中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【137】 『トウモロコシ早食い』  2010. 8. 20

リサイタルも終わり気分が楽になった休日、あるサークル仲間に誘ってもらい奥三河へワンデイピクニックに行った。そのサークルは “名古屋クライゼル” 先日のリサイタルの後援もして下さったドイツ語同好会だ。晴天の日の朝早く藤が丘に集合して、レンタカーでワンボックスを借り、6人で乗り込んで豊根村へ。
一番のお目当ては農園でのブルーベリー摘み、2番目は村にあるおいしいドイツパン屋 “ミンデン” を訪れることだった。

途中で立ち寄った茶臼山高原で、こんなイヴェントをやっていた……。
「間もなくトウモロコシの早食い競争を始めま〜す。参加したい人はここに集まってくださ〜い!」
見ると屋外のテントの下に長机が一つ置いてある。参加者(小学生以下限定)はその前に立って食べるのだ。私たちを含め、周りに見物の人も集まってきた。
「一回に3人ずつ競争しま〜す。1等賞の人には賞品がありま〜〜す! ではまず、この大きな発砲スチロールの箱の中に茹でたトウモロコシが沢山入ってるから、自分の好きなトウモロコシを選んでね。」
先頭に並んでいたのは皆男の子で、小学6年生、2年生、1年生くらいの3人。一斉に箱の中を覗き込んだ3人だったが、最初に6年生の子が、かなり小振りなトウモロコシをさっと取り出した。後の二人はなかなか決まらない。背伸びして首を上下左右に傾けながら真剣な眼差しで吟味したあと、下のほうから「できるだけ大きいの」を嬉しそうに掘り出した。
「よ〜い‥‥、ドン!」
6年生の男の子は、くるくると上手にトウモロコシを回転させながら、ちょうどビーバーが木の皮を剥いで食べるように、あっという間に食べ終わった。
1,2年生の二人は…… 全く急ぐ気配なし。ひと口食べてはにっこりモグモグ、幸せそうに目をつむってモグモグ。高原野菜のおいしさに没頭している様子。

見ている人たちも、クスクス笑いながら皆笑顔。勝負にこだわらないあまりの可愛らしさに、見ている私たちもすっかり和んだのでした!
(Y. N.)

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