中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集 |
【162】 『ピーポーピーポー その3』 2011. 9. 5 薬局で処方された薬をどっさりもらって帰った。次回の診察は一ヶ月後である。そのとき迄に「石」が出る事を、そして再び激痛が襲ってこないよう、祈るしか無い……。 さて、翌月の診察では、診察の前にレントゲンの他、久しぶりにCT撮影もした。
診察時、先生はCTの画像を見ながら、何故だかニコッと微笑んだ。
「どうですか、痛みは?」 「いや、この数週間、痛みは無いんです。」 「そうでしょうね。これは石ではありませんでした。その可能性もあるので今日はCTも(レントゲンの他に)撮らせて頂いたんです。」 画像を見ると確かにまだ白い点はある。だから先生の言われたその意味が理解出来なかった。別の病気なのか?
「石のように見えますが、CTの画像で見ると、尿管と少しずれているんです。これは、リンパ節というもので、悪いものではなく、また何処かの管に詰まるものでもありません。加齢とともに体内に出来てくるものです。(石の件は)ま、今日で卒業ですね」 先生は再び微笑んだ。 道理でずっと痛みに襲われなかった訳だ。あとで調べてみた事だが、リンパ節は体内に何か異変が起こると、少し腫れるらしい。となるとこの一ヶ月間、毎食後沢山の薬を飲んでいたのは何だったんだろう……。 こうして二ヶ月間に亘る「石騒動」は、いとも呆気なく幕を閉じたのである。
(完)
(H. N.)
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