中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【90】 『携帯紛失未遂事件 その3 最終回』     2008.3.20

 「直りました!」

 携帯を持ったまま話していた店員さんが、突然、少し興奮気味に言った。
  見せてもらったら、さっきまでアドレス表示だったものを含め、全部が名前表示に変わっていた。どうやったのかを聞くと、何度か電源を切ったり入れたりしてみたら、自然に直った、という事だった。水に浸かったのが原因で再びこうなる可能性があるので電話帳をバックアップしたほうがいいですよ、と言われた。そこで、パソコンにバックアップしようとして全てを消してしまった事を話した。
  店員の話によれば、携帯バックアップの為のソフトが色々出ているが、あれらはパソコンという、別な機械に入れようとするためにいくらか危険を伴う。それよりも携帯に入れるマイクロSDカードを使うほうが安全で確実、という事らしい。ちなみにそこの店でマイクロSDカードが買えるのか聞いたところ、

 「当店でも扱っていますが、お値段が高いです。《アメ横》を御存知ですか、あそこなら随分安く変えます。」

と、随分親切に教えてくれた。

 ところで、僕は、携帯に付属のソフトを使って、アドレスをPCに取り込んでおり、更にそのバックアップ先がOutlookだったことを思い出した。家に戻り、PC内の携帯のソフトを起動したが、案の定、何も表示されない。次にOutlookを起動してみたが、「連絡先」に表示されるはずの住所録一覧がやはり表示されない。やはり消えてしまっていた。このOutlookは滅多に使わないので、どうしていいか分からず何気なく画面を見ていたら、「削除済みアイテム」というアイコンを発見!ひょっとしたら、と思い、かすかな期待を持って恐る恐るそこを開くと……、
  思いがけない事に、消してしまったアドレスが全部表示された!

 (ホッ!)

 ただ、これらのデータは昨年の春ごろのものだ。だからそれ以降、番号やアドレスが変更した人には対応していないが、手掛かりが何も無いよりはマシ。ついでに、このOutlookのデータは携帯ソフトには戻せない為、200件近いデータを、一人ずつ手で入力する羽目になった。

 あ〜やれやれ……。

(H. N. )

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