中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【108】 『金融機関の警備はしっかり!』  2009.4.5

 先日、鈴鹿市で現金輸送車が襲われ、多額の現金が強奪された。警備員がきちんといたのに、である。日本の現金輸送に対する警備は甘すぎやしないだろうか?
 現金輸送車が銀行に入っていく姿を見かける事がある。そこは一般車両も使う銀行の駐車場であり、専用の入り口でもない。輸送車から降りた警備員がまず何をするかといえば、周りをぐるっと確認した後、歩行者に【緑のおばさん】よろしく、『車が通るから気をつけて!道を空けて!』、と注意する。普通に考えればこれでもいいかもしれないが、ちょっと待てよ、警備員の仕事は交通事故を起こさないようにすることではない。日本のなかで平和ボケして本来の責務を忘れてきてはいないだろうか。その上、強盗を企てようとして車でやってきた人が警備員の制止など聞くはずがない。それどころか無理やり車で突っ込めば輸送車の後を付けていく事すら可能だ。
 イタリアで両替をしようと銀行に行った時の事を思い出した。二重になっているガラスドアの入り口から中に入ると、目の前のもう一つのガラスドアが開かない。変だな、と思っていると、今通った後ろのガラスドア戸が閉まった。閉じ込められてしまったのだ。あわてて何とかそこから出ようと必死になっていたら、カウンターにいる行員が何やらジェスチャーで「そのままでいるように!」と言うような事を伝えてきた。ふと頭の上を見ると、小さな赤いランプが点滅している。数十秒ほどで前のガラスも開き中に入ることができた。後で分かったが、この閉鎖された空間で、中に入る人を一人一人チェックしていたのだ。

 最近、日本でもマンションの入り口には、不審者が入らないようなセキュリティシステムがあり、駐車場でも、カードを入れなければシャッターが開かず、入庫出来ないところもある。
 そういったシステムは多額の現金を扱う金融機関が真っ先に取り入れるべきではないだろうか?

(H. N. )

※先日、このエッセイと同趣意の別文を朝日新聞「声」欄に投稿したところ採用され、3月25日付同紙朝刊に掲載されました。

ページの先頭へ