中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【78】 『テレビの字幕は学力低下の一因』  2007.10.1

※今回は「緊張と、どう付き合うか」を載せるつもりでしたが、予定変更です。僕の意見が、9月25日付け朝日新聞朝刊「声」欄に掲載されたので、その原文を載せることにします。

 この数年、学生達の学力低下が騒がれている。その原因には「耳」も関与していないだろうか。勉強は書物を読んで理解する事も出来るが、同時に先生の話している内容を聴いて理解する事も大切だ。私は、昔より耳の情報収集能力が劣ってきているように思う。それは、耳を昔ほど使わなくなってきたからだ。その原因のひとつにテレビの字幕は考えられないだろうか。
 学齢に達した子供たちにとって身近なテレビ、そのテレビに数年前から異変が起こっている。テレビの画面に字幕が増え出したのだ。出演者が話している言葉がそのまま大きな字幕となって現れる。視聴者はここでは耳を使わず「目」から内容を理解する事になる。番組の最初から最後まで出ている訳ではないので聴覚障害者の為でもないようだ。いったい何の為にやっていることだろうか。
 耳に特に意識を集中しなくても何かの音は聞こえてくる。しかし「よく聴く」事をしないと耳の機能は衰退の一途を辿る事になる。衰退した耳を使って授業を受けていても学力の向上は望めまい。
 耳本来の能力を取り戻すために、テレビの字幕は必要な場合を除いて、今後廃止の方向を考えたほうがよい。

(H. N. )

ページの先頭へ