中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【110】 『たのしい音楽会』  2009.5.30

音楽会に出かけた。会場はいつもよく行く名古屋市内ではなく、車で約一時間程走った津市の会場。なぜそこへ出かけたかというと……。
偶然、その会場で開催されるの音楽会のチラシを見つけたのがきっかけ。プログラムと演奏者にとても興味を持ったので同じものが名古屋で開催されないか探してみた。すると見つかったのだが料金を見て驚いた。名古屋の方が同じような座席で数千円高いのだ。2人で出かけることを考えると、名古屋会場の一人分の料金で、津市では2人分購入できる計算になった。少し考えた結果、その日は時間もあることだし結局初めに見つけた会場を選んだ、というわけ。

高速の出口から会場に向けて車を走らせていると、「鳥飛来注意」のような珍しい看板を目にした。また、緑に囲まれた駐車場に到着し車から降りると、最初に出迎えてくれたのは「ホーーーホケキョ!」・・・きれいな鶯の声だった。思わず感動してしまった。名古屋より空気も綺麗だし涼しいのかも?なんだかいつもの音楽会に向かう時と違うことが起こって楽しい。

実は今日の演奏者(フェドセーエフ+モスクワ放送交響楽団の組み合わせ)は20年以上前に一度聴いたことがあり、とても感動したのを覚えている。今回再びそれを聴くことができるのを楽しみにして来た。余談だが、以前に良い印象を持った演奏家を、数年後に再び期待して聴いた時にがっかりする事もたまにある。しかし今回は聴いてみてやはり素晴らしかった。特に後半、チャイコフスキーのシンフォニー5番は圧巻だった。初めての会場の響き方に耳が慣れるのに少し時間がかかったが、それでもやはり来てよかった、と思った。

帰る頃、周りに建物は少なく高速道路に通じる道は真っ暗だった。窓を開けると涼しい空気に混じって、「ケロケロケロケロ、ゲロゲロゲロゲロ、…………」
鶯に迎えられ蛙に見送ってもらい、音楽会以外にいろいろ大都市にはない”オマケ”がついていてうれしい一日だった。
(H. N. )

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