中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【144】 『旅行のミニハプニング 〜 話す時刻表』  2010.11.16

チェコとオーストリアの旅行中に起きたミニハプニングの第三回(最終回)です。

【話す時刻表】

切符を買うための一連の事が終わりホッとして、近くにあったベンチに座った。ちょうどそこには畳1枚分くらいの大きな時刻表があり、現在時刻から後の時刻表が表示されていた。それは透明なケースの中に時刻表が巻かれて入っているもので、ボタンを押す毎にロール状の時刻表がグルグル回り、自分の知りたい時間帯を見る事が出来るようになっていた。これは良いアイデアだ。一日中の時刻を一目で見られるようにすると、相当字が小さくなる。日本の新幹線のホームにある時刻表が良い例。こういうものを見習って取り入れれば良いのに……。

プラハ駅
  《プラハ中央駅》

さて、ものは試しと、今買った切符の列車が本当にあるかボタンを押し続けてみた。ちゃんと出てきた。一安心。
他にもボタンがあったので色々押してみた。チェコ語でボタンに説明があるがさっぱり分からない。ボタンによって上向きに回ったり下向きに回ったりした。
虫眼鏡のマークのボタンがあった。もっと字が大きくなるのだろうか? この構造で? 好奇心で押してみた。突然、男性の声が流れ始めた。どうも、目の不自由な人のために時刻表を音声で読み上げているようだ。発車時刻、列車番号、途中停車駅等をアナウンスしているのだろう。それにしてもすぐ側で聞くには煩いくらいの大きな音量だった。
すぐに止めようとボタンをあちこち押してみたが、どうやっても止める事が出来ない。それどころか、音量も小さくならない。そのうちに周りにいる人の視線がこちらに注がれている…ような気がしてきた。しかし、止め方が分からない!その間にも大きな声のアナウンスはどんどん流れている。何処を押しても鳴り止まなかった。周りが静かだから顰蹙(ひんしゅく)を買っているのは薄々感じ始めていた。だんだん焦ってきた。頭がカーッと暑くなってきた。

しかたなく最後に取った手段……
そのまま(アナウンスが続いているまま)、さりげな〜くゆっくり歩いて切符売り場から立ち去った。

周りにいた皆さん、そしてプラハ駅の職員さん、お騒がせして失礼しました……。
(H. N.)

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