中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【67】 『メダリストの妻』  2007.3.19

 僕の生徒であるKさんが最近結婚した。彼女はある養護学校で教師をしていて、職場を通じて人生のパートナーと出会った。お相手は何と柔道家、それもアテネパラリンピックの銀メダリストであるHさんだ。今までたくさんの生徒から結婚の報告をもらったが、メダリストと結婚したのは彼女が初めてだ。関係ない僕まで、何故かちょっと…誇らしい…!

 彼の経歴を紹介すると…
2004年 2月 アテネパラリンピック 60キロ以下級 銀メダル
2007年 1月 日本視覚障害者柔道大会 60キロ以下級 優勝 
        (1996年の大会より現在まで11連覇中!)
っというスゴイ人なのだ。

 今年の夏ブラジルで行われる世界選手権で上位につけてワク取り、その上、11月に開催される日本視覚障害者柔道大会で優勝すれば、次の北京オリンピック(2008年9月)参加の切符を手にする事になるらしい……。
 ちなみに、Hさんのパラリンピックの銀メダルは、その頃行われた彼の勤務先の養護学校の文化祭で、記念のコーナーが設けられ、柔道着やジャージと共に展示されたそうだ。

 Kさんは大学で音楽を専攻したが、御両親は耳が不自由であるため今まで直接演奏を聴いてもらう事が出来なかった。しかし、勤務先の養護学校での授業を通して彼女は、耳の聞こえない生徒たちにも、《叩いている太鼓に触わってもらえば、音楽を感じたり、楽しんでもらえる》という事を知った。

 結婚式で、Kさんは両親への感謝を込めて自分でピアノを演奏した。ピアノに触ってもらい、振動を通して《手から》聴いてもらったのである。

 初めて手から聴いた愛娘の演奏……、御両親はどんなにか喜ばれたことだろう!

(H. N. )

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