中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【114】 『教育への情熱、壊さないで』     2009.7.8

勤務先の大学の4年生が教育実習から戻ってきた。実習先は中学。どうだったかと聞くと、毎日忙しく、帰宅が11時頃だったが楽しかった、と答えた。そう言いながら何やら大きな紙を大切そうに差し出した。実習最終日に、担当したクラスの担任と生徒みんなで教室で写した写真を、自分でパソコンで拡大したものだった。生徒も担任も皆笑顔だ。実習生も3週間の実習を無事終えたという充足感で自信に満ちあふれた顔をしている。
学生が体験する教育実習は、実際の様々な現場のほんの一部だけを体験するものだ。これが全てではないが教員を目指す学生が体験する「初めの一歩」ではある。今、教育現場では、負担が多すぎて体調を崩す教師がいたり、本来の教育に支障をきたしている、という話も聞く。夢を持って教育現場に立った新任の教師が本来の職務を遂行できるような教育体制作りが急務だ。あの記念写真が一時の「夢」になってほしくはない。

新聞
※僕の意見が、6月27日付け朝日新聞朝刊「声」欄に掲載されたので、今回はその原文を紹介しました。
因に新聞上では、題や文章が多少変わっています。
(H. N. )

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