中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【109】 『阿修羅展、パーフェクトな美しさに・・・』  2009.5.3

 ある方に「是非・・・」と勧められて、上野の国立博物館「阿修羅展」を見に出かけた。GW中ではあったが、平日の夕方という一番ラッキーな時間帯、待ち時間ゼロで、とてもゆったり見ることができた。

阿修羅  奈良・興福寺から大切に運ばれた国宝たち。。。
展示室に一歩入ると、照度を抑えた室内に、たくさんの仏像が浮かび上がり、ほーっっ!と思わず声が出てしまった。(奈良にいる筈の仏像たちが本当にこんな遠くまで来たんだなぁ・・・)

 やはり圧巻は3つの顔と6本の手を持つ阿修羅像。。。
ガラス越しでなく360度、眺めることができた。3方向の顔はそれぞれ微妙に表情が違う。少年のようでもあり少女のようでもあり、子供のようでもあり大人のようでもある。自分もぐるりと周りながら見ると、どんどん角度を変えて見られるので、様々な表情に見えて来る。

 特に感動したのは後ろ姿。
お寺では絶対見ることのない真後ろ、背中からの姿が実に美しかった。見る方も、何かシャキッと背筋が伸びるような・・・・。しなやかで、真っ直ぐで、背筋がピンと伸びていて、無理がなくて、あまりの美しさに涙がボロボロとこぼれてしまった。

 ”パーフェクトな美しさだ”
っと思った。1300年前にこの阿修羅を作った仏師は、いったいどんな人だったんだろう?
 真正面で阿修羅像の合掌する手を見つめている時に、なんだか自分だけの素敵な時間のように思えて、小さく手を合わせた。有り難い、という言葉がぴったりくるような、、、瞬間だった。 

 厳めしい「八部衆像」は、足元から見上げると大きさと迫力が素晴らしかった。こちらも像の斜め後ろへ回り込んで観ることができたので、とてもよかった。やはり背中が凛凛しく、力強く。美しい。
 もう一つその前を去り難かったのは、運慶の「釈迦如来像頭部」 いったいどうしたらこんな美しい造形美が生まれるのか?と思うような・・・

 美術館で過ごした素敵な時間、、、
「仏像に興味がなくても、騙されたと思って行ってみてごらん」と勧めて下さった方に、感謝です。

(Y. N. )

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