中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【49】 ハイテク機器の意外な盲点    2006.9.20

 この夏、パソコンの調子が悪くなり修理した。直ってきて調子よく使っていると、今度はプリンターの具合が、おかしくなってきた。カラー印刷するとすべてが横縞のTシャツのようになってしまうのだ。説明書に従ってプリンターノズルのクリーニングをしたり、ヘッドの位置調整をしたりしたが、どうもよくない。結局修理に出すことにした。
 他の修理の時と同様、玄関までプリンターを引き取りに来てくれ、お盆を挟んでいるというのに一週間以内で修理完了、再び玄関まで届けてくれた。

 プリンターそのものは小さいのに、ヤケに大きな段ボール箱だ。早速開けてみると輸送中に破損しないようにと、ダンボールや発砲スチロールで出来た緩衝材に包まれていた。さすが日本!やることが親切で丁寧だ。
 
 ふとウィーンでケーキを買った時の事を思い出した。バス停の目の前に美味しそうなケーキ屋があった。手の平くらいの大きさのケーキを一つ買った。会計を済ませると、「店内で食べるのか、それとも持ち帰りか?」と聞くので、「持ち帰り」と答えた。ウィーンらしい可愛らしい紙の箱を期待して待とうとすると、すぐさま紙製の皿に載ったケーキの上に、薄い紙を《ひら〜り》と載せてこちらに差し出した。とっさに、これは僕のドイツ語が下手で通じてなく、店内で食べると勘違いされ、テーブルまで持っていくために(埃よけ?)丁寧に紙を被せてくれたのだと思った。

 「持ち帰りです!! そこからバスに乗って…」ともう一度大きな声で説明した。すると
 「分かっていますよ。だから、紙を載せたのです。」
 「……」

 箱なんてものは、無いのだった。仕方なくバスに乗る時は、バッグをたすきがけにし、右手に切符、左手にケーキを、落とさないように人にぶつからないように、《ひら〜り》と被せた紙が飛んでいかないように、降りるバス停までずっと左手を頭の上の高さまで持ち上げた状態のままで乗ることになったのだ。
 話が随分それたが、プリンターの大きな箱を見て思い出したので……。
 
 さて、修理完了の書類と一緒に、「プリンターの豆知識」と書かれた紙が同封されており、そこには使用上の注意が書かれていた。「給紙不良原因と対策」という項目があった。読んでみると面白い事がまじめに書かれていた。

 『給紙不良は、給紙ローラーのゴム硬化、磨耗による摩擦低下のための……中略……非常に多いのが給紙部よりの異物の混入です、節分の後などは大豆入りが多く見られますのでご注意下さい。』

 これが本当の「豆知識」か!?

(H. N.)  

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