中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【46】 鹿児島旅行記 第7話 「ある夜の出来事」
    2006.8.25

 ある夜のこと……

 昼間に色々と動き回り過ぎ少し疲れて帰ってきたので、シャワーを浴びて一休みしていたら、知らぬ間に眠ってしまった。ふと気が付くと8時半を過ぎていた。
 夕食を食べに外に出るのも面倒になり、ルームサービスを取ることにした。せっかく鹿児島に来ているのだから、それらしいメニューはないかと探したら……? あった!  《鹿児島黒豚カツカレー》(それほどでもないか……?)
 部屋で取る食事はのんびり出来て好きだ。ホテルに宿泊の時は、時々利用する。ゆっくり落ち着いて美味しいカレーを味わう事が出来た。

 しかし……

 この後、ハプニングが起こるとは、いったい誰が予想しただろうか。

 食事後、空いた皿を廊下に出した時、部屋から閉め出されてしまったのだ。ドアが閉まらないように、片足を目一杯伸ばしてドアを押さえていたのだが、トレーをきちんと置き直した際にうっかりドアから足が離れ、重い鉄製のドアが、ゆっくりと静かに音を立てて閉まった。
 「…………」
 ホテルに宿泊の際は、いつも気を付けていたのだが、遂にやってしまった。中から開けてくれる人も居ない。数分前、ルームサービスに電話して、「空いた皿を外に出しておきますから引取りに来てください。」と頼んだのはこの僕だ。このまま皿と一緒に部屋の入り口に立っていたら、引取りに来た係りと会うことになる。それよりもほかの客に会う可能性のほうが大だ。なんだかバツが悪い。仕方ないので、フロントへ事情を説明しに向かった。ふと足元を見た……、裸足でなくてよかった……(ほっ!)。

 鍵を持った係りの人と一緒に部屋まで来て、開けて頂いた。
 「こちらも、片付けておきます。」
 さっき置いたトレーも持って行って下さった。
 あぁ、大失敗!

【次回は「砂蒸し温泉」】      (H. N.)

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