中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【142】 『旅行のミニハプニング 〜 空白の座席指定切符』  2010.10.26

休暇を利用してチェコとオーストリアを旅した。今回から3回、その旅行中に起きたミニハプニングを書こうと思う。

【空白の座席指定切符】

プラハ滞在も終わり、次の目的地ウィーンまでの列車の切符を買う時に駅で起こった事。
乗車日の午前中の発車時刻を調べるために、プラハ中央駅のずらっと並んでいるカウンターの右端にある Information に行った。こういう所は日本と違い不親切なので紙とペンの用意をしていた。たいがい早口で時刻を言われるから何とか書き留めなくてはいけなかった。乗車日を伝えた後、沈黙の時間……、向こうはパソコンで情報を入力している……。暫くしてこちらを向いた。いよいよだ、紙とペン!! と、思った途端、意外な事にその日の午前中に出発する国際列車の全ての時刻をプリントアウトして渡してくれた。ラッキー!と思った反面ちょっと拍子抜けも。でも聞き間違いは無いので確実だ。ついでに、一等車と二等車のそれぞれの料金を聞いたら両手を広げて「さっぱり分からない。買う時に分かるでしょう」と言われた。

プリントされた一覧表から自分達の乗る列車を、念のため第三希望まで決めた。教えてくれた窓口に行き、決めた時刻の切符を申し込んだ。ウィーンまでは五時間近く乗るので一等車にした。このカウンターの人はヨーロッパでは当たり前の不親切な職員だった。しかし、第一希望がなんとか買えた。
掲示板
たぶんこれで良いだろう、と日本の紙幣のような大きさの切符を見ながら駅の出口に向かった。その切符は、乗車する日の前後三日間有効な切符だった。ただ、一等車にチェックは入っていたが、座席指定を買ったはずなのに、座席番号の欄が空白になっていた。これじゃいけないと思い、再び窓口に行った。さっき切符を買った窓口は閉じられていて、「隣の窓口へ」と書かれた張り紙。しかたなくその窓口へ並んだ。さっきは不親切な職員だったから、かえって良かった。
さて、自分の番になり窓口の職員を見て目を疑った。さっきの人だった。カウンターの中で横に動いただけ?何のために? これにはがっかりした。さて、座席が指定されてない事を伝えると、
「あなた達は切符を買いたいとは言ったが座席を指定したいとは言わなかった!」
それならそうと、指定席にするか自由席にするか聞いてくれたらよかったのに(JRのイキトドイたサービスに慣れっこになっている身にはやはり不親切だ!あまりの不親切さに感心した!)。余談だがこの列車には自由席車両というものは無く、全ての席が自由席にでも指定席にでもなりうる。自由席の切符で空いている席に座り、もしそこへ、その座席の指定券を持った人が後から乗ってきたら席を譲らなければいけないのだ。上手く行けば自由席でも良さそうだが、大きなトランク2つを持って何度も移動するのは大変だから指定席を買う事にしていた。 掲示板
時間はかかったが何とか座席指定が取れた。
ちなみに今回乗った列車は〈F. Schubert 号〉。車内の天井に電光掲示で表示されるのを撮影してみました。
(H. N.)

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