されました。
( Y. N. )

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