中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【89】 『携帯紛失未遂事件 その2』     2008.3.11

 想像どおりの事が起こってしまった。
 それも携帯の電話帳のみならず、パソコンの中に保存していたバックアップのデータまで全て消滅してしまったのだ! その瞬間、何が起こったのかを自分で理解するのに多少時間がかかった。何かを間違えたのだろうが消えてしまったことは事実。
 さてこれからどうするか、すぐに必要な人の、そして分かっている人の電話番号とアドレスを入れないといけなかった。受信メールが残っている学生達はそこから登録し直せた。そして分かっている学生にメールを送り事情を説明し、他の僕の生徒に僕宛にメールを送信してもらうよう、お願いすることにした。

 しかし、不思議な事が起こった。そうやって10人位登録した頃である。電話帳に同じように登録しているのに、受信メールに名前が表示される人と、アドレスが表示される人が出てきたのだ。もっと奇怪な事には、メールの送信者名が他人と入れ替わっているのもあった。ミウラさんからのメールがヨシダさんから来た事になっていたのだ。何ということだ! 雨の中に置かれていたので内部に水が入って故障したのか?
 僕は、これじゃ困ると思い、急いで携帯ショップへ駆け込んだ。 携帯

 表示が、名前とアドレスの混ざった受信メール画面を見て、店員さんも首をかしげていた。
  以下は、店員さんとのやり取り……

 「水に浸かっていたんですか?」
   「浸かったかもしれない、見つけたときは上向きに置いてあり、押しボタンに水滴がびっしりついていました。」

 「水が内部に入って、こうなったんでしょう、保険を使って別の携帯に変えるか、機種変更して頂くより他、ないですね。」
   「この携帯の型、気に入っているんですが、外枠だけこれを使って中の機械部分だけ変える訳にはいきませんか?」

 「残念ながら、もう製造していませんから出来ないです……」
(次回へ続く)
(H. N. )

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