中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【113】 『スレンチェンスカさん その2』  2009.7.1

殆ど毎回パーフェクトでした。それでも、「チャンスは多いほどよい」という奏者の意志に沿って、同じ曲で何度かテークを重ねて行く時もありました。テークを重ねて同じ曲を何度聴いても、驚くべきことに更にまた素敵な演奏になり、音楽が輝きを増し、全く飽きませんでした。

この日の録音がすべて終わり、録音技師がオーケーサインを出しました。すでにこの日午後からずっと7〜8時間弾き続けていたそうですが。「今からまだ3時間弾いてください」と言えば、すぐにでも「いいわ!」と言いそうな、さわやかな笑顔で演奏が終わりました。

終演後、スレンチェンスカさんに握手をしてもらいました。感激してあまりいい言葉にならなかったのですが、、、「今日のコンサート聴かせて頂いて、 ありがとうございます。今までになく、とても深い感慨を覚えました。初めての経験のように・・・。」とお伝えしたら、溶けてしまうような笑顔と優しい柔らかい声で、「あらそう? だってコンサートはいつだって幸せなものよ?どうぞあなたも音楽と結婚なさい!」と言われました。 
もしかして 私がピアノを弾く事までお見通しのような 一言・・・・・
essay_113
  驚きました!!
これからの私の人生に 影響を与えそうな・・・一晩でした。
また聴く機会がありますように。
(Y. N. )

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