中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集 |
【161】 『ピーポーピーポー その2』 2011. 8. 29 交差点を通過するたびに運転手と助手席の隊員とのやり取りが聞こえる。もう(病院へ)着く頃かな、と思ったその時、
「あと二〜三分ですからね」 正直言って、まだそんなにかかるのか、とがっかりした。しかし、交差点では優先権があるのだから有り難い事ではある。 病院に到着後、点滴を受けながら、レントゲン、CTスキャナー、ほか様々な検査をした。結果は‥‥
腎臓に出来た「結石」が管を通っている時に内部から発生する痛み、だと言う事がわかった。二時間くらい点滴を受け痛みが少し治まったところで一旦家に戻る事になった。午前五時を廻っていた。既に空は明るい。
「今日の午前八時半迄に来て、再度泌尿器外来で受診して下さい。」 タクシーで家に戻った。やっとの思いで一時間程横になったが、再び這うようにして外来の受診へ向かった。
特に治療法は無く、薬を飲んで水分をたっぷり採って排出されるのを待ちましょう、と言われた。
それからの二週間は、痛みのあまり全く何も出来ず、全ての仕事をキャンセルしてしまった。「結石」が体内で動いたら、またいつ激痛に襲われるかわからない、もしそうなったら、立ってはいられず床でのたうち回るだけである。特に最初の一週間はほとんどまともに寝る事が出来なかったし、一日に二回までしか使ってはいけないと言われた最強の痛み止めを、耐えられずに三回使ってしまった日もあった。 さて一ヶ月後の検診、先生がレントゲンの画像を指差しながら
「ここにあった二つの影のうち一つは無くなっています。一つは出たようですね。」 僕は最初の診察時からでも画像を見ていたし、先生の話も聞いていたので(余りの痛さに聞き落としたかもしれない!)《石は一つ》と思っていたのだ。「一つは出たようですね」と言われ、嬉しいような、がっかりしたような‥‥。 薬局で、処方された薬をどっさりもらって帰った。次回の診察は一ヶ月後である。そのとき迄に「石」が出る事を、そして再び激痛が襲ってこないよう、祈るしか無い……。
(次回へ続く)
(H. N.)
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