中岡秀彦/中岡祐子 エッセイ集

【7】 『オーダーメイド』    2005.7.12

 楽譜を注文しました。今回は新しい時代のものばかり、イギリス近代のフレデリック・ディーリアス、フィンランド近代のトイヴォ・クーラ、邦人近代の矢代秋雄の楽譜を探していました。
 馴染みの楽譜屋さんに、あるかどうか問い合わせてみたところ、
「ディーリアスはお探しのもの全てはありませんでしたが、これとこれはあります。クーラは、何年か前に新しく出たばかりの日本版がすでに絶版ですねぇ。えーっと、ヘルシンキ版ならあります。それから、矢代秋雄さんの作品なんですが、こちらにつきましては現在受注生産となっておりまして。。。。。注文頂いてから発注かけて、それから注文した分だけ印刷に回りますので、そうですねぇ……、3週間ほど待って頂けるのでしたら、手に入りますが……?」
との答えでした。

 今までもいろいろ楽譜を探してきて、運がいい時は、「ただ今在庫があります。お急ぎなら本日発送しますと最短で明日中に代引きでお届けできますが……。」とか、「現在在庫が無いのでヨーロッパから取り寄せて1、2ヶ月くらいかかります。」とか、言われます。
 でも、結構がっかりする場合も多いのです。「残念ですが、その出版社はもうなくなりました。」とか、「その版は以前ありましたが、既に絶版となっております。再版の予定も今のところありません。」というものも少なくありません。中には、「これが出版社に残っていた、最後の1冊でした!」というぎりぎりタッチセーフ、運命の一冊に遭遇したこともありました。
 
 今回のように、「注文したら、1冊刷りますから待ってて下さい。」なんて、初めての経験でした。〈一般の書籍の場合も、こんな例はあるんでしょうか?〉 なんだか特注の靴でも注文したようで、嬉しいような、くすぐったいような……。
 自分だけののオーダーメイド?の楽譜も、あと少し待てば届きます。楽しみに待つことにしましょう。

(Y. N.)

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