中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【119】 『ノルトファルク先生』     2009.8.25

ある方から久しぶりに電話をいただきました。以前ドイツリートの勉強で大変お世話になったビルギッタ・ノルトファルク先生、スウェーデンから来日されているコントラアルトの歌い手です。「官舎に遊びに来ませんか?」と誘って下さったのです。もちろん大喜びで伺いました。

過去に数年間日本に滞在された時も、先生が呼んで下さったり私たちがお招きしたり、と時折行き来していました。その後一度は帰国されましたが、有り難いことに現在再び、私の母校の大学の声楽科で客員教授として教鞭をとっていらっしゃいます。ご主人のハンスさんとも仲の良い素敵なご夫婦です。

夕焼けの美しい時間に先生のお宅に到着、再会を喜びしばらくお喋りしてしてから、楽しみにしていた手料理をごちそうになりました。先生ご夫妻はとてもお料理が上手、以前もハンスさんの焼いたアニス入りの香りのよいパンや、伝統的スウェーデン料理 “ミートボールのジャムソース添え” など色々な北欧料理を頂いたことがあります。

今回のお料理は・・・
コクのある2種類のチーズ、ライ麦パンとフランスパン、ミックスサラダ、鮮やかなオレンジ色をしたロブスターのスープ、黒胡椒の効いた牛肉の赤ワイン煮込み!・・・でした。 いかにも美味しそうでしょ? 手間のかかるお料理ばかり、、、どれも、とってもおいしかったです。。。 お会いしていなかったこの4、5年にあった事、その間のスウェーデンの写真、日本から毎年のように休暇で訪れていらっしゃるグアムの話、などなどで時間を忘れました。
ちょっと驚いたのは、そのグアムに行きにくくなったというお話でした。「私たちに対する空港の搭乗チェックが近年異常に厳しい」のだそうです。スーツケースは開けて調べ、 “一般の乗客” と分けて2時間も別室に足止めされ100項目の質問(=尋問?)に答えた上、搭乗口で再度隔離され特別なボディチェックを受ける、それが往路復路とありストレスで疲れ切ってしまう、と嘆いておられました。

確かにあの9・11事件後、アメリカはとても神経質になりました。私たち日本人の旅行でさえもそれを強く感じます。退役軍人でいらっしゃるハンスさんの推測では、「9・11テロリストの一人であるアタがドイツに潜伏していた⇒ドイツ人を含むヨーロッパ人は危険分子として警戒する⇒日本に長期滞在して頻繁にグアム(アメリカ領)に渡航する”このヨーロッパ人”は怪しい⇒合衆国当局から私たちは多分テロリストとしてマークされたらしい!?」というものです。ノルトファルク先生は空港で「私はスウェーデンから愛知県に招聘されている声楽家です。飛行機を爆破したりしません!」と毎回訴えているそうです・・・。何とかして早く濡れ衣を晴らして差し上げられればいいのですが、、、お気の毒です。あんな立派な音楽家を悲しませてしまって。

そんな信じられない(-_-;)ような話で盛り上がりながらも、コーヒータイムとなりました。熱々のコーヒーとともにデザートとして出てきたのは、ハーゲンダッツのチョコナッツのアイスクリームバーでした。「スウェーデンでは氷点下20度の真冬でも、暖かい部屋の中でコーヒーとともにアイスを食べるのよ!」 熱いコーヒーをすすりつつ、冷たいアイスバーを4人でかじっていたら、なんだかすっごく笑えてきました。
ちなみに一番早くアイスがなくなったのは、最年長のハンスさんでした(●^o^●)
あっという間の4時間、楽しいひと晩でした!!
(Y. N. )
 ※前回のエッセイの鳥の名前…
写真(1)…カッコウとウグイス 写真(2)…二羽のウグイス
写真(3)…ウグイス 写真(4)…ホトトギスと蛙
 でした。答えるほどでもなかったですね (・_;)

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