中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【168】 『それ以外の……』  2012. 2. 1

ある集まりのためにランチを予約することになった。折角ならちょっとリッチにと、ホテルに入っているレストランをパソコンで色々調べてみた。(ホテルに入っているというだけでリッチな気分になれるこの感覚は一体何でしょうね)
暫く探していると、店によっては画面にクーポン券が表示されていて、それを印刷して持って行くと一部のランチメニューが10%安くなる、というのを見つけた。
ただ、どのメニューが安くなるのかが分かりづらい店があったので、直接店に電話して聞くことにした。さすがどのレストランも立派なホテルに入っているだけの事はあって、電話口で応対する店員の言葉使いが、「ピシッ」と決まっていた。
ところが……
あるレストランに電話した時である。僕は応対して下さっていた店員の、ふと漏らした言葉を聞き逃さなかった。

『〜〜はい、さようでございます。メニューBはこの季節の食材を贅沢に使っている料理でございまして、冬限定のメニューでございます。さてお客様御質問のクーポン券ご利用の件でございますが、いまご説明させて頂きましたメニューAとBについても勿論ご利用頂けます。申し訳ございませんがそれ以外のヤツにはご利用頂けません。……中略…… お客様のお越しを心よりお待ち申し上げております。本日はお電話どうも有難うございました。』

一瞬素が出てしまったのだろう、僕は《ニヤッ》としてしまった。
(H. N.)

ページの先頭へ

as_nakaoka_index