中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【53】 『飲酒運転は犯罪です!』    2006.10.19

 悪質な飲酒運転が後を絶たない。数年前、『酒気帯び運転は免停プラス罰金30万円』と道路交通法が改正された時、確かに一時飲酒運転は減った。しかし最近はその《抑止力》もどうやら薄らいできたようだ。
 この夏、福岡で飲酒運転のドライバ−に追突されたワゴン車が橋から海に落ち、乗っていた幼い子供の命が奪われた。それを期に全国で再び飲酒運転撲滅運動が展開されたが、それでも検問に引っ掛かるドライバ−が多いのは呆れるばかりだ。そしてついに先月末、警視庁交通部交通執行課の巡査部長が千葉県の自宅に戻る途中、酒気帯び運転の現行犯で逮捕された。何ともお粗末なありさまだ。
 千葉県では、飲酒運転撲滅の為にポスターまで用意し、「協力して職場に張りましょう」 と県民に呼び掛けていた。そんな矢先に今回の不祥事が起きたのだ。『飲んだら乗るな、乗るなら飲むな』という標語があるが、それを破ったのが、本来取り締まるべき警視庁交通部の巡査、となれば全くの言語道断だ。
 
 お酒を飲むと自制心が働かなくなるから運転に差し障る、こんな事は解り切っている。しかし自制心が働かなくなるということは『今日は飲んだから運転は止めよう』という当たり前の事が出来なくなる、という事でもある訳だ。ならば人に、『酒を飲んだら運転するな』と言うのは全く無意味だ。他の方法を考えるようにした方が良い。
 
 あるTV番組でジャ−ナリストがこんな事を提案していた。検問に使うアルコール濃度を計る検知器を、ハンドルの付近など、ドライバーの息が直接かかりそうな所に設置し、エンジンをスタートさせようとしても呼気内のアルコール濃度が高ければ、その検知器から電気的に信号が流れ、エンジンがかからないようにする、というものである。中々良い方法だと思う。
 この程度の事は、わが国の技術水準を考えれば、容易な事ではないだろうか?
 これを実施するにあたり、ある方面から国土交通省や自動車業界に、何らかの圧力が加えられる事は想像できる。しかし、各方面の専門家は、そんなことに屈せず、飲酒運転撲滅のために努力を惜しまないでほしい。何しろ、被害者は、何の罪もない人達なのだから。
(H. N.)

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